ホーム > インタビュー > 清澄白河リバーサイドに生まれた、あらゆるクリエイティブが混じり合う場「ミツメ」 <このスペースすごい! 街なか小宇宙(コスモ)との遭遇 Vol.1>

2015.07.17 (Fri)

清澄白河リバーサイドに生まれた、あらゆるクリエイティブが混じり合う場「ミツメ」 <このスペースすごい! 街なか小宇宙(コスモ)との遭遇 Vol.1>

渋谷、新宿、大手町、虎ノ門、豊洲……2020年の東京オリンピックを目指して大規模な再開発が相次ぐこれらのエリア。一方、我らが東東京エリアはこうした大規模開発の波に飲まれることもなく、静かに日々を過ごしているかのように見えます。

しかし、変化のきざしは着実に訪れています。雑居ビルの1室から。あるいは改修された空き家から。いままでにない新しい活動を起こす人が、懐が深い東東京エリアに小さな拠点を構え、それぞれの場所で小さなうねりを起こしています。そのうねりの連鎖が広がったとき、大規模開発にも引けを取らない豊かなインパクトをエリア全体にもたらしてくれるのかも知れません。

今回はそんな予兆を感じさせてくれるスペースを紹介します。題して「このスペースすごい! 街なか小宇宙(コスモ)との遭遇」シリーズ。

Vol.1では清澄白河、隅田川沿いの萬年橋を渡ったリバーサイドエリアに2014年にオープンした「ミツメ」にフォーカスします。開業から1年足らずの間に大小50を超える展覧会やイベント、ライブなどを開催。しかもそのほとんどが自主企画というから驚きです。

ギャラリーなのかカフェなのか、ライブスペースなのか公開スタジオなのか?

ミツメは清澄白河、隅田川のほとり、小名木川に架かる萬年橋から徒歩1分の場所にあります。

展示スペースは間口3.6m、奥行き9m。バーカウンターを併設し、ドリンクやフードを片手にゆっくり過ごすことができます。さらに公開制作や展示、スタジオワークのできるスペースを増設予定とのこと。この空間のなかで、アート、ファッション、音楽、映像などさまざまな活動が渾然一体となって展開していきます。

たとえば6月末に開催したライブペインティングでは、半日にわたっておよそ1.5m四方の作品を仕上げていきました。そのかたわらではトラックメーカー・ラッパーのK.A.N.T.Aさんが即興でトラックを組み立ててビートを刻み、訪れたお客さんはビールなどを飲みながらその様子を眺めたり、音に身をゆだねたり。場の雰囲気全体を、のんびりと楽しんでいるのが印象的でした。

6月に開催したライブペインティングの様子

6月に開催したライブペインティングの様子。「瀧徹和 – DORODORO展」のオープニング企画でした。ゲストにK.A.N.T.Aを迎えた、絵の具と音のセッション

個展を開催しながらその会期中に現場で公開制作をしたり、さまざまなライブパフォーマンスを展開したりと、既存のアートやギャラリーの領域に収まらないアクティビティにあふれています。

2014年11月に開催したSASAKIによる個展「ABSTRACT ONESELF」展のための公開制作。DJ SAK(作花英生)が制作したオリジナルのトラックのビートに合わせて、ドローイングパフォーマンスを実施しました(動画:ミツメ)

現在ミツメでは、上記作家の作品を含めた6人の作家による展示「Afterwards - イメージのその後」を8月9日まで開催中です。出品作家:SASAKI、竹内スグル、NASEPOP、コバヤシ麻衣子、小山田将監、中村研一

現在ミツメでは、上記作家の作品を含めた6人の作家による展示「Afterwards – イメージのその後」を8月9日まで開催中です。出品作家:SASAKI、竹内スグル、NASEPOP、コバヤシ麻衣子、小山田将監、中村研一

これまでに開催した企画は多種多様で、ローカルの親子連れから海外アーティストまで、訪れる人同士が自然につながる場となっています(写真:ミツメ)

これまでに開催した企画は多種多様で、ローカルの親子連れから海外アーティストまで、訪れる人同士が自然につながる場となっています(写真:ミツメ)

近所の人々が集まる場に

「アートやギャラリーという表記はどこにもしていません」

ミツメを主宰する坂野充学さん(冒頭の写真)はそう話します。通りがかりに何かやっている、とぶらりと立ち寄って、気持ち良いひとときを過ごせる場所。そのためスペース内にはバーカウンターが設けられ、ドリンクやフードを楽しみながら生のクリエイティブを身近に体験することができます。

坂野さんは、千代田区外神田の廃校を利用した芸術施設「アーツ千代田 3331」の共同設立者の1人。2013年秋に、自身のクリエイティブプロダクション「NATIVEYE」を立ち上げました。クリエイティブディレクターとしての活動と並行して、後にミツメとなる町工場跡地のセルフリノベーションをスタートし、2014年にようやくオープンに至りました。


2013年9月、改修工事に入った直後(写真:ミツメ)

2013年9月、改修工事に入った直後(写真:ミツメ)

現在のミツメの空間(写真:ミツメ)

現在のミツメの空間

川からの風が流れる場所で、のんびりと日常生活をみつめ直し、新しい表現をみつめる。「ミツメ」という名前には、そんな思いが込められています。

訪れるお客さんはアート目的よりも、地域の方が多いそう。3対7ぐらいの割合とのことで、地元中心に口コミで広がっている様子が伝わります。

「ものごとが出来上がっていく最中が面白い」と坂野さん。アーティストとミュージシャンによる即興パフォーマンスや公開制作などの企画で、その瞬間、その場にいなければ共有できない体験を提供します。アーティストとお客さんとの直接の会話は作品への共感につながり、それまでアートには縁がなかった近所のお客さんが作品を購入するなど、思わぬ効果も生まれているようです。

周辺スポットと一緒に盛り上がる清澄白河エリア

ミツメとそれを取り巻く環境は、いまも変化の最中。坂野さんがこの場所を選んだ2年前には想像もしなかった追い風が吹いています。

近隣は、清澄白河でレンタサイクルができる「アロハロコスタジオ」や、アンティークコレクションに囲まれた「ポートマンズカフェ」といった個性的な店舗が並びます。カフェブームの立役者である「ブルーボトルコーヒー」や「アライズコーヒー」、週末限定のコーヒースタンド「sunday zoo」(参考記事前編後編)なども忘れてはいけません。

また、東京都現代美術館があるアートのエリアでもあり、若手ギャラリストが運営する個性的なギャラリーも点在しています。

こうした清澄白河でお店を持つオーナーやクリエイターの方たちが主体となって、コーヒー店やアートスポットを巡るマップを作成。エリア内の掲載店舗で無料で手に入ります。もちろん、ミツメにも置いてあります。

「KIYOSUMI SHIRAKAWA FREE MAP "ROUTE" Vol.1」。アートスポットやセレクトショップをコース別でガイドします。「ROUTE vol.1」Project Team(編集:水上義近、デザイン:八木宏基、取材・執筆:岡島梓)

「KIYOSUMI SHIRAKAWA FREE MAP “ROUTE” Vol.1」。アートスポットやセレクトショップをコース別でガイドします(制作:ROUTE PROJECT TEAM/編集:水上 義近、デザイン:八木 宏基、取材・執筆:岡島 梓)

ミツメのオープン日時は企画展示に合わせて流動的ですが、最近、週末には何かしらイベントや展覧会が開催中とのこと。Facebookで最新の情報を発信しているので、要チェックです。近所のカフェを訪れるような気軽さで、一度のぞいてみてはいかがでしょうか。そこには新しい発見が、あなたを待っていることでしょう。

詳細情報

名称ミツメ
住所東京都江東区常盤1-15-1 1F
URL

http://www.mi-tsu-me.com/

その他イベント時を中心に不定期オープン

この記事を書いた人/提供メディア

樋口 トモユキ

まちづくり会社ドラマチック・ディレクター。愛知県名古屋市で生まれ育ち、東京・東中野現住。大都会東京を横断して、東側と西側を行き来しております。人々が集まり営む都市というものに対する飽くなき好奇心を胸に、日々是精進。

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