ホーム > インタビュー > ウィンドウデザイナー&コーヒードリッパ― 山内敦史さん 東向島の各種イベントでおいしいコーヒーをふるまい中@墨田区東向島<東東京に住むこと Vol.2 前編>

2014.08.11 (Mon)

ウィンドウデザイナー&コーヒードリッパ― 山内敦史さん 東向島の各種イベントでおいしいコーヒーをふるまい中@墨田区東向島<東東京に住むこと Vol.2 前編>

人と人のつながりが濃く、様々なテーマ型コミュニティがある東東京。8月の特集「東東京に住むこと」では、そういったコミュニティに様々な形で関わる4組にお話を伺います。特集を通じ東東京で送ることのできる“生活のイメージ”や“根付いて生活するためのヒント”、“日々生まれている活動の様子”をお伝えできたらと思っています。

Vol.2ではウィンドウデザイナー&コーヒードリッパ―の山内さんをインタビュー。普段はウィンドウデザイナーとして働きながら、休日は自宅をアートの展示場所として開放するほか、様々なイベントでこだわりのコーヒーを淹れています。前半では東向島界隈でのアート活動について伺います。

スカイツリーのお膝元にある東向島エリアは、永井荷風の小説「濹東綺譚」の舞台にもなった、昭和レトロな雰囲気が今も漂う街です。東東京マガジンでも(前進のLwP magazine時代から)何度か取り上げましたが、この街には数年前から空き住宅や町工場にアーティストが移り住み、「墨東まち見世」や「39 ART in 向島」など、さまざまなアートイベントが開かれています。

今回の取材でインタビューしたのは、その東向島にお住まいの山内敦史さん。普段は会社勤めをしていますが、週末になると自宅をアートの展示場所として開放したり、様々なイベントに参加し、こだわりのコーヒーを淹れています。東東京に住み始めて5年とのことですが、周りには好きなお店がたくさんあり、交友関係もとても広い山内さんの生活は、とても充実していることが伝わってきます。

東東京マガジンでは、山内さんのインタビューを通じて「東東京に住むとこんな生活を送ることができる」というヒントを、ほんのちょっとお伝えできたらと思っています。
それでは、本編をどうぞ!

山内さんの自宅兼展示スペースLOGIQUE(ロジーク)のウィンドウより中をのぞく(写真/山内さん提供、以下同)。

【山内さんの自宅兼展示スペースLOGIQUE(ロジーク)のウィンドウより中をのぞく」(写真/山内さん提供、以下同)。】

ショーウィンドウが付いている一軒家の一部を開放し展示を行っている

山内敦史さんは普段は、デパートのショーウィンドウをデザインしているウィンドウデザイナー。本業の傍らご自身が住む東向島エリアを中心に、アートプロジェクトへの参加や、自宅を開放した展示活動、フライヤー制作などグラフィック・ディスプレイのお手伝いなど、さまざまな活動をしています。

ーー山内さんはなぜ東向島に引っ越しされてきたんですか?

東京に転勤が決まってどこに住もうかと考えているうちに、東京駅勤務ということもあり、東京の西側よりも東側に暮らす方が通勤しやすく、家賃も抑えられるのかなぁと思うようになりました。
専門学校の後輩に当たる蛇谷りえさん(※1)が墨東エリアで行われた地域アート「墨東まち見世」にアーティストとして参加していた三宅航太郎くん(※1)と知り合いだったので、まず三宅くんを紹介してもらい、さらに三宅くんから地元の方を紹介してもらい、家探しを手伝ってもらったんです。

ーー山内さんはアート活動とはどういう関わりをお持ちなんですか?

大阪からこちらに引っ越したのが2010年のGW明けなんですが、6月頃から鳩の街商店街にある私設図書館の「こすみ図書」(http://kosumitosyo.blogspot.jp/)がワークショップで改装をしていて、そのリノベーションのお手伝いに参加させてもらったのがきっかけですね。その後、「墨東まち見世」が10月~11月に開催されたのですが、その中で地域の複数の飲食店の箸を「おみくじ」のくじ棒のように筒の中に入れた「食」の「おみくじ」= 《おしょくじ》を引いて、みんなでお食事散歩に行こうという「京島おしょくじ」プロジェクトがあり、メンバーとして参加しました。「京島おしょくじ」の札紙やPOPデザインのほか、「こすみ図書」のフライヤーデザインなど、グラフィック・ディスプレイにこの頃からお手伝いさせてもらっています。

ーーグラフィック関係のことはいつ頃からされているんですか?

昔から友人のアーティストのフライヤーを作ったり、グラフィックのお手伝いをしていたんです。ここに引っ越してからは、こすみ図書さんほか、近所で僕がよくコーヒーを飲みにいく「東向島珈琲店」(http://www.cfc101.com/)のマッチのパッケージ、「墨東文庫・鳩の街編」の表紙など、ごく親しい方々のデザインのお手伝いさせてもらっています。もちろん本業があるので、こうしたことは休日にやっているんですが、大変にならないようにゆる~くやっている感じです。

墨東文庫・鳩の街編の表紙も山内さんがデザインしたもの。墨東文庫「街頭紙芝居編」のフライヤーも担当した。

【墨東文庫・鳩の街編の表紙も山内さんがデザインしたもの。墨東文庫「街頭紙芝居編」のフライヤーも担当した。】

東向島珈琲店のマッチをデザイン。トライアングル型のマッチ3種類と、コーヒー豆30gのセット。

【東向島珈琲店のマッチをデザイン。トライアングル型のマッチ3種類と、コーヒー豆30gのセット。】

ーー今回初めてご自宅にお伺いしましたが、以前は着物の仕立て屋さんだったとか。ショーウィンドウが付いていている一軒家で、ウィンドウデザイナーの山内さんにぴったりですね。インテリアも和室に丸いちゃぶ台、ソファなどがレトロな感じでとても落ち着けます。

ここに「logique(ロジーク)」という名前を付けて、ウインドウや部屋を使って、展示活動を不定期で行なっています。最初に行なったのは2011年の「私の考える井上光太郎展」。彼は大阪時代からの友人で油絵を描いているんですが、僕とほぼ同じタイミングで東京に出てきたんです。当時しばらく展示の予定がないので、じゃあココでやろうということになったんです。

2カ月間自宅の一部を土日だけ開放して、展示をしました。ただ壁が少ないので絵は多くは飾れないなと思っていたら、さきほども紹介した「東向島珈琲店」さんと「こすみ図書」さんも飾ってくれることになり、あわせて3箇所で展示を行ないました。僕が家にいるときに誰かが展示を見に来たらコーヒーを淹れたりしていましたね。

「私の考える井上光太郎展」。こすみ図書での展示。

【「私の考える井上光太郎展」。こすみ図書での展示。】

「私の考える井上光太郎展」。東向島珈琲店での展示。

【「私の考える井上光太郎展」。東向島珈琲店での展示。】

生活の延長としてさまざまなアート活動に関わっていたい

ーー次の自宅での展示は、2013年3月の「ガラスのアトラス」ですね。毎年3月9日をアートの記念日にしようという、全国各地で行なわれている「39アート」という活動の中の展示だったんですね。

毎年、向島の実行委員会が主催となり「39アート」活動を行なっています。この「ガラスのアトラス」は、美術家・図師雅人による、logique、あをば荘(http://awobasoh.com/)、こすみ図書、鈴木荘のヨネザワエリカのオフィスの、墨田区4カ所を拠点にした同時多発個展です。図師くんは墨田区にあるシェアアトリエ「float」(http://f-l-o-a-t.info/)のメンバーなんですが、「あをば荘」※2の管理人の佐藤くんが企画して、もともとはあをば荘のみで展示をしようとしていたんですが、せっかくだから共同でやろうということになったんです。

「ガラスのアトラス」logiqueでの展示。タイトルは「きわめてzooなプライベート」。

【「ガラスのアトラス」logiqueでの展示。タイトルは「きわめてzooなプライベート」。】

インスタレーションと言って、多様な素材・イメージを用いた作品なんです。展示空間全体を使った三次的表現なので、スペースによって展示内容もさまざま。展示期間中には僕の知り合いのバンドによるジャズライブを企画して、各会場で演奏を行ないました。あれはとても楽しかったですね。

「ガラスのアトラス」logiqueでの展示。ショーウインドウも展示場になる。

【「ガラスのアトラス」logiqueでの展示。ショーウインドウも展示場になる。】

こすみ図書で行われた、バンド「Talk with you anything」によるジャズライブの様子。

【こすみ図書で行われた、バンド「Talk with you anything」によるジャズライブの様子。】

ここまでのエピソードをお聞しただけで、山内さんが墨田区で精力的に街と関わり、その生活を満喫していることが伝わってきます。

では、どうして自宅で展示活動を行なうようになったのか、またコーヒーをふるまうようになったのでしょうかーー。ここからは金曜日に続く<後編>でお届けします。どうぞお楽しみに!

※1 蛇谷りえさんと三宅航太郎さんは現在、鳥取でゲストハウス「たみ」を運営している。
URL:http://www.tamitottori.com/

※2「あをば荘」は集合住宅の一部を改装し、二階を住居、一階を企画 スペースとして運営している。

8月特集【東東京に住むこと】記事アーカイブ

はじめに:8月特集「東東京に住むこと」をはじめるにあたって
Vol.1前編:靴・かばんデザイナー曽田耕さん 旧鉄工所を自らの手で改装したアトリエにて精力的に活動中!
Vol.1後編:靴・かばんデザイナー曽田耕さん 旧鉄工所を自らの手で改装したアトリエにて精力的に活動中!

詳細情報

名称logique
住所東京都墨田区東向島6-51-15
URL

http://logique.exblog.jp/

その他東武スカイツリーライン・東向島駅から徒歩5分

この記事を書いた人/提供メディア

Chiho Takita

空き家&空き店舗活用研究員。普段はマネー誌のライターだが、地域に根ざした暮らしと仕事をしたいと思い、東東京マガジンライターに。浅草~向島界隈を中心に街歩きをしていたところ、空き家&空き店舗を再生して図書館やギャラリー、カフェ、イベントスペースに活用している事例を知り、これらの取材をするように。浅草在住。

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