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2014.10.03 (Fri)

放浪書房「旅を続けるための“小商い”としての本屋さん」<ブック・イーストVol.3前編>

本にまつわる事柄で先進的な事例の多い東東京。9月の特集『ブック・イースト〜日本中を刺激する東東京の「本」文化〜』では、本屋さん、出版社、本イベントの仕掛人、本を生活の一部にした人たちなど、4組にお話を伺います。特集を通じ、東東京にある本にまつわる活動が多くあることを知っていただけたらと思います。

Vol.3では旅をしながら本を販売するという「放浪書房」の富永浩通(とみながひろゆき)さんにお話を伺ってきました。とても印象的だったのは、書房という名前であるにも関わらず、本を売ることを価値観の中心に置いていないことでした。また、お金をたくさん稼ぐのではなくて、やりたいことをやり生活を楽しむ、そんな姿勢を富永さんはとても大切にされています。

この特集を読んでいただくと、2011年の震災のときに多くの人が感じた「生活を大切にしたい」「好きなことに時間を使いたい」そんな気持ちをもう一度思い直す機会になるかもしれません。前半の今回は、放浪書房はどんな活動で、何を大切にされているのかを伺っています。
それでは、ブック・イーストVol.3のはじまり、はじまり〜♪

旅をしながら本を販売するという「放浪書房」さん。旅をしながらということですから、通常は拠点を持たない方。そんな放浪書房の富永さんにお会いした場所は墨田区の一軒家カフェ「ikkA」でした。
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(放浪書房出店時の様子)

富永さんいわく、「住んでいるのは千葉ですが、墨田区はなんといっても居心地が良い。自分のような一風変わった人たちをやさしく受け入れてくれる場所です。ikkAさんではイベントを一緒に開催するなど親しくさせてもらっています」

「また、ikkAでは“放浪チャイ”という、私が旅でつくる黒コショウと練乳をいれるチャイのメニューがあります」とのことで、放浪チャイを注文をさせていただき、今回の取材はスタートしました。
chai(放浪チャイはちょっぴりスパイシーで美味しい。ぜひikkAさんに飲みにいってみてくださいね)

こんな風に富永さんとカフェikkAはとても親しい関係。ikkAは、富永さんにとって放浪書房の東京の拠点とも言える場所のようです。

放浪書房は、エンドレスに旅を続けるために始まった小商い。

ーー旅をしながら、旅に関する本を売ると聞いていますが、より詳細を教えていただけますか?

はい。2006年から放浪書房を始めているので今年で8年目となりました。昔は高速バスや青春18きっぷなどを使い移動していましたが、最近は軽のワゴンに屋台や本を積んで、旅先に向かっています。旅の間は自炊できるように車のなかに生活できる道具一式を入れ、車中泊できるように車の中にうまくスペースをつくる工夫をしています。
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(生活道具と商売道具が全て車に積まれています)

放浪書房はまさに旅をしながら本を売る活動ですが、実は私はもともと本が特別好きだったとか、本の仕事をしていたから始めたというわけではないんです。

ーーというと?

昔から旅が好きで、エンドレスに旅を続けるために旅先で稼げたら良いと思っていたんです。そんな折に、知人から「本を売りながら旅をしたらどう?」と言われて。
「それだ!」と真に受けたことから始まっているんです(笑)

ーーええ!?じゃあ、あくまで本屋さんが主体じゃなくて、“旅をするために本屋をやっている”ということなんですね。

そうなんです。

放浪書房の売る場所選びは通常の行商では考えられないスタイル

ーーでは、放浪書房が本を売る場所というのは、どういう風に選んでいるのですか?

旅したいところを選んで現地に行き、現地に着いてから売る場所を探しています。経験を積んできたからか、最近は売れる場所がよくわかるようになりました。
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ーー完全に旅が主体ですね(笑)本屋が主体の人は本が売れる場所を探したり、本を届けたい人が集まる場所を選びがちですが、富永さんの場合は旅をしたい場所選びが先にあって、本を売る場所はその次というわけですね。

旅先で本を仕入れて、現地で売るという実験を実施

去年、ある実験をしました。本屋をやりながら、本当にエンドレスに旅ができるかというもので、旅先の現地で本を仕入れて、現地で売るという旅です。それまでは仕入れてから数週間旅し、また帰って来て仕入れるというスタイルだったので初の試みでした。

ーーその結果はどうでした?

それが、、、エンドレスに旅ができることを証明しちゃったんです!2ヶ月間、旅先での本の売り上げで費用を全てまかなえました。
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ーーすごいですね。当初の目標だったエンドレスに旅に行くことが達成できますね!これからエンドレスに旅に行く予定はあるのですか?

・・・それが、そういうわけにも行かないんです。最近は小商い(こあきない)をする人たちの応援をする活動もはじまり、忙しくしているんです。

ーー富永さんが旅を控えるというのは相当ですね。ところで、その「小商い」ってなんですか?

後半は富永さんがハマっているという「小商い」にフォーカス!

エンドレスに旅を続けるために放浪書房を始めたという富永さん。実験の結果、それが実現できることがわかったにも関わらず、忙しくなり旅に出れなくなっているとのこと。
後半は富永さんがハマっているという「小商い」にフォーカスしていきます!お楽しみに!!

9月特集【ブックイースト】記事アーカイブ

Vol.0:9月特集を始める前に。本のことなら、東東京をみよう
Vol.1前編:タナカホンヤ「本を通じて人と繋がる」@根津
Vol.1後編:タナカホンヤ「本を通じて人と繋がる」@根津
Vol.2前編:アノニマ・スタジオ「本の世界を体感できる」@蔵前
Vol.2後編:アノニマ・スタジオ「本の世界を体感できる」@蔵前

詳細情報

名称ikkA
住所東京都墨田区向島3-6-5
URL

http://ameblo.jp/cafe-ikka/

その他
【放浪書房】

店主
富永浩通(通称 とみー)

店長
永遠の旅人「スナフキン」

店舗形態
人力移動型の露天古書籍商

営業時間
基本、日没まで。但し、天候等で早仕舞いあり。

営業場所
街角、公園、シャッターの下りた商店の前等。旅のトークイベントやフリーマーケット、古書イベント等への出張販売も行っています。

取り扱い商品
・「旅」をテーマにした小説、自伝、紀行文、エッセイ、雑誌、マンガ、絵本。単行本、文庫、雑誌、マンガ、絵本等 ・[オリジナルグッズ]「旅する栞」「旅する絵ハガキ」・「旅豆」(旅する豆絵本)

URL
http://horoshobo.com/

この記事を書いた人/提供メディア

Hiroyuki Imamura

東東京マガジン編集長。毎日を旅のような日々を送りたいと思っていたが、たくさんの人と出会い、たくさんの場所へ行く日々はいつの間にか旅のような日常になりつつある。東東京のトピックスで特に関心が強いのは、主宰者の人となりや独自の工夫が反映されたプロジェクト。まちづくり会社ドラマチックの代表社員。

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