ホーム > インタビュー > 城一生さんの 浅草靴産業への情熱が止まらない <クツと革の街 浅草のニューウェーブ!〜前衛派モノづくりの今を追え〜 Vol.1前編>

2014.10.06 (Mon)

城一生さんの 浅草靴産業への情熱が止まらない <クツと革の街 浅草のニューウェーブ!〜前衛派モノづくりの今を追え〜 Vol.1前編>

今月の特集は、『クツと革の街 浅草のニューウェーブ!〜前衛派モノづくりの今を追え〜』。
今回の特集を通じ、浅草の持つ“モノづくり”の街の側面を知って頂きながら、様々な課題を打開しようと、今まさに動きが活発化しているニューウェーブの人たちのリアルな動きや心意気をお伝えしていけたらと思っています。

Vol.1では、靴業界ジャーナリストであり、浅草ものづくり工房マネージャーの城一生(たちいっせい)さんに浅草靴業界の直面する課題と、それをどう解決できるか、また将来への可能性について、熱のこもったお話を伺ってきました。

靴作りに関するすべてが揃う街、浅草は世界で唯一無二の存在

浅草は1872年(明治5年)の軍靴工場設立に始まり、現在に至るまでの142年間、途切れることなく続いている靴産業の集積地であることは知っていますか?しかも大都市の中心地で、材料から製作まで、靴を作るための全てが揃っているというのは世界唯一という貴重な存在。

この浅草における靴産業はピークの1990年前後まで大きく伸び続けました。しかしその後、他の産業と同様、安価な外国製品の流入と日本製品の海外生産シフト化の勢いに直面しています。

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【城さん作成の資料:浅草が靴産業の集積地という理由とその低迷下の理由とは?】

今週は前編・後編に渡って、城一生さんに伺った「浅草の靴産業は重要なターニングポイントに立たされている」という話をお届けします。城さんは、42年間靴と関わってきた靴業界ジャーナリスト。台東区の浅草ものづくり工房の運営マネージャーや若手靴デザイナーのPR・販売促進を目的とした多種多様な企画・イベント活動も行っています。城さんの浅草の靴への愛情溢れる熱ーいお話を聞いてきました。

”ターニングポイント”というからには、”浅草の靴産業の現状”と”これからの可能性”を知ることが必要になってきます。これについては、日本内外の靴産業を見つめてきた城さんの知識とデータでご紹介していきます。靴業界の方も、また靴が大好きという方も、城さんのお話で再度考えたり、新しい行動のきっかけにつながれば、と思っています。

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【城さん作成の資料:グローバル化の中でなぜ日本の靴産業が1990年以降停滞?】

42年間関わることになる靴業界との出会い

——まず城さんが靴と関わることになったきっかけとは?

1972年に就職した 「靴業界」(現・フットウエアプレス) という靴の月刊専門誌が始まりでした。元々ファッションは好きでしたが、靴はその一部として特に興味があったわけではなかった。ただ靴にはまっている業界人を見るのはおもしろかったんです。

ここで22年間勤めたんだけど、記事を書くのは全然ダメで、そのうち営業に移動させられました。自分では”営業”ではなく”営業企画”と言ってましたが(笑)。靴の問屋・メーカーを廻って、いわゆる ”営業” ではなく、「うちは今回この特集だから、お宅の商品のPRのチャンスだよ」といった、”企画能力” で問屋・メーカーのためのマーケティングをしていたんです。また情報提供をして人を結びつけるのが好きで、おそらく浅草靴業界の仕事を100人以上に紹介したんじゃないかな。

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【昔も今もとにかく企画、情報提供、人を繋げることが大好きという城さん】

——現在の城さんの活動の根源は、すでにその頃から始まっていたんですね?

そうですね。とにかく企画、情報提供、人を繋げることと、小さな小売店、個性的な問屋やメーカーが好きでした。普通営業には接待費がつきものだけど、僕は広告スポンサーにおごってもらっていました。

——えー!問屋やメーカーの人たちは、城さんからお得情報をもらっていたからなんでしょうね。城さんはそのあと、現在の会社を開設して、靴のカルチャーマガジン「シューフィル」を発行したんですよね。(2010年より休刊)

靴ジャーナリストの大谷知子さんと一緒に、靴に関わる様々な人の情報を、靴が本当に好きな人に向けて1996年に始めました。”シュー・カルチャーマガジン”という切り口に徹して、ビジネスの話や数字などは一切ないビジュアルな雑誌です。最初の頃は海外で様々な有名靴のブランドを訪れて、知識の吸収をしていましたね。

小売店を含み、靴業界では靴が売れないと、すぐに値引きしてしまうのがパターン化していたので、靴を定価販売してもらい、その代りに靴を購入したお客さんに「シューフィル」誌を渡すということを奨励しました。”いいものをより良い形で売る” という文化を広げたかったんです。

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【城さん作成の資料:これからの靴市場では個性がキーワード】

仕事への誇り・商品への愛着があれば、そこには文化が生まれ、人を魅了するはず

——なぜ、小売店、業界は値引きしてしまうんでしょうか?

原因は、小売店というより、業界全体に仕事への誇り、商品への愛着が不足していることだと思います。誇りや愛着があれば、そこには自信、商品への更なる研究工夫が生まれ、自然と人を惹きつけるようになります。商品に自信がないと、どうしても買う側、つまりお金を出すサイドの発言力が強くなってしまします。それが、”小売店 > 問屋 > メーカー > 材料販売店” という力構造につながります。この構造の中で業者には、”売れればいい”という考えが芽生えてしまします。本来、この力構造はお互い平等で、「買ってくれてありがとう」・「売ってくれてありがとう」と言うべきなのです。

——その力構造は昔も今も同じですか?それとも良くなってきていますか?

同じで、今も変わってないですね。1990年前後くらいまでは、それでも売れてたかもしれないけど、これが変わらないといけないんです。今のモノづくりに関わる人の課題ですね。

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【城さん作成の資料:日本の革靴生産量の推移・革靴輸入の推移。80年代後半からの変化が顕著】

では、1990年前後に何が原因で、何が変わったのでしょうか?
また、今のモノづくりに関わる人の課題とは?
ここからは後編に続きます。浅草靴業界の将来を城さんが熱ーく語っています!

詳細情報

名称城一生(たちいっせい)- 浅草ものづくり工房マネージャー 
住所〒111-0023  東京都台東区橋場1丁目36−2 台東区立産業研修センター
URL

http://www.monokobo.jp/

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Kumiko

独自性研究員。
独自のアイデアで、”考える”機会を与えてくれるものに惹かれます。
また、時間の動きに興味があり、今流行っているものよりも、その先: 時間を先に引っぱっている事や人、または、それ以前: 時間が刻まれた物をいつも探しています。東東京にはこれらの要素がいっぱいで飽きることがありません。

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