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2014.04.17 (Thu)

”かっぽれ、かっぽれ!” 三ノ輪「櫻川流 江戸芸かっぽれ道場」は熱気いっぱい

”かっぽれ、かっぽれ!”という掛け声、きっとどこかで聞いたことがあるのでは?私はテレビドラマの中の座敷宴会で宴もたけなわというときに”かっぽれ、かっぽれ!”という掛け声に合わせて踊るシーンを見たことがありました。また前回の記事で紹介した幇間さんの芸の一つが”かっぽれ”でした。

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”かっぽれ”ってなんでしょうか?台東区三ノ輪駅のすぐそばに「江戸芸かっぽれ道場」という大きな看板をかかげた建物があります。ずーっと気になっていました。思い切って今回取材をお願いしたところ即答で承諾いただき、翌日に家元代行 櫻川后寿(さくらがわこうじゅ)さんのお稽古風景を見学してきました。

1年中ゆかたとカラフルステテコで威勢のいい男踊り

「江戸芸かっぽれ道場」のドアをあけたとたんに目に飛び込んできたのは目の覚めるようなビビッドな色の数々。その色とは3-40人のお稽古に来ている生徒さんたちの身に着けているゆかた(白地にくっきりした紺・青のライン)、たすき(赤)、帯(ピンク・青・黄色・赤・緑)、ステテコ(黄色・ピンク・青・水色・黄緑)。舞台で踊る人たちとそれを真剣に見る人たち、生徒全員が各々の好きな色のおそろいの物を身に着けています。その見た目にすでに迫力があります。

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おそろいでありながらそれぞれ違うビビッドな色の衣装。これは”かっぽれ”の曲用に丈を短くたくし上げたゆかた・袖をたくし上げるたすき・頭のねじり鉢巻き。ゆかたは毎年おそろいで作るのだそう。

”かっぽれ”の衣装は1年中ゆかたにステテコだそう。それでもその激しい動きのため、生徒さんみんなが口をそろえて冬でも暑いのだと言います。そんなに激しい動きなのでしょうか?

先生の后寿さんが”かっぽれ”の曲をかけると、”かっぽれ、かっぽれ!”という掛け声。舞台にかけ上がる大勢の生徒さんの威勢のいいこと!そのいでたちも威勢よく、頭にねじり鉢巻き、赤いたすきでキリリと袖をまくり上げ、ゆかたのすそは帯の後ろに挟んでたくし上げ、各人のカラフルなステテコが目に眩しい。

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”かっぽれ”の踊りの支度をお互い手伝う生徒さんたち。キリッとしています!

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”かっぽれ”のゆかたの丈は後ろで帯に挟んで短くします。この生徒さんは帯の色とステテコの色を合わせています。

曲が進むと、今度は”おかわり、おかわり!”と掛け声をかけながら第二弾の踊り手さんたちが舞台に駆け上がります。えーっ!!おかわりーっ!?

舞台いっぱいに大勢の生徒さんがいよいよ威勢よく踊ります。そしてまた”おかわり、おかわり!”で第三弾の踊り手さんたちが今度は舞台に乗り切れずに舞台の前で踊りに参加。すごい迫力と熱気です。

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”かっぽれ、かっぽれ!”という掛け声。
舞台にかけ上がる大勢の生徒さんの威勢のいいこと!
とても男らしいキリッとした団体での動きは大迫力。

その踊り方は全般外股でたまに片足を上げて回ったり、ドンっと床を踏んで音を出したり、とても男らしいキリッとした動きでできています。このときの生徒さんは全員女性だったこともあり、その大勢の迫力は余計に新鮮でした。

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”おかわり、おかわり!”舞台に乗り切れず舞台の前で踊りに参加。
大人数での”かっぽれ”。

「江戸芸かっぽれ道場」では他にも”ずぼらん”・”茄子と南瓜”・”桃太郎”などの曲などがありますが、それぞれの曲によってゆかたのたくし上げ具合・たすきのかけ方・扇子などの持ち物が微妙に変わります。

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”桃太郎”の踊り。その昔話の通り、これは”お爺さんは芝刈りに”の場面。
それぞれの曲によってゆかたのたくし上げ具合・たすきのかけ方・扇子などの持ち物が微妙に変わります。

毎回曲が終わると后寿さんが細かい踊りの指導をしますが、みんな真剣そのもので見つめ、その場で動きの練習をします。教室の隅では生徒さん同士で揃えて踊ってみたりする風景も。”難しい!”という声がちらほら聞こえてきたりして熱いお稽古風景です。

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毎回曲が終わると家元代行 櫻川后寿さん(前列中央)が細かい踊りの指導をします。

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教室の隅では生徒さん同士で教えあったり、揃えて踊ってみたりする風景も。

”かっぽれ”はいつ・どこから?

”かっぽれ”の起源には諸説ありますが、江戸時代後期に大阪の住吉大社で五穀豊穣を願った「住吉踊り」に始まり、伊勢参りに訪れる大勢の人を相手に街道で大道芸として踊られていたようです。

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”かっぽれ、かっぽれ!”という活気のある囃子言葉はその20年くらい前に流行った志摩の国の鳥羽節の囃子言葉からきていると考えられています。”かっぽれ”は明治時代になって庶民の間で爆発的に流行し、浅草寺の境内でも踊られていたそうですが、(当時東京随一の繁華街の真ん中の浅草寺で踊るとは、今でいうクラブやレイブくらいの感覚だったのかもしれません!)その後大道芸は廃止されることに。その芸は寄席と幇間芸になって残りました。

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后寿さん(右)がほっかむりをする振付の説明を実際のてぬぐいを使って丁寧に説明します。

「櫻川流 江戸芸かっぽれ道場」は団体で”かっぽれ”を踊り、その伝承普及を目的にして昭和59年(1984年)に家元制度の稽古場として櫻川梅后(ばいこう)さんが創設。以来多くの生徒さんたちを集め、国内外でそのお披露目をしています。浅草のカーニバルでの”かっぽれ”のパレードを見たことがある人もいるのではないでしょうか?その他に毎年浅草公会堂・三越劇場などでもこの迫力の”かっぽれ”を観ることができます。江戸時代からの庶民の踊りを観てみたい・体験したいという方はこ下記詳細へ!

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后寿さん(前列右)の細かい指導に生徒さんは真剣に集中。

この記事を書いた人/提供メディア

Kumiko

独自性研究員。 独自のアイデアで、”考える”機会を与えてくれるものに惹かれます。 また、時間の動きに興味があり、今流行っているものよりも、その先: 時間を先に引っぱっている事や人、または、それ以前: 時間が刻まれた物をいつも探しています。東東京にはこれらの要素がいっぱいで飽きることがありません。

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