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2015.12.03 (Thu)

観光地でないディープ浅草を満喫、モノづくりの魅力に触れた3時間

都内有数の観光名所、浅草。週末には国内外から多くの人が集まり、浅草寺を中心に盛大な賑わいを見せています。でも、浅草の魅力はそれだけではありません。

実は浅草は革靴の生産量日本一を誇る、皮革産業の一大拠点。北側に広がる奥浅草エリアには、数多くの革問屋や製靴メーカーの工房が点在しています。

そんな浅草に息づくモノづくりの文化を発信しようと、地域の問屋や町工場が協力して立ち上げたイベントが「浅草エーラウンド」。春と秋の年2回開催し、5回目となる今回は、10月30日から11月1日の3日間の会期で開かれました。

期間中には、様々な街歩きツアーや工房を巡るツアーが実施されます。今回はそれらの企画の中から、浅草エーラウンドの見どころを巡る「スポットめぐりツアー」に、イベント最終日の11月1日、参加してきました。普通に歩いていたらまず知ることはない、ディープなスポット満載でした!

午前10時、浅草駅から歩くこと約1分、隅田川水上バス乗り場近くの隅田公園リバーサイドギャラリー総合インフォデスクに集合しました。一緒に歩くツアーメンバーは10人ほど。ガイドのお姉さんから本日の行程に関して説明を受け、出発です。

浅草エーラウンド

ツアーの集合場所は隅田公園リバーサイドギャラリー。

浅草エーラウンド

浅草エーラウンド

隅田公園リバーサイドギャラリーは会期中の3日間、「TOKYO LEATHER & CRAFT MUSEUM」となり、革関連の展示や販売でにぎわいました。

浅草は着物デビューに向いている

1件目に訪れたのは、オシャレのためのキモノ&ゆかたブランド「Rumi Rock(ルミロック)」。当日は浅草伝法院通りの履物老舗「辻屋本店」の3階フロアにて反物や帯・コート、手ぬぐいの展示・販売をしていました。普段は旧吉原付近のアトリエで、デザインおよび制作活動をしているそうです。

和装の粋な店長が、おもてなししてくれました。

浅草エーラウンド

会期中、辻屋本店の3階には旧吉原のアトリエから「Rumi Rock」が出張展示&販売。個性が光る帯や手ぬぐいの数々。

「着物って興味あるけど、普段使いはちょっと恥ずかしいかも……」という人も、浅草の街なら恥ずかしがらずに着物で歩けるため、着物デビューに浅草の街は向いているそうです。確かに、近所のスーパーに着て出かけるのは目立ちそうで恥ずかしいけど、浅草の街の雰囲気なら抵抗なく着られそうです。

人気商品は手ぬぐい「酒呑童子妖怪吉原入場図」。酒呑童子ら妖怪たちが吉原の街を歩く姿が、絵巻風にプリントされています。妖怪たちの姿がなんとも楽しげなこの手ぬぐい、普段使いにもお土産にもオススメです。

浅草エーラウンド

「Rumi Rock」の人気商品の1つ、吉原にちなんだデザインの粋な手ぬぐいです。

浅草エーラウンド

辻屋本店の正面。色とりどりの鼻緒から選び、自分だけの下駄や雪駄をオーダーすることができます。辻屋本店の四代目、富田里枝さんへのインタビューはこちらから

地元民オススメの個性派グルメ街

伝法院通りから5分ほど歩き、素敵な料理店が並ぶ“花川戸ぐるめタウン”エリアへ。観光マップから1本外れた、地元の人に愛される個性的なお店を回ります。

気取らないフランス料理店「et vous?」、マンションに囲まれても頑固に残る木造建物の和食「山之宿」、本当のインド人が作っているインド料理「ニュープラシッダ」などを紹介してもらいました。

浅草エーラウンド

フランス料理店「et vous?」では、店長さんに応対していただきました。

浅草エーラウンド

古風な佇まいの和食「山之宿」。吉田類の酒場放浪記にも登場した名店です。

また、こうしたお店にこだわりの食材を卸す「越後屋米穀店」や、各地の味噌をたるから測り売りする「万久味噌店」などの前も通りつつ、説明を受けました。日曜日だったので閉まっていたのが残念です。

金具店でいただくシフォンケーキ

隅田公園から都バスに乗って3つ目。観光エリアからはすっかり離れ、中小企業や町工場が立ち並ぶ奥浅草にやってきました。

訪れたのは、靴・バッグ用金具を販売する「美アンドセンス」。店内の壁一面に並んだ金具は圧巻で、ついつい見入ってしまいます。取り扱い点数は約1万点、98%は国産品とのこと。普段は専門業者からの注文を受け付けるのみですが、エーラウンド期間中は、一般の方への小売りにも、特別に対応しているそうです。

浅草エーラウンド

「美アンドセンス」の店内。壁一面にずらりと並んだ靴やカバン用の小物金具は圧巻!

めったに入れない、2階の倉庫も見せていただきました。こうやって作り手側の見られない部分を知ることができると、モノづくりがなんだか身近に感じられてきます。

1階に戻ると、なんとシフォンケーキをいただいてしまいました。こちらは浅草・花川戸のオーガニック専門店「オーガニックのお店」の、すりごまを使ったシフォンケーキなのだそうです。食べると口の中にゴマのやさしい香りが広がりました。

「ご近所で気に入っているから、応援したくて」とは、奥様の弁。気付いたら金具屋さんでシフォンケーキを食べている、ちょっとシュールな光景ではありますが、このまったり感とご近所感が、下町ならではなのかも。

革の端材がアーティスティックに変身!

続いて、これが革!? と驚くこと間違いなしの一風変わった革の加工専門店「大久保商店」へ。店頭には「スキモレザー」という、独自開発の技術で作られた品々が並びます。

浅草エーラウンド

「スキモレザー」製品の数々。これ、全部革でできてます。

スキモレザー(漉き模様革)とは、型押しした革を幾重にも貼り重ね、特殊な技術で漉くことで変幻自在の模様を浮かび上がらせる加工技術。革の加工でどうしても出てしまう端材を有効活用しようと、代表の大久保邦雄さんが編み出しました。特許も取得しています。

一見、木製にしか見えない木目調の柄やひし形模様、はてはサイケデリックな柄まで展示されていて、表現の幅の広さにびっくり。小さいころからモノづくりや機械いじりが好きで、絵も得意だった大久保さん。それが高じてこの技術の発明に至ったそうです。目を輝かせて熱っぽく語る姿にまさに「下町のエジソン」。

浅草エーラウンド

スキモレザー開発者の大久保邦雄さん。

帰り際にはなんと、猫型のキーホルダーをツアー参加者全員にプレゼントしていただきました。大久保さん、ありがとうございます!

老舗の問屋で革に触れる

大久保商店を後にして、落ち着いた街並みのなかをしばらく歩きます。

見えてきたのは、6階建ての立派なビル。大正12年創業の老舗皮革商、「富田興業」です。2階のショールームでは、革の展示販売会を開催中。会場内には色とりどりの革がずらりと並んでいました。質感もツルツルだったり、すべすべだったり、ピカピカだったり……。革をテーブルに広げて革のなめし方や動物の種類による違いなど、革のいろはを教えていただきました。

浅草エーラウンド

富田興業で革の説明。一口に革といっても、動物の種類やなめし方の違いによって、千差万別です。

エナメル加工の革や模様をプリントした革など、変わり種もたくさんで、革に詳しくない私も思わず会場内をうろちょろうろちょろ。安いものは3000円から購入が可能で、レザークラフト未経験でも衝動買いしてしまいそうです。

手間をかけた革靴を長く使う

さてツアーもいよいよ終盤。下町風情ある店先を構える、創業37年の「喫茶あかね」にやってきました。

浅草エーラウンド

喫茶あかねの初代と2代目。地元で長く愛されるお店です。

メニューを見ると、牛バラもやし炒め、ゴマ豚しゃぶ・キムチ炒飯などなど、ガッツリ系のメニューがずらり! なんでもお客さんのリクエストに応えていたらメニューがたくさん増えちゃった、とのことでした。2代目というマスターは髭の似合うダンディな紳士……と思ったらカメラを向けるとノータイムでポーズを決めてくれるお茶目な方でした。

3時間におよぶツアーの最後は、紳士靴のアトリエ兼ショップ「RENDO(レンド)」。代表の吉見鉄平さんから、甲革と靴底のジョイント方法に特徴がある「グッドイヤー製法」という靴の作り方について説明いただきました。

浅草エーラウンド

紳士靴メーカーの「RENDO」。革靴のサンプルを使って製法の説明をする代表の吉見さん。

この製法の靴は、履きはじめは硬いと感じますが、履けば履くほど靴が足に馴染むそうです。修理が可能なことも大きな特徴で、数年から長い人では20年間愛用する方もいらっしゃるのだとか。靴を消耗品として扱うのではなく、一足を大切に履き続けるのって、とってもカッコいいなぁと思いますよね。

浅草のイメージが一変

午後1時に「エーラウンドマーケット浅の市(せんのいち)」に到着。ツアーはここで解散となります。通りを歩行者天国にして、モノづくりや飲食の露天が立ち並び、人々でにぎわっていました。

浅草エーラウンド

歩行者天国でにぎわう「浅の市」でツアー終了です!

こうして見どころたっぷりのツアーを終えてみると、私の中の「観光のマチ」という浅草のイメージは見事に塗り替えられ、「浅草って観光地ってイメージあるけど、実はさ〜」と知り合いに自慢話をしたくなっている自分がいました。

モノづくりの現場を見学できるだけではなく、浅草で生きる人たちの暖かくてなんだかホッとする人柄に触れることのできた、とても楽しい街歩きツアーでした。
  
エーラウンドは来年も春と秋に開催予定です。春は拠点施設「浅草ものづくり工房」の施設公開を中心として小規模に開催、秋にはまちぐるみで大々的に展開します。「モノづくりのマチ」浅草・奥浅草のディープな魅力を知りたい方は、是非ご参加をオススメします。

さらに実行委員会のメンバーや運営のボランティアスタッフも随時募集中とのことです。今回ツアーガイドを務めていたお2人も、地元在住のボランティアスタッフでした。ご興味ある方は、下記詳細情報の問い合わせ先まで連絡してみてください。

詳細情報

名称■浅草エーラウンド2015
住所
URL

http://www.a-round.info/

その他

この記事を書いた人/提供メディア

萩原 淳二

錦糸町在住のサラリーマン。二日酔いで無為に過ごす休日に業を煮やしてライター志望。人の生活の重なりと繋がりを感じられる下町が好き。お相撲さんとすれ違うときの鬢付け油の匂いも好き。楽しいモノ・コトを探して放浪していきます。

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