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2014.06.23 (Mon)

江戸料理と東京の地酒を味わえる「江戸下町料理 宮戸川」@浅草

浅草寺境内の西側奥、西参道商店街は、昨年末にリニューアルされ明るく江戸町風の装飾になりました。大衆演劇の殿堂・木馬館が近いので、舞台用の着物や小物を扱うお店や、役者さんやファンが憩う喫茶店があるところも浅草らしい界隈。そんな西参道にある「宮戸川」は、江戸の料理と江戸地酒、江戸の食材にこだわったお店です。若き店主が4年前にオープンし、地元の人々や観光客はもちろん、今や遠くから江戸料理を味わいに、わざわざ足を運ぶ人も増えています。

祖父母のお店があった場所で江戸料理店をオープン

「この場所は元々、僕の祖父母が軽食喫茶の店をやっていました。祖父が亡くなり、祖母ひとりになったので軽食喫茶はやめたのですが、たまたま僕が飲食の道に進んでいたので、この場所を引き継いだんです」と店主の桜井英二さん。浅草生まれの墨田区育ちです。「じいちゃんの場所で自分の店を持てることになり、浅草らしい、江戸にちなんだお店ができたらいいなと思い、この店を始めました」

店主

江戸料理というのは、上方料理に影響を受けつつ、江戸の町で独自に発達した料理。文化文政のころ(1804~1829年)に確立したといわれています。現在、日本料理といえば会席料理を中心にした高級な料理店がほとんどです。これは関東大震災で東京の料理屋や料理人がいなくなり、関西の料理が東京に進出したのが理由とか。

2階

江戸時代の料理本を研究

食文化が花開いた江戸時代後期には、屋台の天ぷらや寿司などが庶民に親しまれましたが、『豆腐百珍』『大根一式料理秘密箱』『素人包丁』など多くの料理本も出版されました。桜井さんはこれらの文献を自分なりに研究し、江戸料理の数々をオリジナルメニューにしました。「江戸の庶民が食べていたような、気取らない料理を気軽に楽しんでいただきたいです」

おしながき

たとえば<天麩羅串>は天ぷらを串に刺している、ちょっと珍しいスタイル。胡麻油を使った風味の良い、軽い食感です。「天ぷらは江戸時代には屋台でファストフードのように気軽に食べていたものでした。それをちょっと真似てみました」

てんぷら

『豆腐百珍』で紹介されている<飛龍頭>や<豆腐田楽>も桜井さん流にアレンジした人気メニュー。<いなりずし>は江戸料理というより桜井さんの思い出の味です。「じいちゃんの店で出していた、いなりずしや甘酒の記憶が強く残っていて、自分の店で引き継いでいきたい」

田楽

江戸東京野菜も登場

また食材に江戸東京野菜に認定されている<寺島なす><亀戸大根>などを使っています。ただこれらは時期が限られているのと安定供給が難しいので、メニューに出ていたらラッキー!さらにお酒は東京の地酒にこだわり、東京23区で唯一残る酒蔵「小山酒造」や青梅市の「澤乃井酒造」の日本酒、また焼酎は三宅島や八丈島の<島酒>を取り揃えています。

酒

東京でもめずらしい江戸料理を楽しめる「宮戸川」。ちなみに宮戸川というのは今でいう隅田川の江戸時代の名称の一つ。浅草に友人、知人を案内する際、連れて来たらきっと喜ばれると思います。

この記事を書いた人/提供メディア

Rie Tomita

Rie Tomita 東東京・プロジェクト 和文化研究員。10数年間、夫の仕事で東京以外の土地を転々としたのち生まれ育った浅草に戻ってきたので、東東京の魅力、残念な部分を冷静に見られるようになった。和装をはじめ、和文化関係のイベントを自身で主催、発信している。和装履物店 あさくさ辻屋本店の代表。

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