ホーム > インタビュー > なぜ家賃ゼロ円? シェアハウスのプロデューサーを直撃!@台東区<不動産屋では出会えない東東京流豊かな住まい方 Vol.1後編>

2015.09.25 (Fri)

なぜ家賃ゼロ円? シェアハウスのプロデューサーを直撃!@台東区<不動産屋では出会えない東東京流豊かな住まい方 Vol.1後編>

東京、特に23区内で生活していくうえで一番のハードルといってもいいのが、家賃の高さ。東京以外の地域に比べると、家賃相場のあまりの格差に愕然としてしまいます。

そんななか、高い家賃もみんなで分担すれば怖くない、とばかりに普及してきたのがシェアハウス。金銭面だけでなくメンバー間のコミュニティに魅力を感じて、シェア暮らしを選択する人も増えてきました。

そこで今回の特集は、進化し続けるシェアハウスのなかでも、東東京ならではのクリエイティビティにあふれる個性派物件に注目! Vol.1ではクリエイターに「家賃ゼロ円」で居場所を提供する「TOLABL(トラブル)」を紹介します。一体どうやってゼロ円で成り立っているのか。果たして事業プロデューサーが描く将来の姿は!? 後編ではいよいよその謎に切り込んでいきます。

話を伺ったのはTOLABLの事業プロデューサー、土屋敬さん。創業7期目のベンチャー企業「リレーションズ」の共同創業者の1人です。

「TOLABL」の事業プロデューサー、土屋敬さん。自身も巣鴨のシェアハウスに住んでいます

「TOLABL」の事業プロデューサー、土屋敬さん。自身も巣鴨のシェアハウスに住んでいます

シェアが生み出す可能性に期待

——まず一番気になっていることから聞いてしまいます。どうやって「家賃ゼロ円」を実現しているのでしょうか!?

土屋さん それにはまず、弊社の説明から始めましょう。リレーションズは、マイナスをプラスになる瞬間を創り続け、世の中に価値あるサービスやプロダクトを生み出し続けることをビジョンとして掲げています。そして「TOLABL」は、弊社のプロモーションや人を惹きつける場という位置付けです。

多数のプロジェクトを通してデザイナーやエンジニア、アーティストと協働する機会が多く、そうしたクリエイターたちを支援したいと思っています。シェアハウスは、それを実現する場というわけです。

ほかのシェアハウスとは一線を画する、尖った場として認識してもらうために、「家賃ゼロ円」を打ち出しました。メンバーが払うのは、電気代などの共益費、月1万円程度だけ。1階のアトリエスペースも無料で利用できます。単体の事業としての収益性を求めるのではなく、企業プロモーションの一環として捉えています。

TOLABL

クリエイターズシェアハウス「TOLABL」のウェブサイト。進行中のプロジェクトの情報などを紹介しています

——なるほど。それではなぜ「シェアハウス」という形を選んだのでしょうか。クリエイターの支援ということであれば、シェアオフィスの選択肢もあったかと思いますが。

土屋さん 私が今住んでいるのがメンバー40人程度のシェアハウスなのですが、シェアハウスは多様な価値観を持つ人が訪れ、想いを萌芽しやすい場所だと感じています。シェアハウスで暮らす自身の経験を通して、自分でも運営してみたいという気持ちがあったのがそもそもの動機です。

シェアオフィスやコワーキングスペースなども良いですが、人が一緒に24時間過ごす場所をつくることで、面白いサービスや企画、プロダクトが生まれるようにしたいと思ったのです。

4階建てのTOLABLの屋上からは、スカイツリーがよく見えます

4階建てのTOLABLの屋上からは、スカイツリーがよく見えます

いくつものプロジェクトが自然発生

——場所については、最初から東東京エリアで探していたのですか?

土屋さん 弊社は渋谷区神宮前にありますが、渋谷や原宿でのシェアスペースは当たり前過ぎてつまらない。東側を意識して探していました。

1階に広いスペースがある建物を探した結果、今の物件に行き当たりました。駅から少し離れているのは、使える予算との兼ね合いでちょうど良かったということです。オーナーから借り受ける形で改装して運営しています。

3階のダイニング

3階のダイニング。フード持ち寄りのパーティーなども開けます

——開業して1年経ちましたが、手応えはいかがですか。

土屋さん 内装のペインティングをデザインする「TOLABLジャングル絵巻」を皮切りに、メディア開発やプロダクト開発、ワークショップ系の企画など、幅広いプロジェクトが立ち上がっています。それぞれのメンバーの知り合いや、共有スペースを利用する準メンバーを含めて良いコミュニティが育ってきているのを感じます。

居住メンバーは半年に一度面談をして、それぞれのやりたいことやプロジェクトの実績を考慮して見直すようにしています。とはいえ自分自身メンバーと同世代でもあり、運営側と入居者というよりは、仲間のような感覚です。一緒に「世界をアッと言わせるものづくり」を模索していきたいと思います。

* * *

ベンチャーの創業者というと厳しい方なのではないか、とお会いする前はドキドキしていたのですが、いざお目にかかると第一印象はとても穏やか。真摯かつ的確な説明ぶりからは、TOLABLに対する愛情が伝わってきます。そしてこのシェアハウス事業には、明確な将来像と土屋さんの想いが込められていることが分かりました。これからもクリエイターの輪を広げていって、未知のプロダクトが形になる日を楽しみにしています。

9月特集:不動産屋では出会えない東東京流豊かな住まい方

詳細情報

名称■クリエイターズシェアハウス「TOLABL」
住所東京都台東区東浅草2-17-11
URL

http://tolabl.com/

その他○電車
JR・日比谷線・つくばエクスプレス 南千住駅から徒歩12分
日比谷線 三ノ輪駅 徒歩15分
銀座線 浅草駅徒歩20分
○バス
浅草駅松屋前のりば
南千住行き 東42甲系統
コミュニティバス めぐりん
北めぐりん 東浅草二丁目降り場下車 徒歩1分

この記事を書いた人/提供メディア

樋口 トモユキ

愛知県名古屋市で生まれ育ち、東京・東中野現住。大都会東京を横断して、東側と西側を行き来しております。人々が集まり営む都市というものに対する飽くなき好奇心を胸に、日々是精進。

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