2014.08.15 (Fri)
ウィンドウデザイナー&コーヒードリッパ―山内敦史さん 東向島の各種イベントでおいしいコーヒーをふるまい中@墨田区東向島<東東京に住むことVol.2 後編>
人と人のつながりが濃く、様々なテーマ型コミュニティがある東東京。8月の特集「東東京に住むこと」では、そういったコミュニティに様々な形で関わる4組にお話を伺います。特集を通じ東東京で送ることのできる“生活のイメージ”や“根付いて生活するためのヒント”、“日々生まれている活動の様子”をお伝えできたらと思っています。
Vol.2ではウィンドウデザイナー&コーヒードリッパ―の山内さんをインタビュー。普段はウィンドウデザイナーとして働きながら、休日は自宅をアートの展示場所として開放するほか、様々なイベントでこだわりのコーヒーを淹れています。後編では“なぜご自宅で展示活動を行なっているのか、またどうしてコーヒーをふるまっているのか”をお聞きしました。
前編では、向島界隈のアートプロジェクトへ参加したり、自宅を開放した展示活動のほか、フライヤー制作などグラフィック・ディスプレイのお手伝いなどを行っていることをお聞きしました。後編では“なぜご自宅で展示活動を行なっているのか、またどうしてコーヒーをふるまっているのか”をお聞きしていきます。
向島~曳舟エリアだからこそ自宅での展示も珍しくない
ーー期間を限定していても、自宅を開放して展示を行うという発想は、普通であればなかなか思いつかないのではと思います。
確かに、ここに移り住まなければそんなことも思わなかったかもしれませんね。例えば「墨東まち見世」に参加していたアーティストはだいたい知ってますし、自転車で行ける距離に、友達が住んでいたり、知り合いがやっているお店が点在しているわけですから、全然違いますよ。それこそ僕が展示をしていたら、知り合いが見に来てくれますしね。「こすみ図書」をはじめ、展示やギャラリーなどで自宅やアトリエを開放している友達もたくさんいるから、違和感はありませんね。別の場所に住んでいたら、誰も来てくれないかもしれないですし。それが向島界隈の特徴なんだと思いますよ。
ーー確かに向島や曳舟エリアには、空き住宅や工場、空き店舗などをギャラリーやアトリエに再生していたり、アーティストが移り住んできています。ここだからこそ、自然に、生活の延長として、こうした活動ができるのかもしれませんね。ところでイベントごとにコーヒーを淹れにいっているのはなぜなんですか?
単純にコーヒーが好きなんですよ。実は大学時代からコーヒーは淹れていて、どうやったらもっと美味しく淹れられるんだろう、道具は何を使えばいいんだろうと思って、コーヒーの淹れ方教室に行ったりして。そこからですね、本格的にコーヒーが好きになったのは。
ーー山内さんが最初にこの街でコーヒーを淹れに行ったのはいつのことなんですか?
こすみ図書がオープンした翌年の2011年2月12日に開催された、EAT & ART TAROさんによる「CHOCOLATE SHOW」という、バレンタイン時期にあわせたチョコレートの試食会でコーヒーを淹れるお手伝いをしたのが初めてですね。そのあとはこすみ図書を中心に、各アートイベントが開催されると“コーヒー係”などとして参加しています。
ーー山内さんがそこまでコーヒーにこだわるのはどうしてなんでしょうか。
あの、今はコーヒーの“サードウェイブ(第3波)だと言われているのは聞いたことがありますか?
ーーすみません、よく知らなくて…。教えていただけますか?
1つ目の波、ファーストウェイブでコーヒーの大量生産・大量消費が始まり、インスタントコーヒーなどで家庭や職場にコーヒーが完全に浸透しましたけれども、正直味や品質は二の次だったんです。
2つ目の波はもう少し美味しさにこだわったコーヒーが出てきたこと、スターバックスが世界中に進出し、エスプレッソベースのラテなどが広まったのもセカンドウェイブと位置づけられています。
そして3つ目の波、サードウェイブではより産地ごとのコーヒー豆の個性を出すために深く煎らず、ブレンドせず、苦さではなく香りや酸味をワインのように楽しむようになったと言われています。個性的な香りや酸味が品評会で評価されると、そのコーヒー豆の価格が上がるので、農園も高く売れるコーヒーを作ろうと努力する。その結果、今はいろんな種類の美味しいコーヒーがすごく手に入りやすい状況なんです。
そのひとつを自分で淹れて初めて飲んだときに苦くないのに美味しい、こんなコーヒーがあるんだ、って感動したんです。でもまだあまり知られていないので、まずは身近な人たちから知ってほしい、こんなものもあるよって紹介したくて。それでイベントなどでコーヒーを淹れるようになったんです。その季節に応じてある豆も違いますし、ホットとアイスで向いている豆も違いますね。
ーーこんなにこだわってコーヒーを淹れていたら、山内さん自身でコーヒースタンドなどを開店したいと思ったことはないんですか?
きっかけとかタイミングが合えばそういうこともあるかもしれませんが、今はお店を持ちたいとか、そういう感じではないですね。上映会だったり、ワークショップなどでコーヒーをふるまって、コーヒーの良さを知ってもらう…それだけでうれしいですからね。
ーー親しい人たちとおいしいコーヒーの味を共有したい、ということですね。わかります。山内さん、本日はありがとうございました!
展示やワークショップなどをあまり気負うことなく、生活の延長として行なえるのは、若いアーティストが多く住む向島・曳舟エリアならではなのでしょう。そして、こうした雰囲気で暮らしているからこそ、山内さんは好きな人たちと美味しいコーヒーの時間を共有したいんですね、きっと。
取材終わりに淹れていただいたコーヒー、少し酸味があって美味しかったです!
山内さんの自宅での展示や、コーヒーを淹れるイベントは不定期ですが、ホームページで情報をチェックして、ぜひご自身の目と舌とで体感してみてください。アート活動に興味がある人は、ヒガシ東京のイベントを一度のぞいてみてはいかがでしょうか。
8月特集【東東京に住むこと】記事アーカイブ
はじめに:8月特集「東東京に住むこと」をはじめるにあたって
Vol.1前編:靴・かばんデザイナー曽田耕さん 旧鉄工所を自らの手で改装したアトリエにて精力的に活動中!
Vol.1後編:靴・かばんデザイナー曽田耕さん 旧鉄工所を自らの手で改装したアトリエにて精力的に活動中!
Vol.2前編:ウィンドウデザイナー&コーヒードリッパ― 山内敦史さん 東向島の各種イベントでおいしいコーヒーをふるまい中@墨田区東向島
詳細情報
名称 | logique |
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住所 | 東京都墨田区東向島6-51-15 |
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その他 | 東武スカイツリーライン・東向島駅から徒歩5分 |