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2015.06.26 (Fri)

地域の暮らしをもっとおもしろく。つむぎや 友廣裕一さん <東東京発!社会を変える人たちVol.2後編>

東東京というと”下町“、“赤ちょうちん”、“お祭り”などイメージは強いし、確かに魅力があります。ですが、クールなデザインや社会を変える新しいムーブメントが生み出されていることをお伝えすることも“いま”の東東京を知っていただくには欠かせない要素となっています。

今回はその後者の「社会を変えうるパワーを持ち、活発な活動をしている方々」を紹介していきたいと思います。題して「東東京発!社会を変える人たち」シリーズ。

vol.2はつむぎやの友廣さん。3・11の東北大震災後に立ち上げた手仕事アクセサリーブランド「OCICA」をはじめ、地域を元気にするための現地ツアーや、食品の新商品企画まで手掛ける友廣さん。後編は、東東京にある東向島珈琲店の井奈波マスターも加わり「OCICA」の新商品の開発秘話、友廣さんの仕事への思いを聞いてきました。

(上記写真:Lyie Nitta)

東東京のカフェで。人のつながりの中で生まれるもの

後編からは、東向島珈琲店の井奈波マスターも参加していただき地域と関わって仕事をすることを詳しく教えていただきました。OCICA新商品もこのカフェのカウンターで生まれたとか!

友廣さんの「マスターもぜひ入ってくださいよ。(笑)」の一言に井奈波マスター登場です。

――いつからこのカフェには通っているんですか?

友廣さん 震災前からこのカフェはずっと通っています。実は、震災の2日前までマスターを含めた仲間たちと大分県に行っていたんです。地域の魅力を伝えるツアーをつくりたいということで地元の方々のお手伝いしていたのですが、マスターも一緒に行きたいと言ってくれたので、デザイナーなどの仲間たちと一緒に行くことになりました。

20150305_201149写真左:東向島珈琲店 井奈波マスター 右:友廣さん

――マスターも一緒に現地に行かれるとは、仲が良いんですね。

友廣さん 東北にも一緒に行きました。宮城県石巻市の雄勝という地区の役場が被災してプレハブの建物でみなさんが懸命に仕事をしているんだと伝えたところ、マスターが「現地にコーヒーを入れに行きたい」と言ってくれて。その声に反応した仲間たちと一緒にチームを結成して、手挽きのコーヒーミルや豆、さらにはお店のイスと机まで車に詰め込んで青空カフェを実施してもらいました。普段インスタントコーヒーしか飲めていなかった方々は、久しぶりに心が安らいだと喜んでくれました。2011年5月はじめのことです。

マスター 歳は全然違うんだけど友廣くんを尊敬しているんです。彼の行く場所や活動にとても興味があって。震災の時も「行ってきます。」というメールをもらっていたのだけど、一度東北から戻ってきた友廣くんがここで報告会をしてくれました。そして、みんなで何ができるかブレストしたんです。自分たちがどうやったら関われるかと考えた結果、青空カフェを思いついたんです。この辺にはフットワークが軽い人が多く集まっているのですぐに行動に移せましたね。

友廣さん 当時、現地で僕らが青空カフェをした場所に本当のカフェができているんです。まったくの偶然なのですが。でも、偶然じゃないのかな。みんなの思いが残っているのかもしれません。

――友廣さんの見たこと・感じたことがこの場所でいろんな人に共有されて新しいものが生まれていったんですね。

友廣さん マスター自身も現地に行ってくれて見て・感じてくれているから漁網ミサンガをつくったときも、OCICAをスタートした時も、モノの背景にある物語を同じ思いを持って話をしてくれる。だからここからいろんなことがはじまったという感じがありますね。当時一緒に旅をした人たちとも、いまも一緒に仕事をしていたり、新たな関係に発展していたりもします。

マスター カフェのオーナーは基本的にここにいるので友廣君がいろんなところでいろんな話を持ってきてくれるのが楽しいです。0から1にする過程をずっとワクワクしながら見ていられるし、時には一緒に参加できる喜びが大きいんですよね。

メイン天然鹿革のペンケース(写真:Lyie Nitta)

友廣さん 実は、OCICAの次の展開として石巻市・牡鹿半島の鹿の皮を加工したペンケースも発売が始まったのですが、開発時に野生の鹿皮をなめしてくれる人いないかな〜ってこのカフェで話してたんですね。そしたら、偶然にも革加工の会社の方が来店されて、すぐさまマスターが紹介してくれました。どうやって探そうかなと思っていたのに、まさかここのカフェのカウンターで出逢えるとは。

――新しい展開がまたここから始まったわけですね。友廣さんの「鹿の皮で商品を作ろう」と思う発想がすごく自由だなと思います。

友廣さん 確かに、そうですね。やりたいことが形になっていくのはやりがいがあるし、楽しいです。東東京は職人さんも多いし、作りだすということにフットワークが軽い感じがします。これからマスターともやりたいことがまだまだあるので、2人で相談中です。

マスター できないではなくて、友廣くんはどうやったらできるかをずっと考えている。できるまで、ずっと挑戦できる部分も尊敬しています。これからも、一緒に楽しいことにチャレンジしたいですね。

友廣さん 地域は、それぞれ課題があります。それを小さく分解していって、自分が関われるサイズに落としこんでいく。どうやって小さな行動から、前向きに変えていくかを考えるのが楽しいんですよね。時にはマスターのような人たちに手伝ってもらって話を聞いてもらったり、人を紹介してもらったり。

今回の鹿の革加工も自分だけじゃできなかったので。今も旅でのつながりから発展した仕事とというのが多いんです。人とのつながりの中でお仕事でお仕事をさせてもらっていると思います。

113_large友廣さんが生み出したのは、商品だけでなくお母さんたちの笑顔や生きがい(写真:Lyie Nitta)

※ ※ ※

地域に関わりながら活動を続ける友廣さん、これからもいろんなことを計画中ということ。次はどんなものが友廣さんの手からつむぎだされていくのか楽しみです。

6月特集:東東京発!社会を変える人たち

この記事を書いた人/提供メディア

Hiromi Suzuki

サラリーマン時々ライター。食べること・料理を作ること・山が大好き。日々、シンプルな暮らしを求めて探求中。素敵な人、素晴らしいモノがたくさんあると出逢いを求めて東東京マガジンへ参画。取材させていただいた人モノの魅力をまっすぐ言葉に込めてお届けしたいと思います。

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