2013.12.16 (Mon)
薄暗い本堂でお香の匂いに包まれながら、心も体もリラックスする「寺yoga」
東上野の「明順寺」では毎週水曜日にヨガ教室“寺yoga”を開催しています。モダンな本堂で薄暗い照明とお香の匂いに包まれてヨガのポーズをとると、体も心もほぐれます。12月には人気のキャンドル・ヨガも行います。
東上野にあるモダンなお寺
波宇山 明順寺(みょうじゅんじ)は真宗大谷派・浄土真宗のお寺です。浅草から上野にかけてはお寺が密集している地域ですが、明順寺は一見お寺とはわからない現代的な建物。そして第17代住職の齋藤明聖(あきさと)さん はとてもユニーク。ツィッターやLINEで情報発信し、ウェブサイトも充実。南青山のヘアサロンに通うおしゃれな方でもあります。
「“ウェブ上にお寺の広場をつくる”という目的でホームページを立ち上げました。昔はお寺が鍼やお灸の診療所であったり、寺子屋という学問の場であったり、あるいは人々が集う地域のコミュニティの場でした。 ところが今は、教育は学校に、医療は病院になり、お寺が地域と遊離してきています」
敷居が高いと言われるお寺に、なんとか興味を持ってもらおうと“寺ヨガ”を始めたのは2010年4月。もうすぐ4年目になりますが、いまやキャンセル待ちが出るほどの人気です。「うちのお寺にとっては、ヨガはいまや重要な仏教行事になっています」
ヨガレッスンの前に住職の“ミニ法話”があるのもお寺ならでは。「なるべく宗派に偏らない、一般的な仏教の話を、あまり仏教用語を使わずにお伝えしようと努力していますが、けっこう難しくてね。でも皆さん喜んでくださるので、ありがたいです」
ふだん仏教法話を聞く機会はなかなかありませんが、3分間ほどの短いお話なので、すんなり心に入ってきます。最近は他のお寺でも精進料理教室やカフェなど、さまざまな試みをされているようですが、核家族化が進んだ現代では、観光以外でお寺を訪ねるきっかけが必要になっているのかもしれません。
仏教は世界的ブーム
一方でここ数年は仏教ブームで、仏教の本が売れていたり、若い女性の間でも仏像ファンが増え、“仏女”なんていう呼称まであります。「世界的にもその傾向があるようですね。例えばアメリカには仏教センターが電話帳1冊分くらいあるんですよ。一昨年亡くなったアップル社のスティーブ・ジョブズ氏も仏教に傾倒していて、お葬式も禅宗の儀式にのっとって行われたそうです」
住職は「お寺とヨガは馴染む」とおっしゃいます。「仏教は“内観”の思想といわれ、自分に向き合うことで悟りを開きます。もう一つは“共生”の思想。まさに今、世界から必要とされているのものだと思う。ヨガブームと仏教ブームはある意味、繋がるところがあるような気がします」
自分の幸せを選びとる力を大切にする
ヨガを指導しているのはインストラクターの島宗美和さん。レッスンはイシュタヨーガとヨーガセラピーをミックスした内容。美和先生が勉強中のアーユルヴェーダの知識も盛り込んでいます。呼吸法から自然にポーズへ移っていき、初心者でも無理なく参加できるプログラム。「自分の体と対話して、自分と向き合う時間にしてほしいです。価値観は人それぞれ違いますから、自分の幸せを選び取る力を大切にするのがアーユルヴェーダであり、浄土真宗の教えにも共通するのだと思います」
ヨガレッスンの後はお茶会。住職や先生といろんなおしゃべりができるのも、毎回楽しみの一つです。法事でしか縁がないお寺という場所が、ヨガレッスンをきっかけに、心も体もほぐせる身近な存在になっているのだと感じます。
毎年2回、夏と冬にキャンドルナイト
また明順寺では<100万人のキャンドルナイト>に参加しています。夏至と冬至の夜8時〜10時の2時間、世界中で電気を消してキャンドルで過ごそうという企画です。期間中の<寺yoga>を<キャンドルヨガ>として実施。キャンドルの小さな炎をみつめながらのヨガは、心が静まり集中できるし、ちょっとロマンティックな光景。毎回人気ですぐに満席になってしまいます。次の<キャンドルヨガ>は12月18日と12月25日。すでに18日はキャンセル待ちになっていますので、ご予約はお早めに。