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2014.07.18 (Fri)

【この1年の人気記事】毎年、干支の扇子も人気です。歌舞伎役者も愛用する扇専門店・文扇堂@浅草

こんにちは。ライターの富田里枝と申します。本業は浅草・新仲見世商店街に店を構える和装履物店の四代目です。代々お付き合いのある浅草の商店主を中心に取材させていただいております。さて、8月のサイトリニューアルにむけて、今までの記事を振り返る企画をお届けしております。今月7月はこの1年の閲覧回数が上位だった人気記事をもう一度ご紹介しています。今回私がご紹介するのはこちらの記事です。

毎年、干支の扇子も人気です。歌舞伎役者も愛用する扇専門店・文扇堂@浅草

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文扇堂の四代目、荒井修さんは「文扇堂」の四代目として家業を継ぎながら、扇子の職人でもあります。その知識の深さ、人脈の広さ、気風の良さで、浅草では誰もが一目置く人物です。歌舞伎を始め、江戸文化に造詣が深く、『江戸・東京下町の歳時記』『江戸のセンス』(いとうせいこうとの共著)など著書もあります。歌舞伎界や舞踊界にご贔屓を大勢持ち、とくに十八代目 中村 勘三郎との交友が深かったこともあり、平成中村座を浅草に引っ張ってきたのは、荒井さんの功績。そんな荒井さんにお話しを聞くには、それなりに準備も必要、と自分なりに下調べや予習をしたのですが…。

まずは宗達の「風神雷神図屏風」を知ってから

とにかく荒井さんの知識の広さは半端じゃないので、取材は「文扇堂」が毎年暮れに売り出している<干支扇子>の話題に絞ろうとしました。ところが扇子の絵付けについて話し出すと、俵屋宗達の国宝・「風神雷神図屏風」とそれを模写した尾形光琳の作風との違いなど、話がどんどん深くなっていくのです! なんとか仕上げた原稿をチェックしていただいたものの書き直し。荒井さんが出演したWOWOW「美術のゲノム」という番組を録画したDVDを渡されました。

扇絵師だった宗達と、呉服屋に生まれた光琳は、なぜ風神雷神の配置のしかたが違うのか。番組の中で荒井さんが扇の柄付けやデザイン的観点から解説。さらに話は江戸琳派の酒井抱一にまでおよび、隠された抱一の洒落心をも読み解く、という内容でした。「実際そのことについては書かないにしても、知っていて書くのとそうでないのとでは、大いに違う」と荒井さん。まったくそのとおりです。もちろん扇子の歴史や絵柄の技法などの話も大変おもしろく、とくに関連する図案や意匠を描く“見立て”に関しては、歌舞伎や日本舞踊の知識があったらより楽しめるなぁと思いました。

「平成中村座七軒長屋」をニューヨークで

荒井修さんは、2014年7月7日(月)~12日(土)に行われた「平成中村座ニューヨーク公演」にて、中村屋とゆかりのある職人さん達といっしょに<七軒長屋>を展示されました。荒井さんの江戸扇子の他、手ぬぐい、江戸文字、錺かんざしなど7人の職人がニューヨーク・リンカーンセンター前で実演を披露、大好評だったようです。

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毎年、干支の扇子も人気です。歌舞伎役者も愛用する扇専門店・文扇堂@浅草

この記事を書いた人/提供メディア

Rie Tomita

Rie Tomita 東東京・プロジェクト 和文化研究員。10数年間、夫の仕事で東京以外の土地を転々としたのち生まれ育った浅草に戻ってきたので、東東京の魅力、残念な部分を冷静に見られるようになった。和装をはじめ、和文化関係のイベントを自身で主催、発信している。和装履物店 あさくさ辻屋本店の代表。

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