ホーム > インタビュー > 未来に希望を抱く子どもが増えるように。夢を追う男・阿部雅龍@台東区浅草<あなたの抱負を聞かせてください!Vol.2前編>

2015.01.19 (Mon)

未来に希望を抱く子どもが増えるように。夢を追う男・阿部雅龍@台東区浅草<あなたの抱負を聞かせてください!Vol.2前編>

新年最初の特集は「あなたの抱負を聞かせてください!」。vol.2でご登場いただくのは、浅草「壱」の人力車夫・阿部雅龍さん。阿部さんは人力車夫が本職ではなく、「夢を追う男」として活動しています。今は、子どもの頃に本で知った冒険家や探検家たちのように、南米や北極を単独で冒険し、それを日本にいる子どもたちに伝えています。阿部さんはご自身の背中で“どんな夢でも踏み出していい”というメッセージを届ける人です。

昨年クラウドファンディング「READY FOR?」でも、大学生との共同プロジェクトを見事に達成しました。そんな阿部さんの新年の抱負とは?

冒険と教育をリンクしたい

(実は、冒険をする人に会うのは今回がはじめて。著書『次の夢への一歩』は拝読したけど、まだまだわからないところが多すぎる。緊張するなぁ…)

――それでは、さっそく新年の抱負を教えてください!

次に向かう、カナダ北極圏1,000kmを達成することですね。冒険をして、伝える。共有する。このカナダ北極圏の冒険は国立秋田大学の学生と一緒に取り組んでいます。

――大学生も、一緒に冒険するということですか??

いえいえ。インターネットを使って、現地と大学生をつなぐんです。学生たちから、北極で見たい物や経験したい事を聞き、ぼくからも提案して、組織を作っています。今は2週間に1度くらいのペースで打ち合わせをしています。

出発地点にはWi-Fiが飛んでいるので、冒険前はSKYPEでテレビ電話をすることもできるんですよ。

(北極と日本は通信できるだ。知らなかったぁ…)

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前回のカナダ北極圏単独歩行500km

例えば、出発前にあちらの教育者を呼んで勉強会を開く。あとは、イヌイット、エスキモーですね、その方を呼んで直接交流してもらう。そうした試みを通して、まったく知らない世界や価値観を知ってもらいたいんです。

冒険中はSKYPEできないので、衛星携帯電話を使います。ぼくのいる位置情報や声を共有するためです。その情報をSNSに投稿してもらい、学生と一緒に、みんなに冒険を共有する計画です。そして、帰国したらまた報告会を行います。冒険をもう少し教育に結びつけていきたいなと。

誰かのために頑張る人こそカッコイイ

――阿部さんは教育に関心があるんですね! どうしてでしょうか?

ぼくは時間を無理矢理に作ってでも、学校に講演をしに行くほどなんです。子どもたちのためになることなら、取り組んでいきたい。「こんな大人がいるんだから、自分の夢もありかな」って思ってほしい。それは、冒険じゃなくてもいいんです。近隣で言えば、台東区田原小学校にも伺ったことがあります。

やっぱり、自分も恩師や、小さい頃に知った冒険家たちの影響で夢を追いはじめたので、今度は夢に踏み出す気持ちを渡す側になりたいんです。

(冒険家のイメージって、ストイックっていうか、自己実現を突き詰めている人たちだと思っていたけど、意外だぁ…)

――まだ32歳とお若いのに、もう後輩に渡す側として活動をしているのですね!

はじめからなんですよ。ぼくが冒険をスタートしたのを最初に訪れた南米縦断だとすれば、その時から、現地からブログで配信していましたから。今に始まった事じゃなく、もう10年ぐらいになります。ぼく自身が一人で体験することをもったいないと思っているんですね。

あと、ぼく自身が誰かのために頑張る人のことをカッコイイと思っているし、自分もそうでありたいから。

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冒険のはじまり。南米大陸単独自転車行

――阿部さんの話を聞くと子どもたちは変わりますか?

そうですね…。中学生はTwitterで感想を伝えてくれることがあります。「今日の講演、最高でした!」とか。あと、人力車を引いていたら、以前、講演に訪れた高校の生徒が乗ってくれたこともありました。「わたし、教師になることを決めました」と言ってくれて、少しずつではありますが、伝えられているかなと思っています。

冒険家は忙しい。冒険家は起業家に似ている…!

――「夢を追う男」の仕事について教えてください。どうすれば冒険に出られますか?

一般的には知られていないから、冒険家と言っても何をしているかわかりませんよね。ぼくの場合は、今回の北極冒険の準備を前回の冒険が終わってからすぐにスタートしています。

前回、冒険を終えた後、その国に1週間ほど滞在していたんですが、その間にまず企画書を作りました。そして、帰国したらすぐスポンサー企業を訪問して回ります。お金だけでなく、専用の道具を用意する必要もあるから、準備することはたくさんあるんです。よく起業家の方が口にするような言葉ですが、準備が95%と言ってもいいくらいですよ。

例えば今、書類を入れているクリアファイルがありますけど、これをそのまま北極に持って行ってしまうと凍って使い物になりません。また、北極圏を目指す人自体が少ないこともあって、北極圏で耐えるウエアも既製品はありません。そういった道具の準備に合わせて、学生たちとの打ち合わせも行い、北極圏に向かうためのトレーニングも行います。

――ゼロから冒険を企画していく姿は起業家とそっくりですね。

可笑しい話なんですが、一般の方と話すよりも起業家の方と話すほうが会話が合うんです。いろんな人に支えられながら冒険できているので、その人たちのために頑張りたいという気持ちを強く持っています。

(自分の命が危険にさらされるのに、それでも誰かのことを思って活動できるなんて、すごい人だなぁ…)

後編では、阿部さんが「夢を追う男」になった経緯(いきさつ)をお伺いします。お愉しみに!

後編は1/23公開

この記事を書いた人/提供メディア

新井 優佑

インタビュアー/ノンフィクションライター。WEBマガジンやオウンドメディアの運用、寄稿をしています。出版社でスポーツ雑誌編集とモバイルサイト運用を担当したのち、独立しました。2014年は、手仕事からデジタルファブリケーションまで、ものづくりの記事を多く作成しました。1983年東京生まれ。

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