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2013.10.07 (Mon)

花火師から飴細工職人へ。24歳のアメシン手塚さんが目指す「ごまかしのないモノづくり」

先週ご紹介した、奥浅草・今戸に新しくオープンした「飴細工 アメシン」。

こちらアメシンの代表で飴細工職人をつとめる手塚新理(てづか しんり)さんは、なんと24歳という若さ。和服にあご髭をたくわえ、落ち着いた受け答えはとても24歳には見えません。熱い野心と行動力があり、しかしながら”口べたで近寄り難い職人さん”というタイプではなく、とても優しい笑顔が印象的な方でした。

飴細工職人になって5年になるという手塚さんですが、そもそもなぜこの世界に入ったのか・・・? 伺ってみると、とても珍しい経歴をお持ちで、10代の頃から「職人」としてやってこられたのだそう。

最初の仕事は「花火師」だった

アメシン代表 飴細工師の手塚新理さん
(写真:アメシン代表 飴細工師の手塚新理さん)

ー おそらく何度も聞かれたことだと思うんですが、なぜ「飴細工職人」になられたんですか?

手塚さん「そうですね、皆さんに聞かれます(笑)。でもじつは、皆さんが期待するようなドラマは特にないんです。もともとは花火師だったんですよ」

ー 花火師??それはまた珍しい・・・飴細工職人のお話の前に、なぜまた花火職人だったのかがとても気になるのですが。

手塚さん「とにかく刺激を求めてたんです」

ー し、刺激、ですか。

手塚さん「昔から和風なものが好きで、せっかく日本に生きているし、日本特有のことがやりたかった。小さい頃から作ることが好きで、絵も得意で、物心ついたときから自分は将来モノづくりの世界で生きていくんだろうなって思っていました。それで10代後半はとにかく若くて馬鹿で刺激に飢えていたので、刺激のあるモノづくりをしたいと。花火って刺激そのものでしょう?(笑)」

ー 確かに、危険と隣り合わせでかなり刺激的ではありますが、それにしても刺激=花火師とは思い切った発想です。でもそこから今度はなぜ飴細工職人に転職されたのでしょうか?

手塚さん「まず花火師を辞めたキッカケなんですが、花火師の仕事をある程度覚えて、裏側も見えてきたんです。今、日本の花火のほとんどは実は中国製なんです。それは花火を見れば判ります。花火を売る場合、お客さんは打ち上がるまで実物を見る事はできないので、いくらでもごまかせてしまう。日本製と言いながら中国製を売るようなことが起こってしまう。それがすごく嫌で、恥ずかしかった。モノづくりを志したのに、そんなことではみっともないと思いました」
真ん丸い形の飴から龍の顔を切り出す
(写真:真ん丸い形の飴から龍の顔を切り出す)

お金はない、でも独立してモノづくりをやっていきたい

手塚さん「次になにやろうか、頭を冷やしてしばらく考えました。図書館に通い詰めたり、歩いて旅してみたり。それで見つけたのが飴細工でした。飴細工の一番の良さって、出来上がったものだけじゃなくて、それを作る過程にも価値がある。モノづくりの守るべきことが守られている。お客さんの目の前で作って、その行程が大切にされていて、隠せないしごまかしもきかない。そこにとても惹かれました」

手塚さん「そしてもう一つ良かったのは、お金がかからないことです。花火師になろうとするなら2億とか必要になってしまうところ、飴細工だと特に何の設備も要らないので、お金がない若者が始めるにはこれしかないと」

ー そうは言っても、技術が必要ですよね?どなたか師匠についたんですか?

手塚さん「いえ。知り合いの職人さんに体験教室でさわりだけ教えてもらって、あとは独学です。作れるようになってきたら、次はイベント会社に営業に行って、とにかく呼んでもらえる機会をつくりました。もちろん初めからそれだけでやっていけるわけではなかったので、平日はアルバイトをやりながら週末は飴細工をやる、という感じでした」

ー 独学で作れるようになったというのも、すごいですが・・・やっていて難しい事や面白いことってどんな部分ですか?

手塚さん「まず一番の難関は、熱い飴を触ることです。飴が熱くて柔らかいうちに作業をしなければいけないので、80℃くらいを手で持つんです。それって、人が火傷をするギリギリの温度なんです。幸い、花火師の経験のおかげで体が耐熱仕様になっているんで」

ー 耐熱仕様(笑)花火と飴細工、思わぬところに共通点があったんですね。どちらも、熱い!

手塚さん「あとは、飴が固まるまでの2?3分で仕上げなければいけないっていう制限があるところが面白いですね。それに、飴細工の職人って全国でもそんなに多くなくて、これからもっともっと開拓して発展させられる技術だと思っているので。お金もなにもない若者が、技術さえ身につければ腕一本でのし上がれるというところが、とにかく魅力的でしたね」

あっという間に見事な龍になっていきます
(写真:あっという間に見事な龍になっていきます)

ー では、手塚さんにとっての飴細工のこだわりや、アメシンで表現していきたいことはどんなことですか?

手塚さん「よくある飴細工って丸っこくて可愛いものが多い気がするんです。それって何か可愛ければ許される部分に逃げてるみたいで嫌なんです。僕はあえて写実的なものをつくって、どこまで突き詰められるか挑戦し続けていきたいですね」

浅草に引き寄せられて

ー 今回、ここ浅草に工房店舗をオープンされたのですが、どうして浅草だったんでしょう?

手塚さん「なんでしょうね、僕が浅草を選んだというよりは、自然と引き寄せられてきた感じがします。縁のある方々がこちらの方におおかったんです。モノづくりとか、和のものが好きな方とか。この物件はたまたま知り合いの方に紹介して頂いて、家賃も安くて場所もよかったので即決しました」

ー 物件は本当に縁ですよね。ではこうして場所を持たれたわけですが、お店があるからこそやっていきたいことはありますか?

手塚さん「体験教室に力を入れていきたいんです。特にお子さんに飴細工をやってもらいたいなと思っています。まずはこの、人がギリギリ持てる温度の飴を持つというのが、すごく大事なことだと思っています。これが冷えて固まるという性質や、ハサミで切れるということや、そういう物理的なことを身をもって体験してもらいたい。出来上がった製品ばかりに囲まれて生きて行くのではなくて、自分で作ることを知ってほしいです」

workshop2
(写真:体験教室の様子)

幼い頃から自分の手で作ることを楽しんできた手塚さんだからこそ選んだ道であった飴細工師。「とにかく挑戦し続けたい」と語る口調は穏やかですが、熱のこもったお話でした。資金がなくても、自分の足で立って自分の腕で食べていけるようになりたい。ごまかさず、自分に恥ずかしくないモノづくりを突き詰めたい。やるからには上を目指したい。そんな真っすぐで情熱的な姿勢には学ぶところが多く、きっと体験教室に来られたお子さんだけでなく、大人も、彼を見てハッとさせられるのではないでしょうか。

そんな手塚さんに会える「浅草 飴細工 アメシン」。是非お店で、手塚さんの熱く、真っすぐな人柄とその想いが詰まった作品に触れてみてください!

詳細情報

名称浅草 飴細工アメシン
住所東京都台東区今戸1-4-3 1F(今戸神社前)
URL

http://www.ame-shin.com/

その他アクセス:
各浅草駅より徒歩約10分
浅草駅から台東区循環バス『北めぐりん』、または都営バス東42乙系統に乗車し、リバーサイドスポーツセンター前停留所下車・徒歩1分。
浅草駅などより都営バス東42甲系統・浅草七丁目より徒歩3分。
パンダバス浅草ルート(無料循環バス)、今戸神社バス停下車徒歩0分

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