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2015.03.18 (Wed)

江戸時代から続く人気のお土産「長命寺 桜もち」@墨田区向島<花より団子Vol.3>

3月のおすすめVol.3では、創業約300年の「長命寺 桜もち」をご紹介します。初代が隅田川の堤に植えられていた桜の葉っぱの活用法として考案した「桜もち」。江戸時代より庶民に愛され続ける老舗の味について、おもしろいエピソードがいろいろ。

江戸時代、桜の名所で桜もち誕生

墨田区向島の墨堤近くの長命寺で寺男として働いていた初代・山本新六さんが、隅田川の堤に植えられていた桜の葉っぱを樽の中に塩漬けにして、桜もちというものを考案し、門前で商売を始めたのがはじまりとのこと。

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江戸時代の桜の名所といえば、王子の飛鳥山、品川の御殿山、そして隅田川の土手つまり墨堤。八代将軍吉宗が土手を踏み固めさせる治水の目的で、墨堤に桜並木100本の植樹を命じたのにはじまり、その後は地元の有志が発起人となった「桜勧進」と呼ばれる寄付で、桜並木が徐々に延びていった歴史があります。

そんな地元で愛されてきた桜とともに、「長命寺桜もち」の人気も高まります。記録によれば、1824年の1年間で消費された桜の葉は31樽、桜もちにして約38万5千個分が江戸の人々に賞味されたというから、当時お土産ランキングがあれば、「長命寺桜もち」が上位に入ったであろうと想像されますね。

桜の葉は食べる?食べない?

町の和菓子屋さんでは、桜もちは季節限定で販売されている場合が多いですが、「長命寺桜もち」は1年中味わえます。箱詰、篭詰の持ち帰りはもちろん、店内で煎茶といっしょにいただくこともできます。

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砂糖、小豆、小麦粉と桜葉の塩漬けだけのシンプルな材料。お隣の長命寺ともお店が関東大震災で焼失したので、記録は残っていないのですが、口伝えで守られてきた作り方は創業からほぼ変わらないそうです。添加物がいっさい入っていないので、時間と共に固くなるため、なるべく早く食べていただきたいとのこと。

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皮はしっとりとやわらかく、こし餡の程よい甘さに、桜葉の香りと塩気のバランスは絶妙。桜もちを包んでいる葉は、オオシマザクラの葉を塩漬けにしたもの。現在は墨堤の桜ではなく、全国で使用される桜もちの葉の約7割が伊豆の松崎町で生産されているそうです。「桜もちを包んでいる葉は、取るんですか?食べるんですか?」 という問合せが多いそうですが、「それぞれのお好みで召し上るのがなにより」と前置きした上で、「桜の葉をはずしてお召し上りいただくことをお勧めいたします」とのことです。ちなみに筆者は1枚だけつけて食べる派です。

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著名人にも愛された桜もち

店内の壁にかけてあった寄せ書きには、鏑木清方、川端康成、小島政二郎など著名人の名前がありました。通常はお届けはしないとのことのですが、鎌倉でお茶会を開いた際にどうしてもと頼まれて届けたときに寄せ書きをしたものだとか。

また明治時代の俳聖・正岡子規が2階に3ヶ月程、下宿していたことがあるそうです。
「葉桜や昔の人と立咄」
「葉隠れに小さし夏の桜餅」
などの歌を残しています。美人で評判の娘19歳のおろくとの恋の噂があったという、ちょっと微笑ましいエピソードもあります。

詳細情報

名称長命寺 桜もち
住所東京都墨田区向島5-1-14
URL

http://www.sakura-mochi.com/index.php

その他

この記事を書いた人/提供メディア

Rie Tomita

Rie Tomita 東東京・プロジェクト 和文化研究員。10数年間、夫の仕事で東京以外の土地を転々としたのち生まれ育った浅草に戻ってきたので、東東京の魅力、残念な部分を冷静に見られるようになった。和装をはじめ、和文化関係のイベントを自身で主催、発信している。和装履物店 あさくさ辻屋本店の代表。

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