ホーム > インタビュー > お寺にプラネタリウム!? 知識発信地「證願寺(しょうがんじ)」のお寺改革@葛飾区<ぶっとび仏教新潮流 Vol.1後編>

2015.08.12 (Wed)

お寺にプラネタリウム!? 知識発信地「證願寺(しょうがんじ)」のお寺改革@葛飾区<ぶっとび仏教新潮流 Vol.1後編>

お盆の時期を迎えた今回は、ユニークなお寺に注目! かつてはコミュニティの中心として存在していた寺院。支える檀家が先細るなか、仏の教えを伝えるためにあの手この手を繰り出しています。

Vol.1でご紹介しているのは、敷地内にプラネタリウムがある葛飾区の證願寺。前編で、仏教が伝わりやすい環境作りへの寺の改革をするために17代目住職となった春日了(かすが・りょう)さんをご紹介しました。後編ではその「寺の改革」について、そしてなぜプラネタリウムなのかの謎に、具体的に迫ります!

仏教が伝わりやすい環境作りへ。寺の改革!

――寺の改革って!?

春日さん お寺という環境で育って、まず中学時代に「人が死んでお金(お布施)をもらうのは気持ち悪い」と疑問を持ち、30代で「そういうお金のもらい方はずるい」と思ったんです。つまり、きちんとしたサービス価格のメニューがないということです。ですので、きちんとそのメニュー、さらにファンドシステムを作成しました。

「プラネターリアム銀河座」の創設者・館長、また證願寺17代目住職 春日了(かすがりょう)さん

「プラネターリアム銀河座」の創設者・館長、また證願寺17代目住職 春日了(かすが・りょう)さん

春日さん 私はインド仏教と哲学を勉強しました。元々の仏教の教えとは「悩みとは自分で作るものであるゆえ、解決可能である」ということなのですが、日本の仏教はこれとは異なった独自の発展を遂げています。この元々の仏教の考え方を伝えたいという気持ちでお寺の改革に取り組んでいます。

春日さんの寺の改革の一環であるお経同時通訳のパネル

春日さんの寺の改革の一環であるお経同時通訳のパネル

――お経同時通訳のシステムがあると聞きましたが、それもその一環でしょうか?

春日さん そうですね。1996年、お経同時通訳のパネルを本堂に設置しました。実は日本で読まれるお経は中国語で書かれたものを日本語の発音で読むので、結果誰も理解できないんです。

――うわ!それは初めてききました。だからお経がわからなくて眠くなる人がいるんですね!

春日さん 今まで1人だけ高齢の方が「お経はわからない方がありがたみがある」と言っていましたが。

――あはは、おもしろいですね。わからないのがずっと当たり前だったというのも考えてみたらおかしなことですよね。

春日さん 仏教が日本で独自の発展をしたことによる、今までの当たり前を改革をしているんです。

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プラネターリアム銀河座で心のチャックを開いてもらう

――こちらに伺った大きな目的のひとつがプラネタリウムなのですが、本当にユニークな発想ですね。

春日さん 私は5歳のときから天文学者になりたいと思っていたんです。その知識が現在の「心のチャックを開いてもらう」手段としてのプラネタリウムになりました。同じことを言っても本堂と、大きな星空の下では伝わり方が全然違うんです。暗くリラックスした中で心が休まり、仏教の話も集中して聞いてもらえます。

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各地のプラネタリウムを廻り研究、見る人への配慮を極める

――なるほど!これも春日さんの仏教が伝わりやすい環境作りにつながっているんですね。

春日さん プラネタリウムの設置を決めてから、日本全国のプラネタリウムを廻って調査しました。例えば、椅子。見たのは全て硬く、幅も狭い。しかも館内は寒いから冬にスカートをはいている女の子は風邪をひいてしまう。これを全部改良して、革張りのゆったりとしたリラックスできる椅子と床暖房にしました。こういった配慮は、日本でここだけだと自負しています。

日本全国のプラネタリウムを巡って、ベストのコンディションを追及した春日さん。この革張りの椅子はゆったり、柔らか。床暖房完備。

日本全国のプラネタリウムを巡って、ベストのコンディションを追及した春日さん。この革張りの椅子はゆったり、柔らか。床暖房完備。

「エジソン」から下着メーカーとのタイアップまで、プログラムの企画・準備に50時間!

――すごい!見る人への配慮を極めていますね。

春日さん 大きな予算があったわけではなく、何度も頼み込んでペンタックスから投影機を無料で提供して頂き、1996年から第1・3土曜に一般公開を始めて20年になります。毎月変わるプログラムは3部構成で、今日の星空から始まり、その日のテーマ、そして天文知識(将来の天体予測など)となっています。また、法事のコースとして、最後にプラネタリウムで仏教の話をしています。これらのプログラム内容と案内パンフレットは全て私が毎月50時間くらいかけて作成し、実際のトークもしています。

プラネタリウムのプログラム内容と案内パンフレットは全て春日さんが50時間くらいかけて作成、また実際のトークも春日さんが担当。

プラネタリウムのプログラム内容と案内パンフレットは全て春日さんが50時間くらいかけて作成、また実際のトークも春日さんが担当。

――すごい労力ですね。やっぱり人気がありますか?

春日さん 予約は1か月前4時間のみ(第3月曜12:30-16:00)ですが、大変な人気でキャンセル待ちとなっています。平均30代から40代の女性が多く、特に以前ワコールの協力で開催した「バストアップとヒップアップ」はすごい反響がありました。

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――広域分野の知識を取り扱うんですね。

春日さん 宇宙飛行士・山崎直子さんのトークイベントからエジソンの話など、多岐に渡ります。またコンサートなどの知的目的であれば、プラネタリウムを場所として貸出しもしています。

※ ※ ※

知的好奇心をくすぐられたあなた。

日本一快適なプラネタリウムの星空の下でリラックスしながら、今まで身近なようで遠かった仏教の話や新しい知識の収穫ができる證願寺 プラネターリアム銀河座の予約はこちらから!

「プラネターリアム銀河座」ウェブサイト画像より

「プラネターリアム銀河座」ウェブサイト画像より

8月特集:ぶっとび仏教新潮流

詳細情報

名称證願寺(しょうがんじ) プラネターリアム銀河座
住所〒124-0012東京都葛飾区立石7-11-30 證願寺(ショウガンジ)内
URL

http://www.gingaza.jp/index.html

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Kumiko

独自性研究員。 独自のアイデアで、”考える”機会を与えてくれるものに惹かれます。 また、時間の動きに興味があり、今流行っているものよりも、その先: 時間を先に引っぱっている事や人、または、それ以前: 時間が刻まれた物をいつも探しています。東東京にはこれらの要素がいっぱいで飽きることがありません。

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