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2014.04.03 (Thu)

どこもかしこもフォトジェニック。蔵前の老舗銭湯「梅の湯」の最後を思いっきり名残惜しむ”一日限定公開”に行ってみた!

東京では一週間に一軒のスピードで銭湯が消失しています。きっとみなさんの近所でも例があるのではないでしょうか?そしてその銭湯の中の様子は見たことがありますか?実はお風呂屋さんは文化財産の宝庫。風呂好き日本人のお風呂の歴史は銭湯に有り!そこにはいろいろなデザイン・趣向が詰まっています。

台東区蔵前の「梅の湯」がその廃業・解体にあたり、なんとも粋なはからいで今回去る3月29日に”一日限定公開”され、私も行ってきました!

梅の湯 男湯側。壁の富士山の絵は故・早川利光さんの2004年の作品。男湯・女湯の間の壁は本物の富士山の溶岩が固まった岩が使われています。
梅の湯 男湯側。壁の富士山の絵は故・早川利光さんの2004年の作品。男湯・女湯の間の壁は本物の富士山の溶岩が固まった岩が使われています。

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この松竹錠は銭湯特有のものだそう。

この梅の湯は昭和初期に創業、約一年半前に休業状態になり、この”一日限定公開”後、既に4月1日から解体が始まりました。目をキラキラさせた訪問者たちの何十体、きっと何百体のカメラの前でその最後の姿を堂々披露。脱衣場・風呂場はもちろん、その裏のお湯を炊く部屋、2階の居住空間も全部公開されていました。

写真左:朱色がまぶしい蔵前4丁目の梅の湯入口。 写真右:梅の湯 一日限定公開で配られたとても親切な案内。できるだけの情報が集められています。
写真左:朱色がまぶしい蔵前4丁目の梅の湯入口。
写真右:梅の湯 一日限定公開で配られたとても親切な案内。できるだけの情報が集められています。

どこを見てもフォトジェニックな「梅の湯」 来場者全員を魅了

まず「梅の湯」の正面は関東大震災以降東京の銭湯に典型的な寺社建築のような”破風(はふ)”というデザイン。銭湯に通う人々が非日常な、まるで”お参り”に行く感覚になれる為だったとか。「梅の湯」のそれはきれいな朱色に塗られています。

「ありがとう梅の湯 一日限定公開」の案内を見て、通りがかりの人がどんどん入場。大盛況です。
「ありがとう梅の湯 一日限定公開」の案内を見て、通りがかりの人がどんどん入場。大盛況です。

入口には”ありがとう梅の湯 一日限定公開 ご自由にご覧ください”というあったかい案内。通りかかった子供連れの家族が何組か「入ってみよう!」と入場していきます。梅の湯は人でいっぱい、入口は靴でいっぱいになっていきます。

中はみんなの馴染みのあるThe 銭湯感いっぱい。ピカピカの木の床、高ーい木製の番台、高ーいマス目の木の天井、籐で編んだ脱衣かご、富士山のペンキ絵。

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写真左:”梅の湯さん江”と書かれた大きな柱時計が男・女脱衣場の間に掛けてあります。
写真右:男湯側からの番台とそこに上がる階段。

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「子供のころから全然変わってない」という男性の声が聞こえてきます。この方は詳細に子供の頃の記憶がある様子で、当時のことを懐かしそうに話しています。

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「梅の湯」の壁に描かれた富士山はものすごく青く、男湯・女湯にまたがって大きい。この富士山を描いたのは故・早川利光さん。日本に数名しか残っていないペンキ絵師の一人でした。また浴場の男湯・女湯を隔てる壁は富士山の溶岩石が使われています。この壁、いかにも男湯・女湯間で声を掛け合い、石鹸を投げ合えそうな高さです。

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入れ替わり立ち代わり高い番台に座ってみる人々は満面の笑顔。あちこちで「梅の湯」を名残惜しむ声が聞かれ、みんなが同じ思いを共有している感覚を味わいました。

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銭湯は昭和43年(46年前)に最盛期を迎え、その後減少の一途をたどっています。こんな素敵な空間が消失していくのはなんとも心が痛いものです。ラッキーなことに浅草界隈・下町には他の地域に比べればまだ銭湯が残っています。家庭のお風呂では味わえないあったまり感・さっぱり感に浸りながらのコーヒー牛乳、プラス文化財産の体験目的に銭湯はいかがですか?かなりの満足感・幸福感が得られること請け合いです!

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この記事を書いた人/提供メディア

Kumiko

独自性研究員。 独自のアイデアで、”考える”機会を与えてくれるものに惹かれます。 また、時間の動きに興味があり、今流行っているものよりも、その先: 時間を先に引っぱっている事や人、または、それ以前: 時間が刻まれた物をいつも探しています。東東京にはこれらの要素がいっぱいで飽きることがありません。

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