スノードームに魅せられて。お好み焼き＆もんじゃ「いこい」店主・伊達ヒデユキさん＠台東区＜恋におちる　vol.4前編＞

2月といえば、バレンタイン。それにちなんで2月の東東京マガジンの特集は「恋に落ちる。」をテーマとします。

恋といっても、今回の恋は男女の甘酸っぱい恋ではなくて、ユニークな視点で色々な物や事にのめり込んでいる偏愛（＝恋している）を持つ方々を取り上げたいと思っています。

何かをとてつもなく好き・のめり込むということは、情報が氾濫しトレンドがどんどん移り変わる現代において、心のよりどころにもなりえ、自分のアイデンティティを感じる必要な能力のように感じます。

今回の特集では取材させていただく方々の恋がどんな恋なのか、どんなキッカケでその恋がはじまったのか、恋するためのヒントなどを様々な4組に伺っていき、読者に自分らしい生き方のヒントをご提供できればと思っています。

vol.4は、お好み焼き＆もんじゃ店「いこい」の店主・伊達ヒデユキさん。語っていただくのは、もちろんお好み焼き＆もんじゃ！　と思いきや、実は伊達さんが恋をしているのは、透明のガラス玉の中に町並みや人などを閉じ込めた、夢がたくさん詰まった小宇宙なのでした。

好きなものに囲まれる、そんなお店を作りたかったんです

鶯谷駅のほど近く、路地裏に佇む「いこい」。お店に一歩入ると、昭和のおもちゃや映画ポスターがズラリと並び、壁一面の大きな富士山のペンキ絵がお出迎え。驚く私に、「寒かったでしょう。よくお越しくださいました」と笑顔を向けてくれたのは、店主の伊達さんでした。

――懐かしいアイテムがいっぱいディスプレイされていますが、まずはお店のオープンのきっかけを教えてください。

お店は、2013年1月にオープンしたんですけど、ずっと自分の趣味を活かしたお店作りをしたいと思っていて。僕は、元々、工業関係の固い仕事をやっていたんですけど、会社勤めはおもしろくなかったし、いずれはこういった飲食ができたらいいなって考えていたんです。

――お好み焼き＆もんじゃというのは、何か意味があるのでしょうか？

僕が好きなのは、昭和レトロなおもちゃや映画ポスター、銭湯など庶民文化に関係するものなんです。そこで、庶民文化に一番近い食材は何だろうって考えたら、お好み焼きともんじゃだったんです。まぁ、手っ取り早かったっていうのもありますけどね（笑）。

――確かに、お好み焼きともんじゃは、昔から庶民に親しまれたものですよね。お店にあるおもちゃは、全て趣味で収集されたものなのでしょうか？

昭和レトロなおもちゃなどを集め出したのは、20代に入ってからなんですけど、子供のころから切手を集めていたりと、ものを収集するのが好きみたいで。どこが好きって言われると難しいんだけど、単なるノスタルジーなのかな。僕が小さい頃、親が買ってくれないおもちゃを祖父母が買ってくれたりしていたんですけど、少し遊ばなくなると親に勝手に捨てられちゃうんですよ。コレクターの一番の敵は、親と女房っていうくらいですからね（笑）。その頃のおもちゃを見ると、懐かしい思い出がよみがえる。だから、当時の思い出の詰まったおもちゃを、買い戻すように集め出したのが始まりです。

銭湯のペンキ絵はお店にも自宅にも描かれています。

――幼いころに好きだったものに囲まれるのは、幸せなことですよね。昭和レトロなおもちゃもそうですけど、壁のペンキ絵もすごく懐かしい気持ちになりますね。

お風呂通いが趣味なんです。今朝も上野にある朝6時から営業している燕湯に行ってきましたし（笑）。このペンキ絵は、銭湯が好きだからという僕の趣味で、今、日本に2人しかいない銭湯のペンキ絵師の1人の中島盛夫さんに描いてもらったんです。これとは別に、自宅用にも描いてもらっているくらい好きなんです。

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古き良き時代を懐かしむ。幼いころを思い出して、当時、ワクワク、ドキドキした気持ちを再確認する。そんな気持ちに浸れ、あたたかくて心地いいこちらのお店。昭和レトロと銭湯に恋していると、完結したいところですが、実は伊達さんが恋しているのは、スノードームなのです。前篇ではまったく触れていませんが、スノードームへの恋模様は後編に続きます（す、すみません！）。