2013.08.22 (Thu)
ビルがまるごと靴工場!? 靴の企画・デザイン・製造まで奥浅草のビル一棟で行う靴メーカー「パナマシューズ」
浅草は隅田川の水の恩恵を受け、1870年代初めから続く靴と革のものづくりの街です。少し歩けば靴・革関係の工場・業者を通ることになる高い密集度になっています。
そんな浅草から、本日は台東区今戸1丁目にある「株式会社パナマシューズ」をご紹介しましょう。靴の企画・デザインから生産までの全工程を自社ビル内5フロアーで行っているレディース靴メーカーです。
自社ビル内で全ての工程を行っているというのは日本では現在数少ない貴重な存在です。全工程の現場が把握できることが同社の品質維持に繋がっています。(現在量産の30%は中国・韓国・フィリピン)
今回はこのパナマシューズに伺って特別に作業の様子を覗かせていただきました。
大手メーカーから個人デザイナーのOEMに対応
同社ではOEM生産が100%で、大きなメーカー(3000足位)から個人デザイナーの発注(300足位)まで幅広く対応しています。
持ち込まれた企画・デザインから細かくやり取りをして、メーカーの要望によって浅草近辺で材料集め、サンプルを作り、最終的に生産をするのが大きな流れです。
もし個人のデザイナーの方で同社でOEMをする場合、小売値を提示すれば、材料などを含め予算に見合うように親切に細かく企画してくれます。
充実した設備で効率よい製造システム
同社ビル内では5階から1階に効率よく製造工程が進み、順に下の階に下りるように構成されています。
5階 ショールーム
4階 企画・デザイン、営業、生産管理、裁断、製甲
3階 底付け
2階 仕上げ、クオリティーチェック、箱入れ、X線チェック
1階 事務所、搬入出口
詳しい製作工程や職人さんへのインタビューが同社サイトで見られます。http://www.panama-shoes.co.jp/manufacture/index.html
どの部署でもとても充実した設備が印象的です。(他社ではあまりないような最新の機械も幾つか見せて頂きました)最後に箱詰めされた全ての靴をX線に通して安全・良品であることを確認してから出荷するというのはすばらしいですね。(上記写真 参考)
また人の手でなければできない工程はそれぞれの専門の職人さんが黙々と作業をしていました。
丁寧に全階・工程を案内していただいた営業企画の山田裕亮さんのお話では、以前は東都製靴工業協同組合(東京都の靴作り業者の組合)に所属するパナマシューズのような靴メーカーが368社ほどあったのが、現在では125社にまで減り、海外で製造という形態が増えているようです。
そんな中で同社が「全工程の現場が把握できる」という芯を通し、年齢層広く、国際色豊かな職人さんが熱心に働いている様子は浅草の未来に繋がる地場産業の魅力いっぱいでした。