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2017.06.14 (Wed)

アルミ金型と小ロット成形のミヨシ

写真:ミヨシ

1972年の創業以来、プラスチック試作品製作を中心に、射出成型金型や金属試作品の製作、射出成形を手掛ける株式会社ミヨシ。発注者との打合せを重ねて試作品を製作し、安全性の検証や開発段階での課題のあぶり出しなど、品質の根幹を支えるための業務を得意としています。

金型の設計・製作から品質保証までを一貫しておこなえること、そして豊富な経験から導かれるフレキシブルな提案力が大きな魅力。大手企業との先進的な開発で得たノウハウを生かして、「モノづくりベンチャー」との連携にも積極的に取り組んでいます。

──これまで、クリエイターからモノづくりに関してどんな相談を受けましたか?

クリエイターからのご相談で思い出深いのは、「キルラキル」というアニメに登場するアイテム「片太刀バサミ」をファンアートとして製作した案件です。

写真:アニメ「キルラキル」の実物大片バサミと、ミヨシ代表の杉山耕治さん

アニメ「キルラキル」で物語のカギを握る巨大な「片太刀バサミ」。実物大モデルの見事な仕上がりに見惚れる、ミヨシ代表の杉山耕治さん

コミュニケーションロボットの研究開発を手掛けるエンジニアであり起業家でもある、karakuri products代表の松村礼央さんから個人で製作依頼をいただき、実物大でブロック材から削り出して製作しました。デザインをなるべく崩さないように、ただ加工に関する制約条件も説明し、互いに納得しながら試作を進めました。最終データを見たとき「これは美しいものができる」と直感しましたね。実物は見事な仕上がりで、お渡しするのが少しさみしいほどでした(笑)。

本業であるプラスチック製品の少量量産に関しては、IRKit※の製作事例があげられます。クリエイターの大塚雅和さんが企画・設計をされ、弊社は筐体部分の製作をお手伝いしました。大塚さんとは、以前モノづくりのイベントでご一緒し、着眼点や仕事の進め方に引かれていたので、製作に携われて光栄でした。

※IRKit:Wi-Fi機能の付いたオープンソースな赤外線リモコンデバイスで、ポータブルデバイスから家電の操作を可能にするもの。

──クリエイターやデザイナーとコラボレーションした際のストーリーをお聞かせください。

BRANCHというデザイン会社と製作した「Resiina(レジーナ)」という商品があります。板チョコの形をした立体形状のサンプルなのですが、製作の苦労とともに、クリエイターの情熱に触れた刺激を今も思い出します。

「Resiina」誕生に至った思いは2つあります。プロダクト製作時のサイズ認識のずれを解消できるツールをつくりたいという思いがひとつ、もうひとつは、そのツールが長く愛用されるものであってほしいという思いでした。

私たち製造側は、3Dモデルや2D図面をもとに製作をします。近年主体となっている3Dモデルは、2D図面よりも立体的な認識の確度は上がりますが、ディスプレイ上で拡大縮小して見るうちに、「思ったよりも角ばっていた」など、設計者の認識と実物のサイズに差が出ることがあったんです。

この不一致を減らしたいと「立体Rサンプル」を製作して配っていたのですが、後日聞いてみると、結構捨てられていたんです(苦笑)。ちょっと悲しかったですけど、デザインも無機質で、愛着が湧かないこともひとつの原因かもしれないと感じました。

写真:ミヨシ 立体Rサンプル

最初に配っていた立体Rサンプル。様々な半径のR(アール)を手に取ることができるが、無骨な印象は否めません

新しい立体サンプルをつくる際に、弊社の企業理念「捨てられないモノづくり」をご説明したところ、BRANCHさんも共感。長く愛用されることを目指し、高い利便性と品質はもちろん、身近に置いておきたいプロダクトにしようと打ち合わせを重ねました。

写真:ミヨシ 板チョコ型のRサンプル「Resiina(レジーナ)」

パッケージまでデザインが行き届く、板チョコ型の立体Rサンプル「Resiina(レジーナ)」

写真:ミヨシ「Resiina」

見た目はまったく板チョコですが、よく見ると半径ごとのRのサンプルになっています

ただ、板チョコレート型にしようと決めてからが大変でした。樹脂が固化して縮まり、製品がへこむ「ヒケ」を生じさせないよう、裏面のデザインを変更したり、成形条件をコントロールしたりと工夫を重ねました。

製品を金型から離す「突き出しピン」の配置や形状を決めるまでも苦心しました。今回はデザイン上、どこにもピンの跡がつかないようにする必要がありました。そこで、意匠面の文字が彫られている部分に突き出しピンを配置し、跡が分からないように工夫しています。

写真:ミヨシ「Resiina」の金型

「Resiina」の金型。四隅と中央の2コマに型から離すための「突き出しピン」を配置し、跡がわからないように工夫しています

デザイナーの労力や情熱に触れられたことは、弊社にとって刺激になりました。彼らは、世界中のチョコレートの包装紙を研究してデザイン案を練り、パッケージを手づくりしては試していました。その姿勢に感銘を受け、私たちも妥協せずに製造に取り組めました。

また、この製作過程でデザインの重要性を知ることができました。今年、オーストリアのデザイン事務所から1セット発注があり、お礼にと本物のチョコレートが送られてきたんです(笑)。利便性だけでなく、優れたデザインやユーモアを解するデザイナーから高く評価されていると感じます。

──御社では、どのようなモノづくりを得意とされていますか。

金型を用いたプラスチック製品の少量生産が得意です。金型は、同形の製品の量産に欠かせませんが、μm(0.001mm)単位での加工精度の高さが求められ、とても高価です。

写真:ミヨシ 金型

高い加工精度を誇る金型

そこで、1万個程度までの生産量で、それほど耐久度が必要ない場合は、製作費を抑えられるアルミでの金型製作もおすすめしています。弊社は、アルミでも鋼材と同等の品質・意匠を担保する金型製作が可能です。前述のIRKitのパーツは、ほとんどアルミ金型でつくられています。

──クリエイターが御社に相談できる機会はありますか?

昨年、東東京の5区が共同して手掛けるTASK(タスク)プロジェクトの工場見学ツアーコースに参加しました。

弊社単独では、2017年はワークショップと工場見学会を4度実施します。ワークショップは4〜6人程度、工場見学は6人までの募集になります。4月の第1回は「測る」をテーマに実施し、6月の第2回は「磨き」です。第3回は8月26日(土)、第4回は10月28日(土)の予定です。少人数ですが、高校生以上でしたら参加できますので、ご興味ありましたら弊社のサイトFacebookページをご覧ください。

miyoshi00
株式会社ミヨシ
住所:〒124-0025 東京都葛飾区西新小岩5-29-14
TEL:03-3692-0662
FAX:03-3696-9557
代表者名:代表取締役 杉山耕治
従業員数:20名(2016年1月現在)
創立年:1982年(創業1972年)
業態:プラスチック射出成型金型製、射出成形、製品設計補助など
http://www.miyoshi-mf.co.jp/ Facebookページ

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イッサイガッサイ 東東京モノづくりHUB

Eastside Goodside (イッサイガッサイ) 東東京モノづくりHUBとは「CREATION IN EAST-TOKYO」を合言葉に、モノづくりが盛んな東東京の「ヒト」と「モノ」と「バ」をつなげて創業者をサポートし、東東京をワクワクする地域に変える創業支援ネットワークです。 https://eastside-goodside.tokyo/

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