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2015.06.23 (Tue)

地域の暮らしをもっとおもしろく。つむぎや 友廣裕一さん <東東京発!社会を変える人たち Vol.2前編>

東東京というと”下町“、“赤ちょうちん”、“お祭り”などイメージは強いし、確かに魅力があります。ですが、クールなデザインや社会を変える新しいムーブメントが生み出されていることをお伝えすることも“いま”の東東京を知っていただくには欠かせない要素となっています。

今回はその後者の「社会を変えうるパワーを持ち、活発な活動をしている方々」を紹介していきたいと思います。題して「東東京発!社会を変える人たち」シリーズ。

vol.2は、つむぎやの友廣さん。3・11の東日本大震災後に立ち上げた手仕事アクセサリーブランド「OCICA」をはじめ、地域における学びの場づくりや、農産加工品等の新商品開発まで手掛ける友廣さん。今の活動に至るまでを、東東京にあるカフェ東向島珈琲店で教えていただきました。

(上記写真:Lyie Nitta)

地域には伸びしろがあると気づいたから

――今日は東東京と友廣さんの関係をひもといていきたいと思います。

友廣さん OCICAの活動についてはたくさん取材をしていただき詳しくお話してきましたが、自分自身のことはあまり話をしてこなかったのでたのしみです。このカフェ(東向島珈琲店)はOCICAのアクセサリーを置いていただいた第1号店なんです!

P.OCICA-28「OCICA」宮城県石巻牡鹿半島で漁師さんのサポートをしていた女性達の手仕事による商品ブランド。牡鹿半島の素材、鹿の角と漁網でできています(写真:Lyie Nitta)

――OCICAのアクセサリー販売は東東京がスタート地点だったんですね。OCICAブランドのはじまりについて教えてください。

友廣さん 東日本大震災が起きた後に、宮城県内の避難所の状況把握をするプロジェクトの現地マネージャーとして呼んでいただいたのが現地に行くきっかけでした。プロジェクトでいろんな場所を回ることになって宮城県石巻市の南に位置する牡鹿半島にたどり着きました。そこで、漁業を生業にするお母さんたちが「何かやりたい」と思っていることを聞いて、自分たちに何ができるかなと考えて、一緒に立ちあげていったのがOCICAです。

20150305_193717東向島珈琲店に置かれているアクセサリー。袋には、米袋を使用するなどすべて手作り

――現地マネージャーとして、東北に行かれたきっかけは?

友廣さん 大学を卒業後、地域に関わる仕事がしたいと思っていて、どんな人が、どんな形で、どんな働き方をしているのか知りたくて北海道から沖縄までの農山漁村を訪ねる旅をしました。

その旅の中で東北沿岸部にもお世話になった方が何名かいました。すぐに現地に駆けつけたいけど、自分の役割がなければただ迷惑をかけるだけにもなりかねない。そんなことを考えていたところ、知り合いから現地に行かないかと声をかけてもらいました。

――地域に関わる仕事がしたいと思ったのは、なぜですか?

友廣さん 大学の在学中に新潟の集落に行く機会があったのですが、そこには僕が知らなかった暮らしがあったんです。同じ日本にいながら自分とは違う・知らない暮らしがあるんだと単純に興味がわきました。それに、地域には自分に関われる余白があったんです。

村の中に20代の人間が僕しかいないという状況が起こる。すると20代というだけでとても希少な存在になり、それが役割を生むんだと思ったんですよね。存在価値がある。地域と関わることで、自分の役割を見出して、それを生業にしていきたいと思ったんですよね。

122_largeOCICAも現地のお母さん達と共に生み出したプロジェクト(写真:Lyie Nitta)

――なるほど。地域に可能性を感じたんですね。旅から終わってどうされたんですか?

友廣さん 旅が終わって墨田区に引っ越して来ました。大学時代の恩師が、早稲田大学と墨田区の産学官連携の事業に関わっていたんです。

その恩師から、墨田区役所のある職員の方をご紹介いただきました。その方は当時、ご自身の介護体験を語る「命の授業」を区内外の学校等で実施されていて、それを聞きに行ったんです。命にまっすぐ向き合う姿に惹かれてよく会うようになった頃に、その方が食育の担当に異動になり、年に一度の大きな企画を手伝うことになりました。その後、墨田区には生産者がいないということを知り、全国で出会った生産者とつなぐことができないかと考えて「すみだ青空市ヤッチャバ」という名称で下町版のファーマーズマーケットを立ちあげました。その前後で墨田区に引っ越しました。

――それで、墨田区という地域に関わりながらの暮らしが始まったわけですね。

友廣さん 気がつけばすみだの食育に関わり始めて5年以上が経ちました。そしてこの間にすみだの食育は日本一だというお墨付きをもるあことになり、今年は食育推進全国大会が墨田区で開かれることになったんです。こちらでもいろいろとお手伝いをしています。

行政計画の策定を住民参加型のワークショップで行ったりとしてきたのですが、区内に住んでいる多様な立場の方々がみんな当事者として、“自分たちにとっての食育”“食育を通じてやっていたいこと”などを語りながら、計画に盛り込んでいくわけです。学校の先生、お医者さん、地域のお母さんや大学生なども入って総勢70名以上で進めていました。

※ ※ ※

東東京にゆかりが深い友廣さん。食育の取り組みなどは区役所の方の姿勢に共感して一緒に始めることになったそう。実は数々のプロジェクトの陰には友廣さんを応援する人たちの存在があるそうです。後編では友廣さんを応援する一人東向島珈琲店のマスターも登場し、OCICA新商品誕生の秘密も教えてもらいました

6月特集:東東京発!社会を変える人たち

この記事を書いた人/提供メディア

Hiromi Suzuki

サラリーマン時々ライター。食べること・料理を作ること・山が大好き。日々、シンプルな暮らしを求めて探求中。素敵な人、素晴らしいモノがたくさんあると出逢いを求めて東東京マガジンへ参画。取材させていただいた人モノの魅力をまっすぐ言葉に込めてお届けしたいと思います。

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