ホーム > ニュース > 【4月5日・6日開催】吉原で巻き起こる現代美術と伝統芸能の祭「吉原芸術大サービス-春一番-」

2014.03.17 (Mon)

【4月5日・6日開催】吉原で巻き起こる現代美術と伝統芸能の祭「吉原芸術大サービス-春一番-」

春も本格的に暖かくなる頃、4月5日(土)6日(日)の二日間、台東区千束にて「吉原芸術大サービス?春一番?」が開催されます。”吉原”で”芸術”が”大サービス”される??? タイトルから非常にインパクトがあるこのイベントですが、さて一体、何が行われるのでしょうか。

現代と古典、それぞれの芸能の共演

2013年に引き続き今年で二回目となるこの「吉原芸術大サービス」は、一言で言うと「現代美術と古典芸能の芸術祭」。期間中、絵画・演劇・ファッションショーなど様々な現代アーティストが吉原を舞台に作品を展示発表し、そして同時に落語・日本舞踊・唄などの芸能の演者による演出が行われます。

top

現代美術と古典芸能という、共に同じ芸術でありながらも同時に目にすることがあまりないジャンルですが、これらを受け入れる舞台が「吉原」という場所です。

実は現在、「吉原」という地名はありません。台東区千束3丁目4丁目周辺、かつての吉原は江戸時代に栄えた遊郭でした。特殊な環境の中、美しさと教養を備えた花魁(おいらん・位の高い遊女)はファッションリーダーとなり、遊郭ではさまざまな文化や芸能が生まれ、発信されていきました。

このような文化発信地の土地柄だからこそ、現代と古典という時間の隔たりに左右されず、ふたつの文化芸術が共演できる舞台となったのかもしれません。

ではそもそも、どうしてこのような芸術祭が行われることになったのでしょうか?

きっかけは若手アーティストの「アトリエ」と「壁画」

吉原からさほど遠くない場所にある「アトリエ空鼠」では、2011年より4人の若手アーティストが生活しながらそれぞれの作品制作を行っていました。そこに舞い込んだのが、関東大震災で亡くなった遊女を奉る吉原弁財天の壁に絵を描いてほしいという依頼だったそうです。

奉納された壁画
奉納された壁画

壁画の制作を通して、アトリエ空鼠のメンバーはじめ彼らと繋がりのあるアーティスト達と地元の方々との交流がなされるようになりました。街の歴史を聞き、地元の方々の想いを知り、そこから得た刺激やインスピレーションによって新たな作品が生まれ、第一回目となる「吉原芸術大サービス〜線の上で踊る〜」が開催されることになりました。これは台東区芸術文化支援制度にも採択され、8日間にもおよぶ大芸術祭となり、多くの来場者が吉原に散りばめられた展示やパフォーマンスに足を運びました。そうして、吉原をかつての遊郭、そして現在のソープランド街としてしか知らなかった人たちに、大きな視点の転換を与えました。

2013年の第一回目「吉原芸術大サービス?線の上で踊る?」の様子①
2013年の第一回目「吉原芸術大サービス〜線の上で踊る〜」の様子①

2013年の第一回目「吉原芸術大サービス?線の上で踊る?」の様子②
2013年の第一回目「吉原芸術大サービス〜線の上で踊る〜」の様子②

2013年の第一回目「吉原芸術大サービス?線の上で踊る?」の様子③
2013年の第一回目「吉原芸術大サービス〜線の上で踊る〜」の様子③

2013年の第一回目「吉原芸術大サービス?線の上で踊る?」の様子④
2013年の第一回目「吉原芸術大サービス〜線の上で踊る〜」の様子④

そして今年、待望の第二回「吉原芸術大サービス〜春一番〜」が開催決定となりました。ちなみにサブタイトル〜春一番〜には、この芸術祭が”春一番”のような突風となり、吉原に対する既存の先入観に風穴をあけるという想いが込められているそうです。

ボランティアスタッフ「しろへび隊」も募集

この「吉原芸術大サービス実行委員会」では、現在「しろへび隊」というボランティアスタッフを募集しています。

まちなかサインの設置や作品制作の補助、イベント当日には来場者の案内など、運営に欠かせない役割りを担うスタッフです。来場者として参加するよりもっと深く、イベントに街に関わることができるので、この春は積極的に地域やアートに関わる活動をしたいという方にはうってつけです。ちなみに去年のしろへび隊から今年、展示作家になった方もいるそうです!

短期間・短時間でもお手伝いできることがあるそうなので、少しでも関わりたい気持ちと時間がある方は是非応募してみて下さい。

最後に、空鼠のメンバーで今回のディレクターを務める阿部圭佑さんよりメッセージを頂きました。

「『吉原芸術大サービス』は確かに芸術祭なんですが、年賀状みたいだなって思うときがあります。部外者の僕らが壁画の奉納をきっかけに街の人たちと知り合って、〈昨年は大変お世話になりました〉って事をお互いに今年言う、みたいな事の連続。他のアーティストもそのような事を自然にしています。だから何回も同じアーティストが参加し、作品を発表しています。

こんな事を言うと、「ただの内輪ノリのイベント」と思われるかもしれません。実際はそうであって、そうではないのです。曖昧ですね。。ただ、「実行」を重ねてきた上ではっきり自覚しているは、吉原という土地には長い歴史文化が育んだ魅力や刺激がある反面、縁のない人には足を踏み入れにくい土地だという事です。だからこそこのイベントがある事で、表現者だけでなく一般の鑑賞者にとっても吉原に足を運ぶ口実になると思ってます。ぜひ来てみてください。作品も町もきっと面白いです。」

街の魅力と街の人がアーティストを呼び、アートがさらに人を呼ぶ。そして人がまた街に変化をもたらす。この動きが大きなうねりとなって、今、吉原という場所に新しい風を吹かせようとしています。2014年、芸術の春一番を体感しに、是非この芸術祭を訪れてみませんか?

この記事を書いた人/提供メディア

週間ランキング

  • mag_wanted
  • 151220_sooo_banner
  • 151220_reboot_banner