ホーム > インタビュー > やりたい仕事がないから、惚れた建物に自分で作った!古物商店東京蛍堂 <建築/コミュニティスペース Vol.4 後編>

2014.11.28 (Fri)

やりたい仕事がないから、惚れた建物に自分で作った!古物商店東京蛍堂 <建築/コミュニティスペース Vol.4 後編>

【写真:東京蛍堂への路地の入口はタイムトリップの始まり】

前編では、30もの違う仕事でのくやしさから、「好きな仕事がないなら、自分で作る」と決めて、やりたいことをレシートの裏に書いて、箱に貯めた「東京蛍堂」のオーナー稲本さんのお話をご紹介しました。それが、どう発展したかというと...

やりたい仕事がないなら、自分で作る!

稲本さん:やがて「ドリームノート」(稲本さんが自分でそう名付けたノート)を作って、どんな建物で、どんな物を売るかといった詳細をすべてまとめました。これを実際ここで実現しているんです。

hotarudo-37【写真:品物の買い取りの時には、物とそれを作った職人さんのことを考えて、”何を残せるか?”・”何が伝えられるか?”という決断をすることと、それを大切にしてくれる人に広めるのが自分の責任という稲本さんの気持ち、お店にいて伝わってきます。】

陽子さん:「ドリームノート」に書いてあることが、本当に驚くほど忠実に、ここで実現してるんですよ。ここの入り口のドアの様子 (古い引き戸をドアとして取り付けてある) とか、本当にそのまま。

hotarudo-27

稲本さん:昔の物を伝えることを、仕事にしたかったんです。当時のオリジナルの空気感を今に甦らせて、次の世代にそのアイディアを残したいんです。自分で欲しいものは、自分で所有するのではなく、ここで他の人に知って・使って欲しいんです。ここでは自分はマネキンなんです。若い人はファッションに惹かれるから、それを利用してお店に来てもらって、実はもっと大切な物を伝えるのが目的。だから、商品を触ってみることをお客さんに薦めてます。

—— この建物、お店、売り物と、さらにご自身も含め、全てが稲本さんのデザイン作品ですね。

hotarudo-47 【写真:陽子さん(左)はたばこ屋のカウンターの前で。淳一郎さん(右)の自分で染めたシャツと、自作のサスペンダー。】

稲本さん:電気製品も、昔のデザインと、今のテクノロジーの融合をさせてるんです。古い電気照明を電球だけLEDに変えてたり、動かなくなった置時計は電池で動くようにしたり、今の時代に使えるようにしています。こういう作業をしていると、時間を忘れてしまって、ハッとすると夜中2時とか3時とか。1分1秒が惜しい。本当に幸せです。

hotarudo-24【写真:昔のデザインと今のテクノロジーの融合。電球だけLEDに変えて。】

—— 昔のデザインで、今のテクノロジーだったらどんなにステキだろうっていうものは、本当にたくさんありますよね。

稲本さん:こうすることで、若い人に昔の美しい物や、職人さんの思いが伝わればと思っています。今はとても豊かな時代なのに、なぜ手がかかって、生産性が低くても、デザイン性の高いものができないのかが不思議です。今の市場に出ているデザインは、残念なものがすごく多いと思います。自分のPCのデザインが嫌で、仏壇に入れてました。

hotarudo-36【写真:古い鏡の付いた試着室】

「今幸せでたまらない」

仕事も恋も生活も遊びも、すべてが楽しくて仕方がない、今毎日が幸せでたまらないと、稲本さんと、陽子さんはふたり口をそろえて言います。お店に入ると、建物・商品、そしてふたりの顔からそれが滲み出ているのを感じるのは、私だけではないはず。

hotarudo-54【写真:陽子さんは、いつもレトロの美しい着物で、にこやか】

稲本さん:この幸せを、なるべく多くの人に広げたい気持ちなんです。僕がいつも人に言うのは、「好きなことをするのが一番!」。失敗を怖がらないで実行すると、成功できるんです。本能に従うこと。中途半端な馬鹿じゃなくて、突き抜けた馬鹿になると、食べていけるようになるんですよ。

陽子さん:本当に自分たちが、これで食べて行けていますから。

常にレベルアップ 将来の夢

稲本さん:これからの夢もあるんです。話してもいいですか?

—— もちろん、お願いします!

稲本さん:(さっと、ノートを出してきて、私の方に開きながら) これが僕の将来の夢のノートなんですよ!実は戦前スタイルのダンスパーティー、本物のカフヱー(”ヱ”は旧かな)をしたいんです。

hotarudo-10【写真:稲本さんの将来の夢-”社交ダンスから地方活性化”を綴ったノート。】

開いたノートのページには、太いペンで「世代をつなぎ、古きものを未来へ! キーワードは…着物 + ダンス + 音楽」。そしてそこには社交ダンスに関するさまざまなリサーチと、将来の夢が。

稲本さん:今の社交ダンスにありがちな、ポリエステルのケバケバのドレスではなく、着物と洋装をドレスコードにするんです。着物を着ると拘束されるので足が広げられず、ほど良い。そこに憂いや、日本人らしさが出るんです。戦前やっていた、日本独自のダンススタイルで生バンドが入って、踊りたい人は踊って、そうでない人は見ているだけでもいいんです。文化人が集う、フランスで言うサロン的な、本当に好きな人の集まり♪ ストレスフリーで。最初は東京で、神谷バーとかでやりたいですねー。

hotarudo-57【写真:稲本さんのノートにある、戦前の社交パーティーの様子。】

—— 今ある社交ダンスとは全然違っていて、場所の選択もいいですねー。

稲本さん:その次は銀座ビアホールで。そうすると、東京はもちろん、地方のお洒落さんが旧車等でやってきて集う。そのうち自分たちの地元のクラシックホテルの凄さと、”民族衣装の着物を着れば、年齢問わず交流できる”ことに気づく。昔のホテルにはダンスホールが必ずあるので、そこで社交ダンスパーティーを開くようになると、”ここへ集えば、素敵な紳士、淑女、本当の知識人に出会える!”と地元の大人たちも動いてくれる。それが、地方活性化になって、自分の地域の誇りに繋がるんです。

hotarudo-52【写真:実は現在、第二日曜夜に開催されている東京蛍堂交流会。ドレスコードは着物かレトロのスーツドレス。今のところは、ノンアルコールを徹底。「お酒でなく、金儲けでなく、純粋に好きだと云う人を集めることを、力の中心にしたいんです」と稲本さん。この”マロとメガネボーイズ”がその東京蛍堂交流会で生演奏。曲目はもちろんレトロの”東京ブギウギ”など。】

—— 社交ダンスから地方活性化を考えてるなんて、すごい!

稲本さん:昔あった事、物を絵空事のように風化させない。ただの懐古主義ではなく、現在あるハイテクノロジーも使いこなし、時代を読みつつ、古い物と融合して未来へ。それが、私の考えるモダン(最先端)ボーイ。先人の知恵を昔から受け取り、何を残し、紡ぐか…。死ぬときには「少しやったなぁ〜」と、ニヤっとして死にたいんです。

稲本さんの「ドリームノート」の実現の仕方をみると、近いうちにきっと次の”夢”を成し遂げ、最後には、この念願の”ニヤっ”もやるに違いないと思います。私事ながら、こういう人が大好きです。

hotarudo-44

詳細情報

名称古物商店 東京蛍堂 
住所東京都台東区浅草1-41-8
URL

http://tokyohotarudo.com/

その他営業時間:
水〜日(祝日は営業)
11:00〜20:00

定休日:月・火

この記事を書いた人/提供メディア

Kumiko

独自性研究員。
独自のアイデアで、”考える”機会を与えてくれるものに惹かれます。
また、時間の動きに興味があり、今流行っているものよりも、その先: 時間を先に引っぱっている事や人、または、それ以前: 時間が刻まれた物をいつも探しています。東東京にはこれらの要素がいっぱいで飽きることがありません。

週間ランキング

  • mag_wanted
  • 151220_sooo_banner
  • 151220_reboot_banner