2017.09.13 (Wed)
金網製造の技術でアートからリサイクルまでコラボ展開、石川金網
1922年創業の老舗企業、石川金網。化学工業用のフィルターから自動車部品、デザイン性の高い建材や内装パネルなど、あらゆる分野に使用される金網の専門メーカーです。
同社の強みは、豊富な金型と都内随一の金網在庫で多種多様なニーズに応えられること、そして自社で素材から製品までの一貫生産を行えること。コストに対する意識も高く、必要な装置や工具は社内でつくりあげるなど、ものづくりの技術を工場内にも生かしています。
大学との共同研究を基にプラスチックを分離できる新方式を開発するなど、金網製造で培った技術が新たなフィールドで花開いていることも見逃せません。
近年はBtoC事業にも注力。金網ながら柔らかな風合いで、デザインやアートの世界で注目を集める『KANAORI』や、社員の発案で生まれた金網折り紙『おりあみ/ORIAMI』は、同社のチャレンジを象徴する商品となっています。
──これまで、クリエイターや他社からモノづくりに関する相談を受けたことがありますか。
アーティストの方々から、金網を素材として利用したいという問い合わせがあります。昨年はプリザーブドフラワーとの組み合わせの提案を受け、実際にお正月飾りとしてテレビショッピングで販売されました。
そのほか、クリエイターの方からコサージュやイヤリング、ペンダント、かんざしなどのアクセサリー、小物入れ、テーブルランプのような生活用品に使いたいというご提案もあります。製品は、こうしたクリエイターの方々が手掛けるワークショップで展開しながら販売しています。
また、共同開発の依頼は多く、金網折り紙『おりあみ/ORIAMI』は、日本折紙協会と、折り紙アーティストの方との共同開発商品です。
──クリエイターやデザイナーとコラボレーションして、製造をされたことがありますか?
『おりあみ/ORIAMI』は、当初、広告代理店の知人と、荒川区の経営支援課アドバイザーに指導いただきながら開発を受け進めていました。
開発中、弊社の技術者が日本ホビーショーというイベントに参加した際、折り紙アーティストの方と知り合うことができ、サンプルの製作を依頼しました。そこから、日本折紙協会とも縁がつながり、協会の方の指導と、アーティストの方々の協力があって完成しました。それまでは、BtoBのモノづくりに特化していたので、このようなご縁で商品化できることはとても新鮮でした。
大学と共同開発した製品もあります。ペットボトルのキャップをリサイクルする装置に使う金網です。
ペットボトルのキャップの素材には、2種類のプラスチックがあるのですが、リサイクル後のプラスチックが高く買い取られるためには、種類ごとに分離する必要があるんです。環境に配慮し、再利用が求められる時代に対応できる製品ができたと思います。
首都大学東京との産学連携事業「石川金網ブランディング開発」も3年計画で進めていて、初年度である2016年度は、学生の方と金網の可能性を追求し、様々な用途を探りました。今後は、より現実的な商品開発段階に入り、一般消費者向けの商品ラインナップを増やす予定です。
──御社では、どのようなモノづくりを得意としているのでしょうか。
金網及び、金属の特徴を生かしたモノづくりをしています。多様化したニーズに対応し、多品種・少量生産への転換も進めています。
当社を訪れるお客様のほとんどが、解決したいお悩みのある方々。抱えている問題を親身に伺い、課題解決ができる製品開発を心掛けてきました。これまでも、石川金網にしかできないことを追求してきましたが、今後は芸術性の高い製品づくりに注力し、お客様の幅広いニーズに応えたいと思います。
──クリエイターが御社に相談できる機会はありますか? オープンファクトリーや参加されているイベントなどがあれば、ご教示ください。
展示会、異業種交流会で知り合った方からご相談やご提案をいただく機会が多いです。2017年2月には「第83回東京インターナショナル・ギフトショー春2017 LIFE×DESIGN」に出展しました。来場者は、建築装飾や室内装飾のデザイナー、アクセサリーや小物のデザイナーなど多方面にわたり、当社の展示にも高い関心を寄せていただきました。
今後も、さまざまな展示会に積極的に出展していこうと考えているので、機会がありましたらぜひ来場ください。
石川金網株式会社
住所:〒116-0002 東京都荒川区荒川5-2-6
TEL:03-3807-9761
FAX:03-3807-9764
代表者名:石川幸男
従業員数:35名(2017年4月現在)
創立年:1922年
業態:メタル&ワイヤー加工品の設計・開発・販売、フィルター最適化ソリューション等
http://ishikawa-kanaami.com/