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2014.11.21 (Fri)

真っ直ぐな気持ちとコミュニティづくり|セコリ荘@中央区月島<建築/コミュニティスペースVol.3後編>

Vol.3は「セコリ荘」の宮浦晋哉さんにお話しを伺っています。

前編ではセコリ荘、誕生までのエピソードをお届けしました。最初からコミュニティスペースを作りたかったわけではなく、出会った人々との体験を届けたいという気持ちをエネルギーにして進んでいった結果、セコリ荘は誕生しました。

後編では、セコリ荘ってどんなところ? セコリ荘は今後、何をしていくの? という質問を訊いていきます。宮浦さんが営みの先に何を見ているのか、ご注目ください。

セコリ荘は「誰でも、年齢も問わず集まれる、衣食住のスペース」

――セコリ荘はどんな場所ですか?

誰でも、年齢も問わず集まれる、衣食住にまつわる物事を共有する場所にしていきたいなと思っています。繋がりのある農家さんや陶芸家さんに声をかけて飲食品や料理を出していて、お酒の取り扱いもあって、珈琲豆は友人の実家のお店から仕入れてさせてもらっています。飲食スペースで使用している器類は、ショップスペースで買うこともできるし、くつろいで生地や商品を見てもらえるようにもしています。

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【セコリ荘ギャラリースペース。衣類、書籍、器のほか、生地なども取り揃えられています。】

――イベントも、できそうですね。

夏に入る前までは、おでんを出したり、夏は流しそうめんをしたりしました。セコリ荘を使いたいと言ってくれる人も増えていて、先月末から今月頭には、タナカホンヤさんと、古本とコーヒーのイベントを開催しました。アパレルの展示会を開催することもありますし、次は酵素をテーマにしたイベントや、食のワークショップも予定しています。料理教室も開きますし、手織りの体験イベント、器づくり、職人さんの展示会など、衣食住に偏りが出ないようにイベントを続けてきました。

みんなで楽しく、誰も嫌な気持ちにならない場所

――セコリ荘は今後、どんな場所にしていきたいですか?

90年の家の歴史や、大家さんの想いも感じているので、みんなで飲み語りできて、未来について語り合い、なにより温かい場所にしていきたいですね。月島という場所は、来る人にとっては遠い場所でもあるので、せっかく来たからこそゆっくりして行ってほしいんです。純度をあげていきたいと思うので、またバージョンアップする日が来るかもしれません。

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【セコリ荘 飲食スペース。こちらでインタビューをしました。】

――セコリ荘・バージョン3も楽しみです。

バージョン3は、実はもう進んでいて。

――改装するんですか?

ここじゃないんですが、石川県金沢市にセコリ荘を作る計画が進んでいるんです。東京で場所をやる意味と同様に、地方でもやる必要性を感じていました。どう魅力を集めても、やっぱり東京だけでは完結しないと思うんです。地域の魅力はその地域を拠点にディープに発信していきたいと思っていて、まずは金沢に2つ目のセコリ荘を作ることになりそうです。

伝統工芸の未来は若者と職人のコラボレーションにある

――金沢のセコリ荘はどんな場所になりそうですか?

石川県には、100社以上も繊維を扱う会社があるんですね。だからこそ、その土地の生地を集めて、そこに行けば石川県の生地や素材と出逢える、という場所にしていきたいと思っています。商品も置いて、旅行客の人にとってはお土産を買って帰ることができて、現地のクリエイターにとっては素材と出逢う場所になる。学生にとっても良い学びの場所になればいいなって思っています。

――その土地の素材をその土地の作り手に結びつけたいんですね。

本当に、日本の各地には魅力的な素材がたくさんあって、それを脈々と受け継いできた職人さんたちがいるんですよ。現場では60代、70代の職人さんたちが、元気に働いているんですね。ちょうど、技術革新をしてきた方々です。その技術を若い世代に繋げたい気持ちがあります。職人さんの現場に興味を持ってくれる若者がいたら、現場に入ってもらいたいし、魅力を発信できれば国内の生地を使うデザイナーが増える等、変化してくると思うんです。

今の時代だからこそ、昔ながらもありつつ、でも革新的なこともできる。伝統の技術をブランドが使うことで、海外にも販売していける。そういう可能性と楽しさを伝えていきたいです。

自分の仕事が、誰かとって善いものなのかを知ること

セコリ荘には、職人の技術を大切に思う宮浦さんの気持ちがちゃんと詰まっています。地方にセコリ荘を増やして、海外にも作りたい。東京は地方のセコリ荘から集まってくる物事の集合地点にもなるかもしれない。宮浦さんのビジョンは、インタビュー中もずっと広がっているようでした。

自分自身の手でスペースを作る人が増える中、そのスペースを作った後、他の人にとってどんな楽しさや優しさが届くのか。宮浦さんの意識は、何もスペース運営をする人にだけ当てはまることではない、日々、営む人にとって共通の、大事な気づきを与えてくれるもの。そんなふうに思いました。

詳細情報

名称セコリ荘
住所東京都中央区月島 4-5-14
URL

http://secorisou.com/

その他営業時間:
金 17:00~22:00
土 13:00~22:00
日 13:00~22:00

この記事を書いた人/提供メディア

新井 優佑

インタビュアー/ノンフィクションライター。WEBマガジンやオウンドメディアの運用、寄稿をしています。出版社でスポーツ雑誌編集とモバイルサイト運用を担当したのち、独立しました。2014年は、手仕事からデジタルファブリケーションまで、ものづくりの記事を多く作成しました。1983年東京生まれ。

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