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2014.12.27 (Sat)

地元民が案内する浅草by今村ひろゆき 〈ヒガシトーキョーツーリズムVol.2 後編〉

浅草に住む弊誌代表・今村がおすすめする観光案内の後編です。今回もお菓子屋さんやクリエーター、飲食店と幅広く紹介。ぜひみなさんも訪れてみてくださいね。それではどうぞ!

前編はコチラ!

後編で紹介するお店
モノコボの人たちに愛される中華屋 村
あたり前のことを丁寧に 菓子工房ルスルス
店と一緒に年齢を重ねる 喫茶あかね
靴を買いにくる街にしたい THE BOOTS SHOP
日本人としてのフレンチを et vous?

モノコボの人たちに愛される中華屋 村

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ものづくり工房が近いこともあり、入居者の皆さんに大いに支持をされている「村」さん。今村いわく、「ゆで豚がおすすめです!」。

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これが人気メニュー「ゆで豚のガーリックソース掛け」。炒めたニンニクが香ばしくて絶品です。

「お酒と一緒に食べたらたまらないですよ」と店主の村田誠さん。「観光バスの駐車場が近いので、お昼にはバスの運転手さんやガイドさんが利用してくれます。夜はものづくり工房のみなさんに来ていただいていますよ」

村

お昼の定食は750円。デザートの杏仁豆腐に到るまですべて手作りとのこと。村田さんの人柄が暖かく、昼でも夜でも、いつでも訪れたいと思わせるお店です。

あたり前のことを丁寧に 菓子工房ルスルス

「浅草店オープンから約2年。姉妹で運営していて、本店は東麻布で約8年、今年から銀座松屋にも出店しています。ベーシックでやさしい味が好きです」(今村)

ルスルス

「缶入りの『鳥のかたちクッキー』と『夜空缶』が人気です。贈り物にも喜ばれます。
生菓子では、シュークリームとプリン、チーズケーキと、シンプルなものが人気ですね」
と答えてくれたのは、オーナーの新田あゆ子さん。浅草の感想をうかがうと、「街としての成熟度が高い」といいます。

「個人店であたりまえのように家族で商売をしていて、年齢を重ねていくことに誇りを持っていく大人が多い気がします。それをきちんと尊敬している若い人の空気感が好きで」(新田さん)

どういったお客様がきますか?
「若い女性はもちろん、意外と、50代の男性の方が多いです。雑誌やテレビで見て、遠方から来られる方も。ルスルスへの期待を大きく持ってご来店くださるので、こちらはとても緊張します。ご近所の方の中には『箱がもったいないから』と、お皿を持ってきてくれるのもこの街らしいところ。ルスルスの「あたりまえのことを丁寧に」という信念を、お菓子そのものや、お店のたたずまいや、スタッフの対応の中に感じてお帰りいただけたらと、いつも思っています」(新田さん)

浅草発・大人気のお菓子屋さん、ルスルス。「40、50になっても『まだまだ新参者ですが』と言うような大人に、私たちもなりたい」(新田さん)と、とても謙虚な姿勢が印象的でした。

店と一緒に年齢を重ねる 喫茶あかね

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今回ご紹介するお店の中で、最も長い歴史を持つ「喫茶 あかね」さん。1977年に開業し、現在は綾部修治さんが2代目マスターとしてお店を切り盛りされています。

「あかね」の由来は、コーヒーの木がアカネ科ということと、窓から茜色の西日が差すことから。
「もともとここは母の実家で、靴問屋でした。その後、母が始めたお店なんです。駅から離れているので観光のお客様は少なく、周りの会社の皆様で成り立っています」(綾部さん)

あかね
左上:棚には綾部さんセレクトのマンガがたくさん/右上:店内の様子。昔ながらの喫茶店の風情/左下:デザインがかわいらしいと評判の喫茶あかねマッチ/右下:マスターの綾部さん。コーヒーは挽きたてをサイフォンで提供

ランチも手がけており、生姜焼きやハンバーグの定食が人気。お米は、栃木の契約農家から仕入れた玄米のコシヒカリを毎日精米して、ガス釜で炊き上げるといいます。

ところでこういう喫茶店は入りづらいと言われませんか?
「最初は、扉を開けるのがちょっと緊張すると言われますね(笑)。でも喫茶店ですから、一人でコーヒー飲みながらマンガを読んだり、タバコを吸いながらボケーっと過ごしてもらえたらうれしいです。男性のお客様が中心ですが、女性のお客様もお待ちしています」

自分の年齢=店の歴史という綾部さん。「母のお腹にいた頃に開店したので、僕の胎教はコーヒーとタバコの香りです」と笑って話してくれました。一見入りづらいけど、入ってみたらとてもあたたかい。そんな喫茶店です。

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開店当時からカウンターを飾る照明が、店の歴史を物語る

靴を買いにくる街にしたい THE BOOTS SHOP

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言問通りを渡って駅の方面へ戻ります。「花川戸にある『THE BOOTS SHOP』さんには、すごくかっこいいブーツがたくさん置いてあります」(今村)
こちらのブランド「ROLLING DUB TRIO」は今村も愛用中です。

「THE BOOTS SHOP」さんは靴の企画・デザインを手がける徳永勝也さんによる「クラフトバンク」のフラッグシップショップとして、2012年にオープン。
美大でプロダクトデザインを学んでいた頃、ファッションショーのための靴を作る機会を得てそこからどっぷりと靴にハマっていったという徳永さん。

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「この場所はもともと事務所兼アトリエで、手狭になったんで近くに移ったんですけど、空いちゃったから店でもやろうかなと。金土日の営業で、お客さんがちょこちょこ来ればいいかなと思っていましたが、今ではすごく来店が増えています」(徳永さん)

ブーツ
人気のあるシリーズは「脱ぎ履きしやすいように」(徳永さん)とミッドカット丈が特徴。材料ひとつひとつの密度が高く、存在感がすごい。「履きならすときに痛くなりそうな箇所はわかっているので、そうならないようにデザインしています」(徳永さん)

「浅草は靴を作るのに利便性があるのはもちろんですが、作るだけじゃなくて買うところでもあったんですよ。この花川戸は特にそうで、靴を買ってお寺にお参りに行くとか、かつてはそういう文化があった。ここは靴を買う街なんだということをもう一度体現したかったんです」(徳永さん)

花川戸は言問通り、江戸通り、馬車道通りと三方を大きな道路に囲まれた、わりあいひっそりとした街です。徳永さんは「駅からも近いので、いろんなショップができて、もっと『買いものをする街』としても盛り上げていけたらいいですね」と語ってくれました。

日本人としてのフレンチを et vous?(エヴー?)

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et vous?のエントランス。季節の草花が岡部さんの世界を彩る

THE BOOTS SHOPさんから一本通りを隔てたフレンチレストラン、et vous?。
シェフの岡部さんは「日本をイメージさせるものとして、浅草はとても強い地名だから」とこの地を拠点とした理由を話してくれました。

「きっかけは高校生の頃に遡るのですが、調理科の学校に通っていたときに、フランスへ研修旅行に行く機会がありました。その際あちらの方に『日本ってどういう国?』と聞かれても、自分は答えられなかった。それで日本のことをもっと知ろうと思って、帰国後に茶道を習いはじめました」(岡部さん)

そういった経験から、日本人である自分がフランス料理を提供することに疑問を感じはじめたといいます。逆に置き換えればフランス人が和会席を作るということ。それはちょっとヘンじゃないのだろうかとジレンマを抱えた岡部さんが出した答えは、“日本人が作るフランス料理”。

「『技法』が大切なフランス料理に対して、日本の料理のベースは素材の良さを最大限に活かすことです。生産者さんたちが愛情を持って作り出した、素材そのものの味を活かした料理で『愛情のリレー』をつないでいきたいと思っています」(岡部さん)

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右がシェフの岡部勝義さん。左は奥様の陽子さん

「et vous?」の内装には大谷石が使われ、食器には益子焼と、岡部さんの地元栃木県の大地から生まれる素材で店内をしつらえています。「人が温もりを感じるのは土や地面ですから。メニューやお店全体でそれを表しています」と岡部さん。

最後に、今後の活動方針を語ってくれました。

「店の名前の上には『Earth eat labo Produce』(地球を食べる研究所)とありますが、食べ物との向き合い方を考えています。例えば介護食は胃にやさしかったり食べやすいように隠し包丁を入れたりと、食べる人のことを本当に考えて作っています。そういうことは料理研究家や栄養士さんが担っているのが現状ですが、本来それは僕たち料理人も考えなくてはいけないこと。僕はそれを『ライフフード』と名付けて提唱しています。人と、地球と、いのちと向き合う食べ方を、研究所としてチームを組んで広げていきたいですね」

京都や富士山のように「日本」を強く感じさせる浅草で、日本人のアイデンティティを忘れずにフレンチを振る舞う。なみなみならぬ矜持を感じさせる熱い方でした。

et vous?さんは近隣の飲食店が中心となって展開する月イチイベント「浅夜市夜」にも協力し、ますます楽しい街を作り上げています。
浅夜一夜FB
https://www.facebook.com/asakusa.senyaichiya

浅草を観光するということ

たくさんのお店を紹介しましたが、いかがでしたか?
浅草に観光に来るといえば、浅草寺に行って次はスカイツリーまで……、というパターンになりがちですが、もう少し足をのばせば小さいながらも素敵なお店がたくさんあるんです。

今回、すべてのお店に「どうしてまた浅草に?」とうかがいました。もともと住んでいた、ご縁があった、人が好きだった、などなど。答えは様々でしたが、素敵な人同士が互いに引きつけ合い、この浅草があるんだなあと強く感じました。

浅草にお越しの際は、この中のどこかひとつでも訪れてみてください。きっと「行って良かった!」と思える体験ができると思います。

12月特集:ヒガシトーキョーツーリズム目次


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この記事を書いた人/提供メディア

本多 祐介

ローカルシティー研究員。地方都市のこれからの姿に興味津々。東東京も地方都市のひとつととらえると、今まで見えなかったものが浮かび上がってくると思います。古と新しさが同居するこのエリアに深く関わって魅力を伝えていきたいです。モノ好き、山好き、ビール好き。

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