2013.10.08 (Tue)
浅草にも山がある!? 夫婦円満&良縁良福をさずける寺院「待乳山聖天(まつちやましょうてん)」
東京の低山といえば港区にある標高25.7メートルの愛宕山(あたごやま)が有名ですが、ヒガシ東京にも山があるってご存知でしたか? それは、浅草駅から歩いて10分ほど。浅草寺の支院(しいん)でもある待乳山聖天です。
待乳山聖天の昔話
創建は595年(推古天皇3年)の夏。干ばつで人々が苦しんでいたところ、十二面観音が大聖歓喜天(だいしょうかんぎてん)、つまり聖天さまに化身してこの地に姿を現し人々を救ったのだとか。そのため“聖天さま”として、この地に祀られることになりました。
山ができたのはこの頃。金龍が舞い降り、土地が盛り上がったといわれています。標高は10メートル。『日本山名辞典』(三省堂)には、東京の最低峰として記されています。10メートルと、あなどるなかれ。標高10メートルといえど、立派な山! その証拠に、高尾山や雲取山と同じく測量に用いる「三角点」が設置され、かつては経度・経緯・標高の基準になっていました。
ご利益を表す二股大根と巾着
聖天さまは仏法を守護し、仏道を行(ぎょう)ずる人々を守護する神様。衆生(しゅじょう)、つまり命あるものすべての迷いを救い、願いをかなえる大きな力を持っていらっしゃるといわれています。ただ、その姿は見ることのできない秘仏。どんなお姿をされているのか……想像してしまいますね。
お詣りの途中、境内のあちこちで見かけるのが“二股大根”と“巾着”モチーフ。これは聖天さまを信心して祈願することにより、得られるご利益を表したものなのだそう。
大根は体を丈夫にし、良縁を成就。夫婦仲よく、末永く一家の和合をお守りいただける功徳を表しています。巾着は財宝。つまり商売繁盛を表し、聖天さまの信仰のご利益の大きさも示しているんですよ。
また、大根は人間の深い迷いの心を表すともいわれています。社務所にはお供え用の大根が用意されているのですが、この大根を供えることによって心を洗い清めていただく、という意味もあるのです。
毎年1月7日には“大根まつり”を開催。法要の後、正月中にお供えされた大根を調理した風呂吹き大根をいただくことができます。
昔の名残を惜しみつつ、お詣りを
江戸時代には東都随一の眺望の名所と称され、大賑わい。多くの浮世絵や詩歌などの題材にもなった聖天さま。浮世絵師・歌川広重の錦絵に描かれている築地塀(ついじべい)は、今も当時の名残をとどめている貴重な建築物です。
浅草の賑わいが嘘のように、清々しい静寂が広がる待乳山聖天。ご利益を授かりに来るもよし、心をしずめに来るもよし。どんな時も私たちを受け入れてくれる、懐の深いお寺です。
詳細情報
待乳山聖天
住所:東京都台東区浅草7-4-1
電話:03-3874-2030
参拝時間:6:30から16:30(10月から3月) ※4月から9月は6:00から本堂が開きます。
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