2015.02.13 (Fri)
スカイツリーに恋してる!写真家 石川明宏さん<恋におちる vol.2 前編>
2月といえば、バレンタイン。それにちなんで2月の東東京マガジンの特集は「恋に落ちる。」をテーマとします。
恋といっても、今回の恋は男女の甘酸っぱい恋ではなくて、ユニークな視点で色々な物や事にのめり込んでいる偏愛(=恋している)を持つ方々を取り上げたいと思っています。
何かをとてつもなく好き・のめり込むということは、情報が氾濫しトレンドがどんどん移り変わる現代において、心のよりどころにもなりえ、自分のアイデンティティを感じる必要な能力のように感じます。
今回の特集では取材させていただく方々の恋がどんな恋なのか、どんなキッカケでその恋がはじまったのか、恋するためのヒントなどを様々な4組に伺っていき、読者に自分らしい生き方のヒントをご提供できればと思っています。
Vol.2は「スカイツリー」に恋してる、と題して、写真家の石川明宏さんをご紹介。上の24枚の写真は、すべて石川さんが撮影したスカイツリーのある風景です。開業前から現在に至るまで約3年にわたり、春夏秋冬、四季折々のスカイツリーを継続して撮影。その活動が目に止まり、墨田区で写真展を開催するに至った「スカイツリーの人」石川さん。その素顔に迫ってきました。
【写真:写真展が開催された墨田区観光協会にて、作品と石川さん。】
きっかけは東日本大震災。東京の「今」を、残したいと思った
もともとは、CDジャケットなどのデザインを手がけるグラフィックデザイナーで、素材用に写真を撮影していたという石川さん。震災をきっかけにスカイツリーを撮影するようになったのだそう。
「撮り始めたきっかけの一つには、あの揺れの後でもスカイツリーが影響なく予定通り開業したということが、当時とても明るいニュースに感じた、というのがあります。それからもう一つ、当時テレビで津波の被害に遭われた方々が写真を探して修復しているというニュースを見て、いつどうなるか分からない今の『東京』の風景も未来に残さなければと思うようになって。それで、見てすぐにそれが平成の東京だとわかる記号って何かと考えたときに、やはりスカイツリーなのかなと思ったんですね。
そして撮った写真を保管する場所として、地震でも影響を受けないネット上のサーバーにと思い、Google+に写真をアップするようになったのが、始まりです。」
【写真:20枚の写真で構成された一つの作品『スカイツリーと、季節の花々』】
【写真:こちらは定点観測でスカイツリーと東京の空をとらえた作品。空の色や雲の繊細な違いに気づかされます。】
スカイツリーで、繋がる、広がる、人との関わり。
3年近くスカイツリーの写真をGoogle+で公開し続けている石川さん。見ている人からの反応や、見ている人たちとの実際の出会いに感銘を受けているそう。
「世界中の人から写真にコメントを頂けるようになって、その繋がりを楽しんでいるうちに今に至ります。今ではみなさんに『スカイツリーの人』と呼ばれているようですね(笑)」
そんな「スカイツリーの人」石川さん、スカイツリー愛から生まれた繋がりとはどんなものだったのでしょう?
「『石川さんのスカイツリーの写真を見て、今までになかったいろんな見方が発見出来て毎日楽しみにしている』というようなコメントなども頂いたんですよね。とても嬉しかったです。これをきっかけに、嫌な上司も違う角度から見られるようになったりとか、嫌いだった食べ物も彼女の影響で食べれられるようになったりだとか(笑)、そういう、今までにない角度からものごとを見てみようと思えるきっかけになったりするといいなあと思っています。
それから、昨年、写真展を開催することができたのですが、それまでインターネット上で交流していた方たちが足を運んでくださり、実際にお会いすることができました。遠く九州や、兵庫、愛知からわざわざいらした方もいらっしゃいました。 はじめましてなのにどこかはじめましてでないような、そういうつながりがここから生まれたことは本当に嬉しく思いますね。」
石川さんの「東京を残していこうという気持ち」が、インターネットから広がり、たくさんの新しい出会いを生んでいるよう。後編では、そんな実際の出会いの場のひとつとなった写真展のお話、そしてお気に入りの作品や、今後の展開について伺います。
2月特集:恋におちる
<Vol.2 後編>スカイツリーに恋してる!写真家 石川明宏さん