ホーム > インタビュー > 靴・かばんデザイナー曽田耕さん 旧鉄工所を自らの手で改装したアトリエにて精力的に活動中!<東東京に住むこと Vol.1後編>

2014.08.08 (Fri)

靴・かばんデザイナー曽田耕さん 旧鉄工所を自らの手で改装したアトリエにて精力的に活動中!<東東京に住むこと Vol.1後編>

人と人のつながりが濃く、様々なテーマ型コミュニティがある東東京。8月の特集「東東京に住むこと」では、そういったコミュニティに様々な形で関わる4組にお話を伺います。特集を通じ東東京で送ることのできる“生活のイメージ”や“根付いて生活するためのヒント”、“日々生まれている活動の様子”をお伝えできたらと思っています。

Vol.1では日本津々浦々に根強いファンを持つ靴デザイナー曽田耕さんをインタビュー。自ら改装した鉄工所にアトリエと住宅を構え、彼ならではの靴やカバンをつくる曽田さん。後半では曽田さんがいま感じる東東京の可能性や人とのつながりについて伺いました。

とてもユニークな創造性をもって靴・かばんを作り続ける曽田さんの世界観を今週8月4日掲載の前編でご紹介しましたが、今回は”ヒガシ東京に住むこと、またはそこでビジネスをすること”という角度からの曽田さんとのお話をお届けします。

ヒガシ東京 墨田区東駒形を拠点にしたのは?

曽田さんが自分ですべて改装する覚悟でアトリエを墨田区東駒形に構えたのにはそれ相当の理由があるはず。ここを仕事・居住の場にした経緯とは?

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前編でご紹介の通り、曽田さんは20年前に浅草の台東分校に実家の国分寺から通い、その後靴づくりを秋川で開始するも、材料も道具も浅草での仕入れで、忙しくなると共にその往復は時間的負担になっていることに気付いたと言います。浅草の靴材料の他にも、鞄の金具は浅草橋、電気部品は秋葉原、厨房用品は合羽橋、古本は神田、楽器は御茶ノ水、材木は木場、生地は日暮里など、何を買うにも、それはヒガシ東京にあると断言する曽田さん。また歩いていていろいろな材料が見られることが曽田さんにとっての”創造性”を刺激するのだそう。

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<写真:曽田さんとアトリエ SODA STUDIO。天井の高いユニークな空間です。>

というわけでまずは台東区今戸に引越し、次に東浅草、その後浅草駅からほど近い現在の墨田区東駒形の旧鉄工所の物件をすべて自身でアトリエ・家族の住居に改装したそうです。アトリエとしては2006年にオープン。今はすっかり曽田さんの仕事場と家族の楽しい空間になっている様子。

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<写真:曽田さんのお子さんが自分で装飾したなんとも可愛らしい靴。
他にも何足か見せてもらいました。親子で創作、ステキですね。>

ここが”商業地になるかも”と感じた

2006年に墨田区東駒形のアトリエをオープンして8年。ここでの曽田さんの仕事の広がり・地域との繋がりにはどんな変化があったのでしょうか?また、子供のいる家族の居住地として曽田さんはどのように感じていらっしゃるのでしょうか?

墨田区東駒形に引っ越してきてから地域との繋がりについて”自分を隠さない”ということを大切に考えていると言う曽田さん。新米なので、町会・子供たちとのラジオ体操にはできるだけ顔を出したり、ガラス、文房具、散髪、車の修理などは近所にある商店の利用を心掛けて、地域と繋がっていきたいそうです。

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<写真:去る5月31日-6月2日に自身のアトリエ SODA STUDIOで開催された曽田さんの展示会「100 SHOES 2014」の様子。これはアトリエ入口。(写真撮影:金子妙さん)>

仕事の広がりに関しては、この地域が”商業地になるかも”と気がついた曽田さんは今年の6月”100 SHOES 2014”という個展を初めて自身のアトリエで3日間開催。公共の告知はご自身のウェブサイトと前回のLwP Magazineのみだったにも関わらず、反響が大きく連日約100名くらいのお客さんが訪れたのだそうです。

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来場者は馴染みのお客さんはもちろん、告知をみて初めて来た人、また近所の知り合い、通りがかりの人など様々で、”ここの靴で着る服が変わった”・”いつも気になっていた”・”こういう商品だったんだ”などのコメントを聞き、人との交流が何より楽しかったそう。

”ビジネスとしては勿論ですが、自分が全くくたびれなかった事、近所の方が興味を示してくれたこと、お仕事の関係では単なる取引としてではなく 哲学の共感を持ってもらえたこと、などなど。なにしろ、これまで何十回とやってきたであろう展覧会のなかで全てダントツの成果でした”と曽田さん。ビジネスも人との繋がりも大成功だったようです。

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<写真:去る5月31日-6月2日に自身のアトリエ SODA STUDIOで開催された曽田さんの展示会「100 SHOES 2014」の様子。(写真撮影:金子妙さん)>

「人との交流が何より楽しい」という曽田さんのこれからのヒガシ東京での展望

曽田さんは今回の個展で人と人との交流が大事な時代ということを再確認し、意味のあった個展と感じたそうです。またこの人との交流の経験から”楽しい予感”がすると言う曽田さん、次のステップとして”ヒガシ東京でお店をやるのもいいかも”という気持ちをこっそり聞かせてくれました。場所をヒガシ東京に選ぶ理由は”デザインが入る前の建物や景観が好みで、それらがあちこちで出番を待っているし、今自分はここで暮らしているのだから”とのこと。

精力的に自分一人でプロジェクトを作り、実行して、またさらに大きくその次のステップに繋げていく曽田さんのヒガシ東京での活動はまだまだ目が離せそうにありません。

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<写真:いろいろな構造のパッチワークを日々試みている曽田さんの座布団。
これは金沢での散歩中に石垣を見たのがヒントになっているそう。>

2014年8月特集【東東京に住むこと】記事アーカイブ

はじめに:8月特集「東東京に住むこと」をはじめるにあたって
Vol.1前編:靴・かばんデザイナー曽田耕さん 旧鉄工所を自らの手で改装したアトリエにて精力的に活動中!

詳細情報

名称SODA STUDIO
住所東京都墨田区東駒形2-3-11
URL

http://www.sodako.com/

その他

この記事を書いた人/提供メディア

Kumiko

独自性研究員。 独自のアイデアで、”考える”機会を与えてくれるものに惹かれます。 また、時間の動きに興味があり、今流行っているものよりも、その先: 時間を先に引っぱっている事や人、または、それ以前: 時間が刻まれた物をいつも探しています。東東京にはこれらの要素がいっぱいで飽きることがありません。

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