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2014.09.05 (Fri)

タナカホンヤ「本を通じて人と繋がる」@根津<ブックイーストVol.1前編>

本にまつわる事柄で先進的な事例の多い東東京。9月の特集『ブック・イースト〜日本中を刺激する東東京の「本」文化〜』では、本屋さん、出版社、本イベントの仕掛人、本を生活の一部にした人たちなど、4組にお話を伺います。特集を通じ、東東京にある本にまつわる活動が多くあることを知っていただけたらと思います。

それでは、本特集のはじまりです。Vol.1では根津の古書店&ギャラリー「タナカホンヤ」店主・田中宏治さんにお話しを伺いました。

根津に開業した古書店&ギャラリー

東京メトロ千代田線「根津」駅(出口2)から徒歩1分、裏通りに位置する「タナカホンヤ」は、根津界わいの住民に親しまれている古書店&ギャラリーです。2012年5月19日のオープン以来、FMラジオ放送局・J-WAVEの番組や雑誌『BRUTUS』等に登場し、注目を集めてきました。

そこで9月の特集「ブックイースト」Vol.1では、店主・田中宏治さん(36歳)のインタビューをお届けします。根津という街で本屋を開業したキッカケに始まり、1日の仕事、選書、地域とのつながり、これからの希望まで語っていただきました。前編では、開業のキッカケからご紹介します。

【店主・田中宏治さん。背後の壁に飾られた写真は田中さん撮影】

【店主・田中宏治さん。背後の壁に飾られた写真は田中さん撮影】

根津の裏通りと空間の雰囲気が決め手になって古本屋を開業

——タナカホンヤを開業したキッカケは?

自宅を引っ越すタイミングがあり、その際、引っ越すだけでは面白くないと思っていました。店舗兼住宅を探していたところ、店舗のみではありましたが今のこの裏通りと空間の雰囲気が気に入って、ここで始めることにしたんです。自宅は西日暮里に借りて、スタートしました。

引っ越しの流れで決めたので、実質2〜3ヵ月しか考える猶予はなくて、勢いというか、プレッシャーというか、そういう気持ちを感じながら、どうやってお店を切り盛りしていこう等と考えることもなく、開業していました。

本屋自体は以前、沖縄で1ヵ月だけしたことがあったんですね。牧志公設市場の向かいにある、古本屋のとくふく堂さんが場所貸しをしていて、借りました。今は市場の古本屋ウララさんのある場所です。自分の好きな本だけ並べて、楽しかったので、古本屋を始めようと思いました。

ただ、ここは壁が白くリフォームされていて、トイレも付いており、エアコンまで設置されていたので、古本屋だけでなく壁貸しやレンタルギャラリーもしようと思っていました。

【沖縄時代のエピソードは新聞にも取り上げられた】

【沖縄時代のエピソードは新聞にも取り上げられた】

ベビーカーごと入れる店内。子ども向けに絵本を

——タナカホンヤの1日の仕事は?

12時に開店して、掃除をします。あとは基本的に座っているだけと言いますか、ぼくは買い取りをしていないんですね。ここで販売している古本は、自分の蔵書でスタートして、今は神保町で購入しています。

レンタルギャラリーをしようと思っていたので、空間を本でいっぱいにしようとはしませんでした。本棚もタイヤを付けて配置換えできるようにしていますし。だから、古本屋をやっている感覚や、古本屋として成り立っている感覚は薄いです。だからか心配してくれる方がいて、本を寄付してくれることがあります。

【キャスター付きの本棚は自在に移動でき、空間を有効活用】

【キャスター付きの本棚は自在に移動でき、空間を有効活用】

——タナカホンヤで扱っている本は?

旅の本、建築の本、絵本が多いですね。今後は絵本をもう少し増やしていきたいと思っています。周りの古本屋さんを見てもそうですし、実際にここに来る方のことを考えると。

ここは通路側が開け広げなので、ベビーカーのまま入ってくることができるんですね。お子さま連れのお母さん向けに、ぼく自身の好みで選んだ絵本だけではなくて、もっと揃えていけたらなぁと思っています。

開け広げになっていることもあって、店にいる時に学校帰りの小学生から「おっちゃん」と声をかけられることも多いですね。自分から声をかけるわけではないのですが、縄跳びしながら入ってきてくれる子もいて、路上の延長にある遊び場のように思ってくれているのかもしれませんね。

【タナカホンヤのおすすめ本。入荷したばかりで値付けされておらず、購入できず(残念!)】

【タナカホンヤのおすすめ本。入荷したばかりで値付けされておらず、購入できず(残念!)】

後編はタナカホンヤのギャラリーと未来について

「向かいに住む方がお昼を作ってくれることもありました」と、近隣住民との親しいエピソードも教えてくれました。みんなに愛されている古書店&ギャラリー「タナカホンヤ」のインタビュー後編では、ギャラリー業やタナカホンヤのこれからについて、ご紹介します。後編もお楽しみに。

9月特集【ブックイースト】記事アーカイブ

Vol.0:9月特集を始める前に。本のことなら、東東京をみよう

詳細情報

名称古書店&ギャラリー「タナカホンヤ」
住所東京都台東区池之端2-7-7
URL

http://blog.livedoor.jp/tanakahonya

その他ギャラリー利用料:2週間3万円〜(参考例)

この記事を書いた人/提供メディア

新井 優佑

インタビュアー/ノンフィクションライター。WEBマガジンやオウンドメディアの運用、寄稿をしています。出版社でスポーツ雑誌編集とモバイルサイト運用を担当したのち、独立しました。2014年は、手仕事からデジタルファブリケーションまで、ものづくりの記事を多く作成しました。1983年東京生まれ。

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