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2015.02.06 (Fri)

文字に思いを込める 活版印刷工房 FIRST UNIVERSAL PRESS@台東区<恋におちる vol.1前編>

2月といえば、バレンタイン。それにちなんで2月の東東京マガジンの特集は「恋に落ちる。」をテーマとします。

恋といっても、今回の恋は男女の甘酸っぱい恋ではなくて、ユニークな視点で色々な物や事にのめり込んでいる偏愛(=恋している)を持つ方々を取り上げたいと思っています。

何かをとてつもなく好き・のめり込むということは、情報が氾濫しトレンドがどんどん移り変わる現代において、心のよりどころにもなりえ、自分のアイデンティティを感じる必要な能力のように感じます。

今回の特集では取材させていただく方々の恋がどんな恋なのか、どんなキッカケでその恋がはじまったのか、恋するためのヒントなどを様々な4組に伺っていき、読者に自分らしい生き方のヒントをご提供できればと思っています。

Vol.1 は、活版印刷「FIRST UNIVERSAL PRESS」の渓山仗介さんにお話しをお伺いします。

時間も、道具も多く必要な活版印刷。名詞、詩集・歌集などの本、広告などの印刷を今も活版印刷で制作されています。ワークショップも積極的に実施する渓山さん。活版の世界、覗いてみましょう。

活版印刷の魅力って、、、分からないんです。

工房のドアを開けると道具、道具、道具。印刷するための鉛活字とよばれる小さい文字がところ狭しと並んでいます。鉛活字の壁。初めて見る機械、空間にドキドキの私。

鉛活字

――今日はよろしくお願いします。初めて見る道具や機械ばかりです。

渓山さん:そうでしょう。活版印刷はとにかく道具が多く必要なんです。これでも少ない方かな。今も譲っていただいた組版をばらしているところです。閉店してしまう会社などから譲ってもらっていてまた使えるものは、使わせていただいています。

組板に組まれた文字

組版とは、活版印刷をするため文字が文章となってはめこまれている板のこと。この板にインクをつけて印刷していきます。文章になっている組板から鉛活字という一つ一つの文字パーツをはずして再度使えるか確認する作業を見せてくれました。

――どんな方が工房にいらしゃるんですか?

渓山さん:意外と通りすがりの人多いんですよ。「あっ!活版印刷だ。あの~すみませ~ん。お願いできますか。」って急に入ってくる方結構いらっしゃるんです。東東京ならではなのかな。ものづくりをしている人は、アンテナを貼っているのかも。

――出逢ってしまったら工房に入らずにはいられない、まさに一目惚れですね。今回取材のテーマは「恋に落ちる」なのですが、ずばり渓山さんが活版印刷のどんなところに恋に落ちた!と思いますか?

渓山さん:私がその質問をみなさんにしたいです。活版印刷の魅力ってなんですか?

――えっ????どこってなるとちょっと表しにくいんですけど、活版印刷で印刷された文字って何かいいです。かっこいいんですよね。う~ん、この何かがうまく言えないです。

渓山さん:活版印刷って時間も手間もかかるので、通常のオフセット印刷よりも費用がかかってしまうんですよね。それでも、注文してくれるお客さんがいる。活版印刷がいいんですよ~、やりたいんですよ!と言ってくれる。それはなぜかな?って。だから工房に来てくれた方やワークショップに来てくれた方に聞いているんです。活版印刷の魅力はどこでしょうか?って。

渓山さん:実は、ずっと私もその質問に答えられていないですよ。こんなに毎日、毎日、言葉に触れているのに、この思いを言葉にできない。だからみなさんに聞き返しちゃう。ずるいでしょう。

渓山さん作業中
 
活版印刷の魅力は渓山さんにも分からない。恋は落ちるものだ!という言葉の通り、なぜか引き込まれてしまう、心に残る、気になる存在であるのが活版印刷なのかもしれません。

渓山さんとお話しをしていると、20分ほどしかたっていないのに前からこの工房を知っていてずっとここにいたような感覚になります。離れていた実家に戻ってきたような懐かしさ。活版印刷に魅力を感じるのは、印刷された文字に温かい工房と職人さんの空気そのものを自然と感じることができるからかもしれないと思いました。

――渓山さんが、はじめて活版印刷にふれたのはいつだったのですか?

渓山さん:私の伯父が、鉛活字を作る会社を営んでいたんです。印刷に使う文字の一つ一つを母型というのですが、母型作る仕事でした。それで、小さいころからなんとなく触れてたのかな。一番最初に叔父を手伝ったのは中学校の時です。

印刷に使われる文字の1つ1つは職人さんによって彫られていきます。文字のフォントや大きさ、日本語の場合は日本語・カタカナ・漢字・ローマ字とそれぞれ一文字づつ作らなくてはならない。活版印刷は、道具そのものにも職人さんの技や想いがこめられているのだと思いました。

渓山さん:伯父が会社をたたむという話になって、それじゃといって私も活版印刷を始めたんです。

     印刷の瞬間

渓山さん:鈴木さん、やってみますか?言葉で説明するより、実際にやっていただいた方が分かることがあると思いますよ。

ぜひ!ということで渓山さんのお話を伺いながら、活版印刷を体験させていただきました。
私も奥深い活版の世界を体験、ということで後編へ続きます。

2月特集:恋におちる

<Vol.1前編>文字に思いを込める 活版印刷工房 FIRST UNIVERSAL PRESS@台東区

詳細情報

名称FIRST UNIVERSAL PLASS
住所東京都台東区寿2-7-8 1F
URL

www.fupress.jp

その他

この記事を書いた人/提供メディア

Hiromi Suzuki

サラリーマン時々ライター。食べること・料理を作ること・山が大好き。日々、シンプルな暮らしを求めて探求中。素敵な人、素晴らしいモノがたくさんあると出逢いを求めて東東京マガジンへ参画。取材させていただいた人モノの魅力をまっすぐ言葉に込めてお届けしたいと思います。

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