2014.10.09 (Thu)
バイカー・ブーツ好きのサロン!? ブーツリペアーショップ福祿壽
靴の修理といえば、ミスターミニットなど全国で展開している店舗がまず思い浮かびます。しかし近年では店のコンセプトをはっきりと打ち出した、非常に個性の強い靴修理店が都内にどんどんオープン。靴のトラブルの駆け込み寺として、また靴談義に花を咲かせるサロンとしても親しまれ、革靴好きのライフスタイルを支えています。
今回は、そんな個性的な靴修理店の中でも唯一無二の存在感を放つ「福祿壽」(ふくろくじゅ)をご紹介します。
靴修理店がクローズアップされ始めたのはおよそ10年ほど前。高級靴のブームと時期が重なります。高級靴を手に入れる人が増え、ソールが減ったからといって使い捨てにするわけにもいかず、おのずと修理という手段を選ぶ。そんなサイクルが生まれてしっかりと定着し、現在のシーンに続いています。靴を直して履く文化が根付いてきているといえるでしょう。
福祿壽は浅草の奥も奥、山谷に店を構えています。代表の奥山武さんがこの店をオープンしたのは2003年。以来11年、移転もしながらずっと山谷で靴修理業を営んでいます。
大きな商圏に集うお客さんをターゲットにしている靴修理店が多いなか、この立地でお店を出すのはかなり異例です。どうしてこの地を選んだのでしょうか。
「それはもう、浅草という点が第一ですね」と奥山さんは答えてくれました。ご存知のとおり浅草は靴の街。靴を作る会社ばかりではなく材料屋も多くあり、遠くから買い付けに来る靴修理業者がたくさんいます。近ければとても便利であることは間違いありません。
もうひとつは奥山さんがずっとこの地で修行をしてきたということ。「とてもなじみがあって、独特の雰囲気も好き。住まいも店の上です」。浅草で働き、浅草に住まう。奥山さんもまた、東東京に魅せられた人間のひとりであるといえます。
お客さんと考える修理
奥山さんはバイク好き。バイクに乗るときに履くブーツから、靴への興味がはじまりました。「持っている靴はほとんどがブーツです。やっぱりバイクに乗ることを前提に靴を選んでいるので。何足持っているのかは、もうわかりません(笑)」
奥山さんのスタイルがブーツありきであるように、お客さんの多くがバイカーでありブーツ好き。「ブーツリペアーショップ」と看板を掲げているだけあって、ブーツの修理には全幅の信頼を置かれています。
靴修理の基本は元どおりに直すこと。しかし福祿壽では違うソールを付けたり、ウェルトを巻き直したりという「カスタムリペアー」の提案をすることもあります。「バイクに乗るときの靴底にヒールがあった方がいいのか、フラットのほうがシフトチェンジしやすいのかはお客さんによってそれぞれ。バイクに乗っていないときの見た目もあります。お客さんから話を聞いて一緒に考えて、そのお客さんにとってのベストを探ります。カスタムはその結果です」。
福祿壽はこのカスタムリペアーで一気に名が知られるようになりました。もちろん福祿壽が行う以前から存在していた修理方法ではあったものの、革靴が好きな若者が増えてきたことや、アメリカンな服装が復権しメディア掲載が増えたことで福祿壽のやり方が広く認知されていきました。
「特にアイデアで勝負したわけではなく、お客さんとの話し合いの中で自然とそういう修理になっていっただけです」。奥山さんは謙虚にそう語ってくれました。
A-ROUND2014イベントー福祿壽オープンファクトリー
10月24、25、26日に開催される「A-ROUND2014」にて、福祿壽のファクトリーが公開されます。昨年の同イベントでも行われ、なかなかの盛況を見せました。
「ほとんどお構いはできないんですけど、ブーツの修理はこんな風に行っているんだというところを見ていってもらえれば」と奥山さん。
1Fが主な作業場。そこにはおびただしい数のブーツ、うずたかく積まれたソール、オールソール張り替え時に使われるラスト(靴の木型)、珍しい出し縫い機など、普段見られないような光景が広がります。
お店のファン、バイカーや靴・ブーツに興味がある人も、そうではない方たちも、ぜひ参加してみてください。靴の構造や福祿壽流の修理を知る良い機会だと思いますよ。
詳細情報
名称 | ブーツリペアーショップ 福祿壽 |
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住所 | 〒111-0021 東京都台東区日本堤1-13-8 |
URL | |
その他 |
開催日時
10月24日(金)、25日(土)、26日(日)
12:00〜20:00