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2017.12.06 (Wed)

「1人で考えるより答えが早く見つかる」 クリエイター起業塾1期生が語る“仲間”の価値

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犬専用アイテムのアトリエショップ
*sanpo*オーナー
相葉 香織さん

ブランドの魅力を広く知ってもらうにはどうすればいいんだろう?

この先、事業を大きくしていくために何をすればいい?

そんなモノづくり系創業者の不安や悩みを解決するため、2017年夏に開催された「クリエイター起業塾」。台東デザイナーズビレッジの鈴木淳さん(通称:鈴木村長)が講師を務めたこの塾には、ファッション・雑貨などモノづくり系のクリエイターが集まり、ひと夏かけて、ブランドの育て方や発信の仕方を学びました。

クリエイター起業塾は、今回が初開催。13人のクリエイターが第1期生として、全5回の講義を修了しました。そのうちの1人、東上野に犬専用アイテムのアトリエショップ「*sanpo*」(さんぽ)を構える相葉香織さんにお話を聞きました。

震災の2カ月後に自身のブランドをスタート

──店舗の入口で2匹のワンちゃんが元気に出迎えてくれて驚きました!

騒がしくてすみません(笑)

──いえいえ、大丈夫です。クリエイター起業塾のお話を聞く前に、東上野に店舗を構えるまでの経緯を教えてください。

犬用品を卸している会社で働いていた2011年に、東日本大震災がありました。連日、ニュース等を見ているうちに「人生って急に終わってしまうんだな。自分のやりたいことを今やらないで、いつやるんだろう?」と考え始めたんです。震災から2カ月後にはホームページを作って、犬の洋服のブランドをスタートしました。すぐに動けたのは、以前から作りたい服のイメージやブランド名をノートに書き留めていたから。その後、ドッグカフェ勤務を経て、2014年に自分の店を構えました。

アトリエショップ「*sanpo*」の店先では、フレンチ・ブルドッグのビビ(左、9歳)とブリュッセル・グリフォンのペローナ(7歳)が出迎えてくれる

アトリエショップ「*sanpo*」の店先では、フレンチ・ブルドッグのビビ(左、9歳)とブリュッセル・グリフォンのペローナ(7歳)が出迎えてくれる

──店舗を構えた当初から、犬用品のアトリエショップとして運営していたのでしょうか?

当初は、犬用品や、個人的に好きなキノコの雑貨をそろえて販売していました。店内でワークショップも開催するなど、あれこれ手を出しすぎしまって……。結局、店の運営が忙しくなってしまい、一番やりたかった犬の服作りがおろそかになってしまったんですね。

1年経った頃に「これではマズい」と思い、方針を変えて、犬用の鯉口(こいぐち)シャツを作るアトリエとして運用するようになりました。

──犬用の鯉口シャツというアイデアはどこから?

私は8年ほど前から浅草に住み始めたんですが、祭りに参加するために鯉口シャツを着ているうちに、とても快適なことに気がついたんです。手ぬぐい素材で涼しいし、前開きの仕様なので楽に着られますよね。袖を通して前を留めればいいので、シニアのワンちゃんも着やすいのではと考えました。犬も年齢を重ねると筋肉が硬くなってしまうので、Tシャツタイプだと袖を通すとき大変なんです。

*sanpo*のオリジナル商品「鯉口シャツ」はシニアの犬にも優しいつくり

*sanpo*のオリジナル商品「鯉口シャツ」はシニアの犬にも優しいつくり

「鯉口シャツ」に懸ける思いが強すぎた

──店舗を構えて3年目ですが、今回クリエイター起業塾に参加したのはなぜでしょう?

売り上げを伸ばすためのノウハウや、自分の商品を広める方法を知りたかったからです。今まではミシンで1着ずつ作っていたんですが、1日に2〜3枚しか作れないのがネックで……。受注が少しずつ増えてきたので、工場生産も視野に入れて、次の段階にステップアップしたいという気持ちがありました。

──クリエイター起業塾の講義内容を教えてください。

まずは課題に沿って、自分の事業について深く掘り下げます。その内容を1人ずつ発表して、鈴木村長や他の受講生からフィードバックをもらうというのが講義の流れでした。「ここを改善した方がいい」とか「こうした方がいいんじゃない?」と本音で意見を言ってもらえるのがすごく新鮮でしたね。私はフィードバックの際に「事業をどう展開したいか分かりづらい」と言われました。

毎回の課題をまとめたファイル。5回の講義とは思えないほど分厚い!

毎回の課題をまとめたファイル。5回の講義とは思えないほど分厚い!

──厳しい意見ですね。そう言われた原因は?

事業内容を絞りすぎてしまっていたようです。鯉口シャツで勝負しよう、という思いが強すぎたんですね。鈴木村長にも「それだとコアなお客さんしかつかないよ」と言われました。飼い主全員が犬に服を着せるわけじゃないし、和のテイストが苦手な人もいますから。「和」という軸は崩さずに、より多くの人にアピールできるものを作っていくのが大事だと教わりました。

──講義後には毎回、懇親会があったそうですが、受講生同士でどんなことを話しましたか?

行き詰まったときの解決策を聞いたり、イベント出店の情報交換をしたりしました。悩んでいる部分はみんな一緒ですし、相談し合うことで結束力が強まった気がします。起業塾終了後も一緒にイベントに出るなど、受講生仲間とは今も交流が続いているんですよ。

「受講生との交流は今も続いています」と話す相葉さん

「受講生との交流は今も続いています」と話す相葉さん

ワンちゃんが快適に過ごせる環境を提供したい

──講義を振り返ってみて、何が一番印象に残っているでしょう?

全5回の講義を終えた後、鈴木村長との個人面談がありました。それまで、事業を貫くコンセプトをなかなか言語化できなかったんですが、個人面談で「犬と暮らす和雑貨店」というワードが出てきたんです。今後はこれをコンセプトに、事業を展開していこうと考えています。

──今後の構想を具体的に教えていただけますか?

畳を使った犬用のベッドなど、新しい商品を増やして、百貨店のバイヤーさんにアピールしていきたいですね。湿気に弱い犬にとって、日本はすごく住みづらい環境なんです。畳は、湿気を吸ったり断熱してくれたりする日本の気候に合った素材。そういう和の心地よさを飼い主さんに知ってもらい、快適に過ごせるワンちゃんが増えるといいです。

千葉県にある会社で作られた犬のおやつは無添加・無着色

千葉県にある会社で作られた犬のおやつは無添加・無着色

──これからクリエイター起業塾に参加したいと思っている人に対して、アドバイスをお願いします。

壁にぶつかって悩んでいる人は、受講してみた方がいいと思います。同じ立場のクリエイターに質問や意見をもらうことで、自分の問題がどこにあるか分かりますから。仲間と相談すれば、1人で考えるよりも答えが見つかりやすいんじゃないでしょうか。

──最後に、東東京でクリエイターとして起業するメリットを教えてください。

東東京では、「浅草エーラウンド」や「モノマチ」など、街全体を使ったイベントが多いですよね。老舗の会社の方もイベントに参加していますし、新参者の私にも「一緒に何かやろうよ」と気軽に話しかけてくれるのもありがたいです。独立したてのクリエイターでも仲間に入れてもらいやすいのは、東東京ならではだと思いますね。

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*sanpo*(さんぽ)
和のテイストを取り入れた犬用アイテムを扱う専門店。メイン商品の「鯉口シャツ」は、立体裁断という技法を使い、型紙から製作している。東上野のアトリエショップやイベントでは、サイズ調節の受注会を開催。
〒 110-0015東京都台東区東上野6-11-4 T Twoビル1F
https://sanpo.shopinfo.jp/

(写真:イシバシトシハル)

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この記事を書いた人/提供メディア

イッサイガッサイ 東東京モノづくりHUB

Eastside Goodside (イッサイガッサイ) 東東京モノづくりHUBとは「CREATION IN EAST-TOKYO」を合言葉に、モノづくりが盛んな東東京の「ヒト」と「モノ」と「バ」をつなげて創業者をサポートし、東東京をワクワクする地域に変える創業支援ネットワークです。
https://eastside-goodside.tokyo/

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