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2013.10.15 (Tue)

夜明けの浅草で撮影。水曜日のカンパネラのMV「マリー・アントワネット」にビリビリ!

女性シンガー、コムアイさんを中心にしたユニット水曜日のカンパネラ。Nujabes(ヌジャベス)主宰のHydeout Productionsに所属していたKenmochi Hidefumi氏がサウンドプロデュースを手がけ、ハウスやテクノ、ダブなどを基調にした浮遊感のあるトラックに乗せて、コムアイさんが不思議な世界観をもった歌を歌います。

この秋にはミニアルバム『羅生門』を発売。そのうち一曲のミュージックビデオ(以下MV)が、夜明けの浅草で撮影されているんです。

2012年の夏、YouTubeから始動。2013年3月にライブ活動をスタートさせ、5月に発売されたヴィレッジヴァンガード下北沢店限定販売のCD『クロールと逆上がり』が反響を呼んだ水曜日のカンパネラ。この10月に、ミニアルバム『羅生門』を発売。1stから5ヶ月でのスピードリリースです。

(写真:2013年10月9日リリースのミニアルバム『羅生門』)

(写真:2013年10月9日リリースのミニアルバム『羅生門』)

収録曲は全8曲。浅草でMVを撮影した曲のタイトルは「マリー・アントワネット」。仲見世を中心に、隅田川のほとりなどで撮影しました。

不思議な魅力に夢中になる人、続出!

そのMVがこちら!

キュートなコムアイさんが繰り出す透明感のある毒っ気と、ポストロック/ポストクラブミュージックがとけ合った、何とも不思議な一曲。だけど……なんだか……クセになる!

というわけで、コムアイさんと映像ディレクターの藤代雄一朗さんにインタビュー。MV制作にまつわるアレコレをお聞きしました。

MV制作にまつわるアレコレ

(写真:現在、ステージに立つコムアイさんは1992年生まれの21才)

(写真:現在、ステージに立つコムアイさんは1992年生まれの21才)

ー そもそも、なぜ仲見世で撮影したのですか?

コムアイ「重厚な音がするので夜の撮影になるなぁとは思っていたのですが、場所選びに苦労しました。銭湯や廃墟が候補に上がったけれど、しっくりこなくて。前に自分の振り袖の写真を撮るために、ぬけのいい、長い花道のような場所を探していたんですね。それで、ネットで見つけた画像が夜中の仲見世の写真でした」

(写真:MVより。電球がずらりと並んだ、人気のない夜更けの仲見世)

(写真:MVより。電球がずらりと並んだ、人気のない夜更けの仲見世)

コムアイ「電球がずらぁっと並んだ姿は、他にはない、主役を待っている器といった雰囲気があります。それで、ringo-a.meの藤代さんと話し合った時にふと思い出して、ストックしていた仲見世の写真を見せました。打ち合わせの後、藤代さんがすぐに下見に行ってくださって、ちゃんと夜中に夢のような景色になっているか確認してくれました。夜中でも電球だけ灯っているのがいいですよね。曲にぴったりな異世界に仕上がって、本当に場所の力に助けられました」

藤代「そもそも、今回あえてものすごく“日本らしい”景色をベースにMVを作りたいと思っていました。水曜日のカンパネラの世界観として、トラックの持つ近代的な色合いに、コムアイの純文学風な雰囲気が奇天烈に科学融合している。だから、MVも曲のテーマと間逆のシチュエーションからアプローチして融合していく作り方にしたかったんです。それで、コムアイから夜中の仲見世がすごくきれいだと聞いて見に行ったら、すごく幻想的で」

ー とても不思議な雰囲気だけれど、通行人の姿や川沿いの風景がどこか現実的で。コムアイさんの存在感はもちろん、場所の魅力がぐーっと伝わってきました。

藤代「僕たちが運営しているringo-a.meは、写真や映像として作品を作る際に、なるべく日本の都市や地域の魅力を再認識させたり新たに知ることができるような描写を心掛けているんです。だから今回のMVを作るにあたっても、真夜中の浅草が醸す不思議な魅力を伝えられるよう心掛けて制作しました」

ー 撮影期間はどれくらいかかったんですか?

藤代「構想を詰めてから完成・公開まで実質2週間ですね」

ー 2週間ですか?!

藤代「はい。MVの内容の詳細を決めたのが撮影日の1週間前。自称“何でも屋”のDir.Fといろいろ話して撮影に臨みました。撮影自体は夜中の2時頃から明け方の8時頃まで。6時間くらいです。次の日も風景映像だけ追加で撮影しに行ったんですが、そのまま3日間くらいで編集して完成しました。ちなみに、「マリー・アントワネット」でMVを撮影させて欲しいという想いは撮影する1ヶ月くらい前に伝えていて、その後で1回撮影することになったんですが、撮影予定日が雨予報で……。急遽、同じアルバムに収録されている「竹久夢二」という別の曲に変更して撮影したんです。こっちは吉祥寺の井の頭公園で撮影したので、合わせて観ていただけると嬉しいです」

ー ぜひ! ところで、撮影で印章に残っていることはありますか?

コムアイ「薔薇が造花で食べられなかったんですよね……」

ー え?! モリモリ頬張っている、アレ……ですよね?

コムアイ「はい(笑)。あとは、変なポーズのコマ撮りが大変で楽しかったです」

藤代「曲の途中で出てくる疾走シーンですね。あれは、本当に大変だったね」

(写真:MVより。1コマ1コマ地道に撮影を進めた印象的なカット)

(写真:MVより。1コマ1コマ地道に撮影を進めた印象的なカット)

藤代「楽曲後半の疾走感を映像で増幅させたいと思って、映画『鉄男』に出てくるような一定姿勢で驀進する様子を撮ることにしたんですが、予想以上に時間がかかりましたね。同じ姿勢のまま、ちょっと動いてもらっては1枚写真を撮り、また少し動いてもらっては撮り。その繰り返し。さらに、それほど時間をかけてもそんなに多くの秒数を稼げないという……。気づけば空が明るくなっているし、夜のシーンはまだ撮りきれていない。焦りに焦ったのが忘れられないです(苦笑)。コムアイもいろいろな姿勢を自分で考えて実演してくれたんですが、タイツは破けるし膝にものすごいアザを作るしで、全然笑えませんでした」

ー 他に、苦労されたことやハプニングはありましたか?

藤代「前日に下見した時には、夜12時頃にはすでに仲見世は白熱電球のみ点灯している状態でした。『よし、これでばっちりだ!』と思って撮影当日同じ時間に行ってみると、他の蛍光灯が点いたまま。どうやら、とくに消灯時間が定時で決まっているわけではなかったようなんです。午前1時を過ぎても2時を過ぎても蛍光灯は点いたままで、Dir.Fと『しょうがないから撮影始めましょう』と、蛍光灯がついたままの仲見世で撮影を始めることにしたんです。それで一通り撮影して、別場所に移ろうとした瞬間にガシャンと蛍光灯が全部消えて(苦笑)。いまさらかー! と思いながらも、ようやく理想の状況で撮影できることに心が躍った瞬間が一番印象的です。おかげさまで、日本だけど日本じゃないような、不思議な雰囲気の映像が撮れたと思っています」

視点が変われば街の魅力はもっともっと広がる

(写真:「新曲をとにかく早く聞いて欲しかった」といいます)

(写真:「新曲をとにかく早く聞いて欲しかった」といいます)

インタビュー中、浅草の思い出をコムアイさんに尋ねました。

「着物を着て散歩していい気分になったり、落語が好きで演芸ホールに行ったり。あ、あとは米久(よねきゅう)のすきやきを、この間食べましたね。おいしかったなぁ。落語の噺で聞いたところによると、裏に吉原を抱えていたらしいですね。浅草寺参りの夢が膨らむというか、お寺自体、昔は若者も楽しむところだったんですね」

また、夜中の撮影では昼間には見られない街の姿を目撃したそう。

「夜中も意外と人通りがあるんですね! 暮らしている人たちや散歩をしに来た人たちが、うろうろしている。活気がある、というよりは、街全体が落ち着いて、一日の休み時間を楽しんでいる感じ。朝になるとだんだんと人が起きだして、働く人たちが集う街に表情を変えました」

「夜の浅草、早朝の隅田川。時間をずらすだけで行ったことのない街になるという楽しみを、このMVで実感してもらえたら嬉しいです」と語ってくれたコムアイさん。

水曜日のカンパネラは新譜を引っさげて各地でのインストアライブの他に、漫読家の東方力丸との漫読イベントなどバラエティに富んだイベントを開催予定。さらに11月4日(月・祝)には自主企画イベントも控えているのだとか。その活動から、ますます目が離せません!

ライブ・イベント情報

■電音の少女
日程:10月15日(火)
開場/開演:18:00/18:30
会場:渋谷・O-nest
料金:前売2,500円 当日3,000円(ドリンク別)
出演:水曜日のカンパネラ、エコ怪獣、どんぐり中毒、ゆるめるモ! 他

■『羅生門』発売記念ミニライブ&サイン会
日時:10月21日(月) 19:00?
場所:タワーレコード新宿店 7F
対象店舗:タワーレコード新宿店 7F

■『羅生門』発売記念ミニライブ&漫読会
日程:10月23日(水)
開場/開演:19:30/20:00
場所:下北沢ARENA
料金:前売1,000円 当日1,500円(ドリンク別)
出演:水曜日のカンパネラ、東方力丸、参加頂ける会場の方

■『羅生門』発売記念ミニライブ&サイン会
日時:10月26日(土) 20:00?
場所:タワーレコード渋谷店 3Fイベントスペース
対象店舗:タワーレコード渋谷店

■Shinjuku Loft Presents BorderLine Syndrome5
日程:10月28日(月)
開場/開演:18:00/19:00
会場:新宿Loft
料金:前売2,800円 当日3,300円 (ドリンク別)
出演:水曜日のカンパネラ、新宿ゲバルト 他

■りんご飴音楽祭2013?水曜日のカンパネラ編?
日程:2013年11月4日(祝・月)
開場/開演:15:30/16:00
会場:渋谷WWW
料金:前売り3,500円 当日4,000円(ドリンク別)
live:水曜日のカンパネラ、大森靖子、AZUMA HITOMI、Charisma.com
DJ:Kenmochi Hidefumi、dj sleeper、西村ひよこちゃん
VJ:YUICHI KOBAYASHI a.k.a.DRILLHEADS neo
解体:鹿
落語:瀧川鯉八

※イベント・ライブの詳細はオフィシャルwebサイトにて、ご確認ください。
http://www.wed-camp.com/

この記事を書いた人/提供メディア

Yuka Niimi

フリーランスのライター、時々編集者。2008年の夏に、浅草3代目へ嫁ぎました。日課はヨガとランニング。好きなものは寺社仏閣と和菓子。浅草から自転車圏内で楽しめる情報を発信できればと思っています。

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