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2015.11.06 (Fri)

蔵前のロシア人、筋トレ放浪記

突然ですが皆さん、肩こってませんか? 多くの現代人の生産活動とはもはや切っても切り離せない、パソコンを前にしての長時間作業。デスクワークが多い方に共通の悩みどころかと思います。

実は軽い肩凝りなら、「ある」上半身の筋トレをするだけでかなり改善します。

その「ある」上半身の筋トレとは、ぶら下がり運動です。懸垂器具でも鉄棒でも何でもいいので掴まって、足がつかない状態でしばらくぶら下がっていればいいのです。

そういう訳で今回は、日本で肩こりに悩むとあるロシア人が、どのようにして肩こりを解消しているのかに密着。少し変わった視点からの、東東京公園ガイドをお届けします。

最初はジムに通っていたけど…

そのロシア人とは蔵前在住の会社員、アクシーニャさん。3年前に来日してから、蔵前周辺を気に入って住んでいるそうです。実は蔵前周辺には昔から語学学校があり、中国からの留学生など、周辺を拠点に生活する外国人が多い場所でもあります。

日本に来てからというもの、1日中パソコンの前で作業していたアクシーニャさん。肩こりが悪化し、頭が痛くなることもしばしばで困っていました。ロシアではそのようなことはなかったという彼女は、原因を追究。その結果、運動不足という結論に達したのです。

アクシーニャさん 肩の血流が悪くなっていたのです。ロシアにいたときは仕事終わりに毎日ジムに通っていました。したがって、日本でもジムを探すことにしました。

とはいえ一般のスポーツジムは、ロシアと比較すると月額料金がかなりお高め。最初は、価格が3時間250円と良心的な、台東区リバーサイドスポーツセンターのトレーニングセンターで運動していたそうです。

▼台東区リバーサイドスポーツセンター
http://www.taitocity.net/taito/riverside/

同センターには様々なトレーニング用の道具が用意されており、民間のジムにも負けないくらい環境が整っています。さらに屋外プールは高校生以上1時間200円という格安料金。夏には多くの人でにぎわいます。

しかし、そこには常連の人たちのコミュニティが形成されていて、独特の閉鎖感があり馴染めなかったという彼女。やむなくジムの近くにあった隅田公園で筋トレすることにしました。当時の隅田公園には高い鉄棒やうんていなどがいくつかあって、大人が筋トレするにもとても良い場所だったそうです。

▼台東区立隅田公園
http://www.enjoytokyo.jp/amuse/spot/l_00000100/

理論的に考えて、自重筋トレだけでも十分に運動できるはずです。家で筋トレできない理由が、広いジムで筋トレしたいからくらいの人は公園で十分なのです。タダですし。

ロシアではおばあちゃんも公園で筋トレ!

実は公園で筋トレをするのは、ロシアでは非常にポピュラーな行為だそうです。こちらは、ロシアの公園で若者に交じって筋トレする72歳のお婆さんの動画。

ロシアでは国策で、健康増進のために公園に簡易筋トレ用具が置いてあることも多く、一般の成人から老人やチンピラまで、たむろして筋肉を鍛えています。ジムの料金を払える社会階層は限られていますから。

母国の流儀に従って、公園で筋トレに励んでいたアクシーニャさんですが、ある日、隅田公園に行ってみると、筋トレ広場が柵に覆われてしまっていました。1年間の改修工事です。

ここであきらめないのがロシア流? アクシーニャさんは、その柵に書いてあった台東区の担当部署に、すぐに電話しました。代わりの公園を教えてくれと直談判したのです。すると区の担当者は、急いで別の公園をいくつか教えてくれました。その中の1つが、蔵前にある精華公園です。

▼台東区立精華公園
http://iko-yo.net/facilities/11607

懸垂用の設備や鉄棒など、最低限の物はそろっていました。そこで、隅田公園の工事が終わるまではこの公園で筋トレすることにしました。

この精華公園、なかなか趣きのある公園です。ビオトープと田んぼ、それに付随した手動井戸などが設置されています。大きな藤が覆いかぶさって日陰になる優雅なベンチや、トイレの緑化屋根も独特の雰囲気を醸し出しています。

精華公園のビオトープ

精華公園にあるビオトープや井戸


精華公園のトイレ

トイレの屋根は草が茂っています

大きなアスレチックのような砂場もあり、週末ともなると子供連れの人たちでにぎわいます。アクシーニャさんはそんな人々を横目に、筋トレにせっせと励みます。

懸垂用遊具も使いようによっては、このように腹筋も鍛えることができます。足を抑えてくれる人がいないときは写真のように、ゴムチューブを使って固定することもできます。シンプルな道具でも、使い方が大事なのです。

ロシア人筋トレマニア

ゴム管を使った腹筋を披露するアクシーニャさん


ロシア人筋トレマニア

ゴム管で補助しながらの懸垂。負荷が調整できます


鉄棒で柔軟

鉄棒を使った柔軟体操

鉄棒と懸垂用遊具だけで何通りかの柔軟運動や筋力トレーニング方法を披露しながら、アクシーニャさんはそう説明してくれました。

隅田公園の改修後に悲嘆するも、拾う神あり

ところで、隅田公園の改修はどうなったのでしょうか。およそ1年後、工事が終了し、柵が取り払われる日がやってきました。しかし、充実していた筋トレ器具はすっかり跡かたもなくなり、その代わりに子供向け遊具ばかりになっていたのです!(参考:隅田公園の遊具がリニューアルされ再オープン!

隅田公園

改修後、子供向け遊具ばかりになってしまった隅田公園で、思わず空を仰ぐアクシーニャさん

流石に海賊船やクジラの遊具で筋トレはできませんから、がっかりしました。でも、子供の遊び場にはいいと思います。少子化問題は日本とロシアの共通の問題ですからね!(笑)

狭い日本と広大なロシア連邦の人口は実は2000万人程度しか違わず、少子高齢化は双方の国に共通する重大な問題です。特に世界最大の国土を持つロシアにとっては、非常に頭の痛い問題です。

落胆していたアクシーニャさんですが、最近になって良いニュースがありました。

家の一番近くにある蔵前公園に、あるときどこからともなく作業服の人たちがやってきて、地面を掘りだしました。何か遊具を作る土台を作っているようでした。

▼台東区立蔵前公園
http://www.tokyo-park.net/1310601002.html

その遊具とは、待望の懸垂筋トレ器具!

筋トレの神様に願いが通じたのか、今年の夏から蔵前公園に懸垂用器具が設置されることになったのです! まだ柵で囲われているのですが…。

蔵前公園

近所の公園に待望の懸垂ハシゴ。使える日が待ち遠しい!

この蔵前公園は、地域の町会の方々が自主的に管理しています。毎朝6時半からのラジオ体操が、近くの住民の目覚まし代わりとなっています。緑豊かな公園には涼むのにちょうど良い木陰がいくつもあるので、ピクニックやお花見には絶好の場所とのことです。

日本では公園で大人が筋トレする文化があまり普及していません。実際公園は雨の日は使えませんし、冬は寒いし、夏は暑いです。しかし、緑の中で新鮮な空気を吸いながら、自分の体重を使った健康的なトレーニングが無料でできます。

言われてみれば思わず納得してしまいそうなアクシーニャさんの筋トレの勧め。皆さんも近所の公園で筋トレしてみませんか?

詳細情報

名称■台東区立精華公園
住所東京都台東区蔵前4-15-9
URL

その他

この記事を書いた人/提供メディア

石井 健夫

学生ライターです。幅広いジャンルの記事を書けるようになりたいのと、自分が蔵前に住んでいるという理由から、東東京マガジンのライターに応募しました。暇なときは東東京のB級グルメを食べ歩いたりしています。

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