ホーム > インタビュー > 作る以上は一品物で終わらせたくない?ヒガシ東京で働くVol.2:ガラスメーカー・廣田硝子@錦糸町【後編】

2014.01.28 (Tue)

作る以上は一品物で終わらせたくない?ヒガシ東京で働くVol.2:ガラスメーカー・廣田硝子@錦糸町【後編】

墨田区錦糸町にあるガラス製品会社・廣田硝子。前編ではガラスという素材の話、ガラスを扱う職人の話を伺いました。後編では、外部デザイナーと共同でプロダクト開発をしている廣田硝子から、クリエイターと職人のコラボレーションについて話を伺っていきます。

コラボレーションが生む新しいガラス製品

廣田硝子には、万華鏡の他にもキャンドルグラスなど、食器以外のコラボレーション製品があります。これらを作ることになったキッカケを教えてもらえますか?

写真:キャンドルグラス
江戸キャンドル。火を灯し、明かりを見てみたくなる魅力が溢れていた

「江戸キャンドルは、元々、キャンドル・香料作りをしているキャライノベイトの清水さんとの間で作ることが決まりました。お互い違うことをやっているから、一緒に何かを作ってみようという形で始まったんです。日本には、そもそもキャンドル作りをしている会社が少なく、キャンドルグラスに使われているガラスも、あまり見栄え良いものがない状態でした。そこで、明かりを楽しむのであれば、という思いで江戸キャンドルを作りました」

新しいコラボレーションの可能性

数々のメーカーやクリエイターとコラボレーションする廣田硝子。今後も新しいコラボレーションの可能性があるのか、この記事を読んでいるクリエイターともコラボレーションできるのかどうかを聞きたくなりました。

「歓迎します。提案が面白いものでしたら、一緒に作っていきたいです」

どのように提案すればいいのでしょうか?

「図面を頂いたり、モックアップを見せてもらうことがメインになりますね。ただどうしても、作る以上は一品物で終わらせたくないという思いがあります。それでは墨
アーティストになってしまうからです。職人はアーティストの対局にあると思います。良い物を同じように“いくつも作る”のが職人だと考えています。それと照らし合わせて、一緒に作っていけるかどうかを考えたいですね」

クリエイター、アーティスト、職人。すべて作品を産み出す人々ですが、そのフィロソフィーは異なることに改めて気づかされました。

ガラスを削る体験

写真:すみだ江戸切子館
墨田区錦糸町にある「すみだ江戸切子館」入口前

墨田区錦糸町には、「すみだ江戸切子館」という江戸切子のお店も建っています。廣田さんの父・達夫さんが別会社として運営しており、ここでは切子体験も行うことができるようです。用意された中から好きなコップを選び、絵柄を書き、削るところまでを体験できます。

「夏休み等に一般のご家庭から予約をいただいています。削る機械の回転を押さえていますので、子どもさんでも体験できるようになっています。また最近は海外から観光でお越しになった方々にも楽しんでもらえていますね」

写真:切子の機械
すみだ江戸切子館にある、切子マシーン

ぼくたちが物を持つ機会は、目の前にある完成された商品を買うことでしか得られません。だから、その商品がどのようにして形になったのか、なかなか実感が伴わないところもあると思うんです。そういう意味でも、切子体験をしてみることは良い機会だなと思いました。

週末や、連休の際にぜひ、切子体験をしに墨田区にいらしてみてはいかがでしょうか? そして、実際に体験してみた上で、一緒に何かをやってみたいと考えるのも面白そうです。ヒガシ東京に一歩踏み込む機会になるかもしれませんよ。

●前編はこちら
素材への想い、職人のフィロソフィー、100年以上の歴史が語るヒガシ東京のものづくり
ヒガシ東京で働くvol.2:ガラスメーカー・廣田硝子@錦糸町

この記事を書いた人/提供メディア

新井 優佑

インタビュアー/ノンフィクションライター。WEBマガジンやオウンドメディアの運用、寄稿をしています。出版社でスポーツ雑誌編集とモバイルサイト運用を担当したのち、独立しました。2014年は、手仕事からデジタルファブリケーションまで、ものづくりの記事を多く作成しました。1983年東京生まれ。

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