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2014.02.27 (Thu)

昭和の江戸っ子の「粋」な逸話を楽しめる1冊 ―能美金之助著『江戸ッ子百話』

昨年の暮れ、古書店で『江戸ッ子百話』という本を購入しました。ほどよく日焼けした本のページを開いて読み進めていくと、これが面白い! 著者である能美金之助さんが、町に住むなかで見聞きした昭和の下町の文化・風俗や暮らしが生き生きと書かれています。

いなせで、どこかとぼけている、愛すべき「江戸っ子」たち

「江戸っ子」とは、「江戸で生まれた者」のこと。一般的には、生まれた場所よりも、その人の性質や気風を表す言葉として使われることが多いようです。細かいことにこだわらない、いなせで喧嘩っ早い、などが江戸っ子の特徴。『江戸ッ子百話』の「奥ゆかしい物貰いと風流な泥棒」の話からは、江戸っ子の「粋」を大切にする気性が感じられます。

また、江戸っ子には情が厚い人が多く、『江戸ッ子百話』には、そんな江戸っ子が引き起こした数々の逸話が紹介されています。

『江戸ッ子百話』上下巻。能美金之助さんが60歳を越えてから書き始めた話は、百話以上続きました。
『江戸ッ子百話』上下巻。能美金之助さんが60歳を越えてから書き始めた話は、百話以上続きました。

「浅草寺に鳩豆を売るおばあさんが居た」など、今はなき風景が描かれているのも、『江戸ッ子百話』の魅力。本年初めに「観音様で飼われていた白馬」の話を紹介しましたが、これも、本著を読んで知ったことでした。

『江戸ッ子百話』に登場する場所は、ほぼLwP magazineの活動エリア内(浅草から3km圏内)。本著を読んでから、浅草や上野の界隈を散策してみると、当時と現在の違いが感じられて味わい深いですよ。

『江戸ッ子百話』(上下巻)/能美金之助著/1972//株式会社三一書房

この記事を書いた人/提供メディア

Yui Sato

東東京のニュースタイルカルチャー研究員。下町の伝統と今風の文化をミックスした作品・商品や、それらを作り出す人々に強く惹かれます。 初めての1人暮らしの地・森下に住み始めて4年。東東京は、深く関わるほど味わい深く、愛着を感じるエリアだと実感する日々を送っています。ふだん書いているのは、ミニシアター系映画の紹介など。夢は、ミニシアターのない東東京で、定期的に映画の上映会を開催すること!

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