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2014.12.25 (Thu)

地元民が案内する浅草by今村ひろゆき 〈ヒガシトーキョーツーリズムVol.2 前編〉

Vol.4では弊誌代表、今村ひろゆきが浅草をご案内。モノづくりイベント「A-ROUND(エーラウンド)」の実行委員としても活動する今村は、自らも浅草に住み、街の方々と深い関わりを持っています。そんな彼の紹介するスポットはどれも愉快なものばかりで、こんなお店があるなら浅草に住もうかな? と思わせてくれました。それでは浅草編をどうぞ!

前編で紹介するお店
浅草観光、まずはじめに
手作りのあじわいを iichi
浅草のユーテンシルストア かまわぬ浅草店
たいやき&ギャラリー? 浅草浪花家
フィルム文化のサロンとして pippo
タコや海藻を身につける! 小山兼吉商店
人の営みに季節を感じて NOAKE TOKYO

浅草観光、まずはじめに

「浅草はとてもエリアが広いので、駅のそばにあるレンタル自転車を利用しましょう」(今村)

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隅田川をクルーズする船着き場のそぐそこ、駐輪場兼レンタサイクル。費用は4時間200円、一日300円と、とってもリーズナブルな価格でママチャリを借りることができます。返却はもこちら以外の場所も選択できるので、利用しない手はありません。

雷門を通り過ぎて、すぐ近くのオレンジ通りに向かいます。

手作りのあじわいを iichi

「ハンドメイド・クラフト・手仕事品のマーケットサイト、『iichi』のリアル店舗が浅草にあるんです」(今村)

雷門通りを国際通り方面に進み、浅草一丁目の交差点を右に曲がればそこがオレンジ通り。すぐに左手に見える白い建物の2Fが「iichi」さんです。

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店内に入ると、iichiさんがセレクトした手作りの雑貨がズラリと並んでいます。スタッフの豊田さんにお話をうかがいました。

「iichiのサイトに出品されている作品が実際に見て買えるというところが好評ですね。逆にお店に来られた方がサイトを利用したり、そういう循環が生まれています」(豊田さん)

iichiさんでは年に数回、百貨店のイベントに出店したり、今後は店舗にてワークショップも盛んに行う予定。

「百貨店のイベントでは作家さんにも売場に立っていただいています。来店の際はぜひ話しかけてほしいですね」(豊田さん)

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2Fに向かう階段も素敵。ビルのオーナーとのご縁でこの地にショップをオープンした

iichiさんのサイトに出品している作家さんは、他に仕事を持ちながら作家活動をされている方も多いといいます。出品や登録は無料でできるので、発表の場を探している方には気軽にどんどん活用してほしいサイトです。

浅草のユーテンシルストア かまわぬ浅草店

オレンジ通りをそのまま進んで、「かまわぬ浅草店」へ向かいます。

「こちらは手ぬぐい販売のほか、ギャラリースペースを備えていて、とてもおもしろい展示を行っているんです」(今村)

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「手ぬぐいというと、どうしても観光地に行った記念やお土産で購入するイメージがあります。浅草店は手ぬぐい以外の商品も一緒に並べて、手ぬぐいだけではない『ユーテンシルストア』として、普段の生活に取り入れていただきたい手ぬぐいや日用品の提案を行っています」

そう話してくれたのは、かまわぬWeb企画ご担当の秋葉美保さん。
“ユーテンシル(utensils)”とは、日用品や暮らしの道具を指す言葉。手ぬぐいだけを売っているのではない点がかまわぬ浅草店の大きな特長です。そしてお店の発信の場となっているのが、2Fのギャラリースペース。

かまわぬ

「月に1〜2回の頻度で企画展を行って、国内外の日用品を紹介・販売しています。かまわぬはお店や企業のオリジナルの手ぬぐいをデザインしているのですが、通常はそのお店でしか買えない手ぬぐいも期間限定で販売することもあります」(秋葉さん)
「インドの道具展のときには『ここは一体どこだろう?』という不思議な空間になっていました(笑)。ただ、手ぬぐいと合わせると意外に馴染むんです」(浅草店店長 岩田さん)
かまわぬ2

左上:壁には手ぬぐいをそのままディスプレイできるパネルが/右上:エントランスの吹き抜け部分は天井までパネルが並ぶ/左下:2015年の干支・羊柄の手ぬぐい。かごやフライパンなど雑貨も一緒に販売している/右下:左から、浅草店店長の岩田さん、Web企画ご担当の秋葉さん

「若い方々に向けて、手ぬぐいやお店にあるような雑貨をもっと日常に取り入れてほしいという意味も込めて、浅草店はモダンな内装にしています。純日本家屋である代官山本店とは対照的ですね。ものづくりが盛んな街でもあるので、今後はそういった方々ともつながっていけたら」(秋葉さん)

現在開催中の企画展は「あの街のユーテンシル-北陸-」。
北陸のお店・作家の雑貨を展示販売しています。
(2つ上の写真がそれです)
あの町のユーテンシル-北陸- 告知用

2014年12月19日(金)〜2015年1月7日(水)
10:00〜18:30
※年末年始は休まず営業。営業時間の延長あり

「あ、これ欲しい」と素直に感じる、セレクトされた日用品の数々は、手ぬぐいと一緒に使えばより生活が楽しくなりそう。そういう印象が残ったショップでした。

たいやき&ギャラリー? 浅草浪花家

伝法院通りを左に折れ、国際通り方面へ移ります。
お昼にはまだ早いけど、ちょっとお腹を満たしたい。そんなときはぜひこちらの「浅草浪花家」。

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たいやきの名店、麻布十番浪花家総本店からの暖簾分け。明治42年の創業以来の一丁焼きで、カリッ、フワッとした食感が楽しめます。

「母の実家が浅草の豆腐屋で、このあたりは幼い頃からなじみがありました」
とは、店主の安田亮介さん。

なにわや
なにわや2
こちらには、主に現代の写真を展示するギャラリーがあるのも大きな特長。
「妻が写真好きで、喫茶スペースをギャラリーとしても利用しています。もともとそのつもりはなかったのですが、赤々舎(写真集を主とする出版社)さんに企画を打診して実現しました。今ではたいやきが好きな方が写真に出会ったり、その逆が起きたりと、相互のファンに作用しています」(安田さん)

1月からはディジュリドゥ奏者にして画家・GOMAさんの絵画展が行われます。

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「GOMA絵画展@浅草浪花家」
2015年1月1日(木)〜2月1日(日)

ちなみに浅草浪花屋さんはかき氷も名物。

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くろみつ、みるく、きなこのかき氷。

かき氷は12月中お休みしていますが、1月から販売を再開するそうです。

フィルム文化のサロンとして pippo

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pippoはフォトグラファーの平間至さんが経営する、レンタル暗室&ギャラリーです。
“人とのつながりが深い街”と平間さんが浅草を選び、2010年にオープン。デジタルカメラが普及したいまでも、フィルムならではの色や質感を求める方々が多く訪れています。スタッフの宮本愛(めぐみ)さんにお話をうかがいました。

「暗室を使う方は、すぐ近くに住んでいる方から千葉・埼玉など関東近郊からも来てくれています。ワークショップには遠く広島から訪れたり。年齢も、学生からご年配まで本当に様々です。暗室を自宅に作ろうとすると管理がとても大変なので、レンタル暗室は需要がありますね」

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ワークショップは月に1度くらいのペースで、写真の撮り方や現像方法、鑑賞の仕方などを学べる場となっています。この日はカラープリントの講座を行っていました。

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左上:pippo入り口/右上:奥がモノクロ用の暗室。左のドアはカラー用の暗室/左下:写真集やグッズも販売。事前に申し込めば暗室で使用する印画紙も注文可能/右下:スタッフの宮本さんと平間さんのポスター。

新しい試みとして来年、スタジオやギャラリー機能を持った写真館を三宿にオープン予定。

「携帯でもバンバン写真が撮れる時代ですけど、フィルムで撮りたいという方もやはり多くて、ワークショップの募集をかけるとすぐに埋まってしまうことも。フィルムの良さを伝える場、そしてみなさんの作品づくりの場としてこれからも継続していきたいと思っています」(宮本さん)

タコや海藻を身につけてみる! 小山兼吉商店

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ここからは浅草の奥に入っていきます。
「小山兼吉商店の小山京子さんは、台東デザイナーズヴィレッジのご出身です。アクセサリーのデザインがとてもユニーク」(今村)

小山さん、この場所を選んだのはどうして?
「御徒町にパーツ屋さんが多いので、そこまで自転車で行けるところにアトリエを構えたいと思っていました。それでここの物件を知って、ひょっとしてお店もできるかも? と大家さんに相談したら意外とゆるい感じでOKが出て。普段はここで仕事をしていて、金・土だけショップとして営業しています」

場所柄、通りがかりでふらっと入ってくる方は少なく、来店は顧客の方がほとんどと言います。
「40〜60代の女性がひと通りブランドものを所有してきた後に、他人とは違うアクセサリーを求めている。そういった方々に支持をいただいていると思います」

小山
上:3種類の海藻をモチーフにしたピアス。緑がカサノリ、紺がスギノリ、水色がアミジグサ。ニットも小山さん作/下左:貝から型を取った、カタツムリのブローチ/下中央:アクセサリーにはモチーフごとにコメントが。「パッと見ただけじゃなんだかわからないことが多いので(笑)」(小山さん)/下右:マカロニのモチーフ。もちろん穴が空いている

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タコのヘッドセットを頭に付けた小山さん。タコらしい赤もあるのですが「白はウェディング用にいいかなと思って」(小山さん)。かわいらしいですね!

ちょっと変わったアクセサリーをお探しの方は、ぜひ訪れてみてください。小山さんご本人が直接説明してくれますよ。

人の営みに季節を感じて NOAKE TOKYO

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小山兼吉商店さんのすぐ近く。浅草店を含め、都内に4店舗を持つNOAKE TOKYOさん。パティシエの田中伸江さんは近くの三ノ輪が地元ですが、浅草に拠点を構えた理由はそれだけではありません。

「ハロウィンやクリスマスなどはお菓子がよく動く時期なのですが、そういった商業ベースで季節を感じることに少し違和感がありました。その点、浅草はお祭りが多くて、人間の営みで季節が変わる土地。修行していたフランスやジュネーブは教会を中心に街がつくられていて、それに近いものを感じました」(田中さん)

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これぞNOAKEさんともいうべきボンボンキャラメル。かつて屋台の業態で出店していたときにうかがったことがあるのですが、その風情にバッチリ似合っていました。

「チョコバナナやりんご飴などのニュアンスを残していて、“懐かしいけど新しい”お菓子です」(田中さん)

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左上:箱にそのまま入った和栗のモンブラン。「モンブランは日本を代表する和洋菓子」と田中さん。木べらでどうぞ/右上:こちらも人気のお菓子、パウンドケーキ/左下:ボンボンキャラメルは花束のようにもできる!/右下:浅草店はカフェスペースも併設

「表参道や六本木にお店を出していた頃は若い女性が訴求対象でしたが、最近は男性や年配のお客様にもよく来ていただいています。浅草の奥ですが、近所に少しずつ新しいお店もできてきました」(田中さん)

店舗は浅草警察署のすぐ近くと、決して交通の便が良いとは言えない場所ですが、しっかりファンが付いているお店です。屋台は現在、マーチエキュート神田万世橋店にあるとのこと。

まだまだありますので、続きは後編で!

12月特集:ヒガシトーキョーツーリズム目次


〈Vol.1「谷中編」前編〉HAGISO代表・宮崎晃吉さんが谷中をご案内!
〈Vol.1「谷中編」後編〉HAGISO代表・宮崎晃吉さんが谷中をご案内!
〈Vol.2「浅草編」後編〉地元民が案内する浅草 by 今村ひろゆき
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〈Vol.3「墨田編」前編〉すみだ川ものコト市代表 三田大介さんが大好きな墨田をご紹介!

この記事を書いた人/提供メディア

本多 祐介

ローカルシティー研究員。地方都市のこれからの姿に興味津々。東東京も地方都市のひとつととらえると、今まで見えなかったものが浮かび上がってくると思います。古と新しさが同居するこのエリアに深く関わって魅力を伝えていきたいです。モノ好き、山好き、ビール好き。

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